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ブルージェイズが大物FAのソトを手に入れるには、他球団を凌ぐ契約だけでは不十分!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
ホアン・ソト Sep 17, 2024(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 トロント・ブルージェイズは、FAのホアン・ソトを手に入れようとしている球団の一つだ。SNY(スポーツネット・ニューヨーク)のアンディ・マルティノは、12月3日に発表した記事のなかで、「ブルージェイズが最も高額な契約を申し出るだろうという見方が広まりつつある」と書いている。

 もっとも、ブルージェイズの提示する契約が他球団を上回っても、ソトがブルージェイズに入団するかどうかはわからない。今オフのソトの場合、どこに入団するにせよ、超がつく大型契約を手にする。総額が5億ドルを超えるのは、間違いなさそうな気配だ。また、FAとなった選手が球団を選ぶ要素は――選ぶことができる選手の話だが――契約の大きさとは限らない。

 ブルージェイズのラインナップに、ソト、ブラディミール・ゲレーロJr.ボー・ビシェットの3人が並べば、相手にとってはかなりの脅威になるだろう。2025年のシーズン年齢(6月30日時点)は、それぞれ、26歳、26歳、27歳だ。

 けれども、ゲレーロJr.とビシェットは、このままいくと、どちらも来オフにFAとなる。ソトがブルージェイズに入団しても、3人が揃うのは来シーズンだけ、ということになりかねない。ゲレーロJr.とビシェットのうち、少なくとも一方と延長契約を交わすという「約束」がなければ、ソトは、提示された契約がどうであれ、ブルージェイズを選ばないかもしれない。

 2000年のオフ、シアトル・マリナーズからFAになったアレックス・ロドリゲスは、10年2億5200万ドルの契約でテキサス・レンジャーズに迎えられた。この契約は、当時の史上最高総額だ。契約1年目(2001年)のシーズン年齢は25歳なので、来シーズンのソトよりも若い。

 ロドリゲスは、そこから3シーズン続けて45本塁打以上と出塁率.390以上を記録した。3シーズンとも本塁打王を獲得し、2002~03年はゴールドグラブに受賞し――この頃は遊撃を守っていた――2003年はMVPに選ばれた。だが、レンジャーズは、どのシーズンも地区最下位に沈み、2004年2月のトレードで、ロドリゲスをニューヨーク・ヤンキースへ放出した。

 ブルージェイズがソトと契約を交わした場合、ゲレーロJr.やビシェットを引き留める資金が残っているのかどうかには、疑問符もつく。

 ちなみに、ロドリゲスを迎え入れる直前の2000年も、レンジャーズは、地区最下位だった。2024年のブルージェイズも、地区最下位に位置した。また、ロドリゲスとソトの代理人は、スコット・ボラスだ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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