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主な新興国/米国経済ニュース(8月16日)

増谷栄一The US-Euro Economic File代表

ロシア・テクノロジーズ、加ボンバルディアの小型ジェット機生産で近く合意か

ロシア国営持ち株会社ロシア・テクノロジーズ(ロステック)は近く、カナダ航空機最大手ボンバルディア・コマーシャル・エアクラフトのリージョナルジェット機(国内線や近距離地域を結ぶ小型ジェット旅客機)「Q400」をロシアのウリヤノフスクで、組み立て生産することで、ボンバルディアと合意する見通しだ。モスクワ・タイムズ(電子版)が15日に伝えた。

これより先、ロステックのセルゲイ・チェメゾフCEO(最高経営責任者)は今年2月に、ボンバルディアとの合弁会社の設立構想を打ち出し、その際に、ロステック側が1億ドル(約100億円)の出資を検討する方針を明らかにした。両社の調印式は早ければ8月末にモスクワ近郊で開かれる航空ショー「国際航空宇宙サロン(MAKS)2013)」で行われる可能性がある。ロシア経済発展省によると、2020年までにQ400のようなリージョナルジェット機に対するロシア国内航空会社からの需要は最大で200機に上ると見られている。

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ロシア開発対外経済銀行、ファンド・オブ・ファンズ設立へ―中小企業支援で

ロシア開発対外経済銀行(VEB)は、政府の景気刺激策の一環として、ファンド・オブ・ファンズ(既存の複数の投資信託を組み入れた投資信託)を設立し、ロシア国内の中小・中堅企業への投資を強化する。モスクワ・タイムズ(電子版)が15日に伝えた。

これは同行のアレクサンドル・イワノフ副CEO(最高経営責任者)が明らかにしたもので、VEBは米投資管理大手アダムズ・ストリート・パートナーズ(ASP)と共同でファンド・オブ・ファンズを設立する。

設立されたファンド・オブ・ファンズは、自社単独で資産の投資・運用を行うほか、ロシア・パートナーズやベアリング・ボストク・キャピタル・パートナーズ、ダ・ヴィンチなど5‐7社のプライベートエクイティ(PE)ファンドとも提携して、資産の70%を投資・運用したい考えだ。投資分野としてはハイテクや民間金融など成長性の高い分野を検討している。

ファンド・オブ・ファンズの設立にあたり、VEBとASPはそれぞれ5000万ドル(約50億円)を投資するほか、他の投資家からも約1億5000万ドル(約150億円)の資金を集めたい考えだ。

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ベトナム7月新車販売台数、5カ月ぶり減少か-前月比3%減

ベトナム自動車工業会(VAMA)が近く発表する予定の7月の新車販売台数(乗用車とトラック、バス)が前月比3%減の9360台と、5カ月ぶりに対前月比で減少に転じたもようだ。地元金融情報サイト、ストックスプラス(電子版)が13日に、国営オンラインメディア、ベトナム・エコノミーの報道を引用して伝えた。

このうち、VAMA加盟社の販売台数は全体の87.7%に相当する8209台だったが、前月比横ばい、前年比では23%増となっている。

また、1-7月の累計販売台数は、前年比18%増の5万9197台となった。VAMAでは今年の新車販売台数の見通しを11万‐11万2000台と予想している。

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米シスコ・システムズ、今期に4千人削減へ-4‐6月期増収増益でも

米ネットワーク通信機器大手シスコ・システムズ<CSCO>が14日に発表した2013年度第4四半期(4-6月)決算は、純利益が前年比18%増の22億7000万ドル(約2200億円)、1株当たり利益(希薄化後)も同17%増の42セントとなった。一時的項目を取り除いて前年との比較を可能にした調整後1株当たり利益後は同11%増の52セントとなり、アナリスト予想の51セントを上回った。

売上高は同6%増の124億2000万ドル(約1兆2170億円)となり、アナリスト予想の124億1000万ドル(約1兆2160億円)を上回った。

しかし、同日夕に行われた電話によるアナリスト向けの業績説明会で、今期の2014年度第1四半期(7-9月)の業績見通しについて、売上高は前年比3-5%増の122億3000万-124億7000万ドル(約1兆2000億-1兆2220億円)と予想していることを明らかにしたが、アナリスト予想のコンセンサスである5%増の124億6000万ドル(約1兆2210億円)をやや下回った。調整後1株当たり利益も50-51セントとし、予想の51セントをやや下回った。

さらに、同社はコスト削減のため、今期中に従業員全体の5%に相当する約4000人の削減計画を明らかにした。ジョン・チェンバースCEO(最高経営責任者)は、「業績は着実に回復してきているものの、われわれが想定していたペースよりも遅い」としている。同社の株価は14日の引け後の時間外取引で、一時終値比10%安と、急落した。

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著名投資家ソロス氏、4-6月期中にJCペニーとアップルの株買い増し

著名な投資家ジョージ・ソロス氏が率いるヘッジファンドのソロス・ファンド・マネジメントが2013年4‐6月期中に、目下、業績改善を目指して経営再建中の米百貨店チェーン大手JCペニー<JCP>と、米IT大手アップル<AAPL>の株式を買い増したことが、14日に米証券取引委員会(SEC)に提出された文書で明らかになった。米経済情報専門サイトのマーケットウォッチが14日に伝えた。

それによると、ソロス・ファンドは同期中にJCペニーの1998万6361株を取得したほか、それとは別に50万株の追加取得を目指している。また、ソロス氏自身のアップルの持ち株数も2倍の6万6800株に引き上げられたという。その一方で、同氏はSPDRゴールド・トラスト<GLD>のETF(上場投資信託)の持ち株を売却している。ちなみに、14日のJCペニーの株価は前日比3.39%高の13.11ドル、引け後の時間外取引でも終値比1.83%高だった。アップルも同1.82%高の498.5ドルで引け、時間外取引でも同0.24%高となった。SPDRゴールド・トラストは同0.99%高の129ドル、時間外取引も同0.27%高だった。

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インドネシア中銀、政策金利据え置き―景気配慮へ

インドネシア中央銀行(BI)は15日の理事会で、政策金利である翌日物BI金利を現行の6.5%のまま据え置くことを決めた。据え置きは、これまでのインフレ重視一辺倒の姿勢から景気後退懸念にも配慮していくものと見られている。

中銀は6月末の燃料補助金の削減に伴うガソリンやディーゼルなどの燃料価格の引き上げ(平均で33%上昇)でインフレ率が急上昇するのを食い止めるため、予防的措置として6月と7月に2回連続で計0.75%ポイントの利上げを実施した。しかし、一部のエコノミストは、「中銀は今後、景気の後退に焦点を移す可能性がある」(中堅銀行バンク・ダナモンのエコノミスト、アントン・グナワン氏)とし、15日の理事会で金利水準が維持される可能性があると見ていた。

中銀は理事会後に発表した声明文で、インフレの現状認識について、「7月の消費者物価指数(CPI)は前月比3.29%上昇、前年比8.61%上昇となったが、これは燃料補助金の削減に伴うインフレ上昇が寄与したものの、食品価格の急騰が主な要因」とした上で、「コア・インフレ率(値動きが激しいエネルギーや食品を除く)は、補助金付き燃料価格の上昇にもかかわらず、ほぼ抑え込まれている」とし、「今後、インフレは景気の減速にともなって低下し、2014年のインフレ率は中銀の物価目標(4.5%プラスマイナス1%)の範囲内にまで低下すると確信している」とし、インフレの先行きに楽観的な見方を示している。

一方、景気の現状認識については、中銀は声明文で、「今年4-6月期の経済成長率は前年比5.81%増と、中銀予想の5.9%増を下回った」と懸念を示した上で、「将来の景気後退リスクは依然として高い。今年の経済成長率は中国経済の成長鈍化やインフレ圧力の上昇で、5.8-6.2%増のレンジの下限にとどまると見られる」とし、景気懸念を強めている。

ただ、中銀は、2014年が総選挙を控えていることから、今年10‐12月期の経済成長率は押し上げられる可能性があるとし、2014年は6.4-6.8%増になると予想している。

次回の金融政策決定会合は9月12日に開かれる予定。

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ブラジル石油大手OGX、4‐6月期最終赤字12倍増に―油田開発断念で

ブラジルの大富豪エイキ・バチスタ氏が率いる石油・ガス生産会社OGXペトロレオが14日に発表した2013年4‐6月期決算は、最終赤字が前年同期の3億9860万レアル(約170億円)から47億2000万レアル(約2000億円)へと、約12倍に拡大した。

最終赤字が急増したのは、不採算の油田鉱区の開発断念や掘削中の油田の枯渇に伴う減損損失額が41億レアル(約1700億円)に達したためだ。OGXは今月1日、リオデジャネイロ州カンポス堆積盆沖にある3鉱区(トゥバラウン・ティグレとトゥバラウン・ガトー、トゥバラウン・アレイア)は、いずれも現在の掘削技術では経済的に採算が取れる可能性はないとして開発を断念したことを明らかにしており、この3鉱区の減損損失額だけで36億レアル(約1500億円)となった。また、同期中の売上高は2億3440万レアル(約100億円)だったが、前年同期の売上高は計上されていないため、比較はできなくなっている。

同社はまた、カンポ・デ・トゥバラウン・アズル鉱区で現在、原油を生産している3つの油井も日量1万‐1万2000バレルの生産量にとどまっており、目標の4万バレルに達しないとして、2004年中に生産を中止する方針。さらに、5つの油井(FPSO OSX-4とFPSO OSX-5、WHP-1、WHP-3、WHP-4)の石油生産施設の建設も中止するとしている。 (了)

The US-Euro Economic File代表

英字紙ジャパン・タイムズや日経新聞、米経済通信社ブリッジニュース、米ダウ・ジョーンズ、AFX通信社、トムソン・ファイナンシャル(現在のトムソン・ロイター)など日米のメディアで経済報道に従事。NYやワシントン、ロンドンに駐在し、日米欧の経済ニュースをカバー。毎日新聞の週刊誌「エコノミスト」に23年3月まで15年間執筆、現在は金融情報サイト「ウエルスアドバイザー」(旧モーニングスター)で執筆中。著書は「昭和小史・北炭夕張炭鉱の悲劇」(彩流社)や「アメリカ社会を動かすマネー:9つの論考」(三和書籍)など。

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