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引退するつもりでいた外野手が現役続行に意欲を示す。5月にエンジェルスで打率.409&5本塁打

宇根夏樹ベースボール・ライター
ケビン・ピラー May 7, 2024(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 7月6日、ケビン・ピラーのサービス・タイムは、10年に到達した。これにより、年金を満額でもらえることが確定した。

 下の写真は、その時のクラブハウスの様子。左上に見えているのは、10のバルーン(風船)の一部だ。左下には、ボトルが置いてある。

 この直後に、USAトゥデイは「10年ベテランのケビン・ピラーが2024年のMLBシーズン終了後におそらく引退と語る」と題した、ボブ・ナイテンゲールの記事を掲載した。それによると、ピラーは、引退の確率について「98%」と語ったという。

 そこから、残る2%のほうに気持ちが傾いたらしい。12月2日、MLBネットワークの「ホット・ストーブ」に出演したピラーは、「まだプレーしたい」とコメントした。

 2015~19年の5シーズンは、センターのレギュラーを務め、2019年は21本のホームランを打ったが、ここから、レギュラーとしてピラーを迎え入れようとする球団はないだろう。2024年は、シカゴ・ホワイトソックスで17試合に出場後、4月末にロサンゼルス・エンジェルスと契約を交わし、5月は打率.409(66打数27安打)と出塁率.435、5本塁打ながら、6月以降は打率.176(193打数34安打)と出塁率.244、2本塁打に終わった。来年1月に、36歳の誕生日を迎える。

 ただ、かつてほどの好守ではないものの、センターを守ることはできる。また、対右の通算OPS.666に対し、対左の通算OPSは.777だ。2024年は、対左の125打席で打率.310(116打数36安打)と出塁率.352、3本塁打、OPS.852を記録した。

 外野トリオのなかに、左投手を苦手とする左打者がいて、守備の不安もあり、という球団なら、ピラーは、控え外野手の候補になり得る。

 今年2月にピラーがホワイトソックスと交わしたのは、メジャーリーグのロースターに入れば年俸300万ドルとなる、マイナーリーグ契約だった。新たな契約の条件と金額が、それを上回ることはないだろう。球団からすると、リスクはほとんどない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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