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ソトに6億ドルは払いすぎ!? その金額なら3人、スラッガーの遊撃手とエース級の投手2人を入手も可能

宇根夏樹ベースボール・ライター
アーロン・ジャッジ(後ろ)とホアン・ソト Sep 6, 2024(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 今オフ、ホアン・ソトは、超大型の契約を手にするだろう。ジ・アスレティックのケン・ローゼンタールとエバン・ドレリッチとブレンダン・クティが書いた、12月3日の記事によると、交渉に残っているどの球団も、6億ドル以上の契約を提示したという情報があるという。

 総額6億ドルの年平均額は、12年契約(2025~36年)なら5000万ドル、15年契約(2025~39年)だと4000万ドルとなる。契約期間中のソトのシーズン年齢(6月30日時点)は、前者が26歳から37歳まで、後者は26歳から40歳までだ。

 ソトは、2024年にニューヨーク・ヤンキースでプレーした。ソトとチームメイトだったアーロン・ジャッジは、2022年のオフにヤンキースからFAになり、9年3億6000万ドル(2023~31年)の再契約を交わした。この契約の年平均額は4000万ドルなので、15年6億ドルの年平均額と同じ。契約期間中のジャッジのシーズン年齢は、31歳から39歳までだ。

 同じシーズン年齢の2人――33歳のジャッジと33歳のソトなど――を比べ、ソトにはジャッジと同等かそれより上の価値があると判断するなら、15年6億ドルは払いすぎではない気もする。契約期間中のジャッジより若い、26~30歳のソトに5年2億ドル、ジャッジと同じ、31~39歳のソトに同額の9年3億6000万ドル、ジャッジより1歳上となる、40歳のソトに4000万ドル、という計算だ。

 ソトのパワーと外野の守備は、ジャッジには及ばない。ジャッジはセンターを守るが、ソトのポジションはライトかレフトだ。とはいえ、これまでの7シーズン中、25本塁打に届かなかったのは、5月下旬にデビューした2018年(22本)とレギュラーシーズンが1チーム60試合に短縮された2020年(13本)の2度。2019年は34本のホームランを打ち、ここ2シーズンは35本塁打と41本塁打を記録している。

 しかも、出塁率.400を下回ったシーズンは皆無だ。大きな怪我に見舞われたこともなく、出場150試合未満のシーズンも、2018年と2020年しかない。地味かもしれないが、怪我の少なさは、大きなポイントだ。絵に描いた餅になりにくい。

 ただ、6億ドルをソト以外に費やせば、今オフのFA市場に出ている、ソトほどではないが大物の選手を数人、手に入れられるのではないだろうか。例えば、6億ドルをざっくりと3分割し、コービン・バーンズマックス・フリードウィリー・アダメスの3人と契約、といった具合だ。

 ここ3シーズンに、バーンズは590.0イニングを投げて防御率3.08、フリードは437.1イニングで防御率2.80を記録している。今オフ、ロサンゼルス・ドジャースと5年1億8200万ドル(2025~29年)の契約を交わしたブレイク・スネルは、412.0イニングで防御率2.82だ。また、アダメスは、遊撃を守り、ここ3シーズンに平均29.0本のホームランを打っている。

 もちろん、資金があれば、ソトとの契約にとどまらず、さらに、他の大物FAを迎え入れることも可能だ。ソトが加われば、勝つチャンスが増え、そのことがFAを振り向かせることに役立つ可能性もある。スネルがドジャースに入団したのは、勝てる球団という理由も、あったように思える。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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