3つの和菓子がひとつに。新潟県の老舗「越乃雪大和屋」さんの巧みな技法でリッチに和栗を楽しむ
栗のお菓子といえば、どんなお菓子を思い浮かべますか?洋菓子であればモンブランやタルトといった、栗の渋皮の色を反映したような濃い茶色のお菓子の印象が強いのではないでしょうか。
和菓子の場合は、栗蒸し羊羹など鮮やかな黄色い実の色が映える(クチナシ等でほんのり着色する場合も)ものや、栗の見た目そのままを様々な角度から表現した主菓子、そしてなんといっても欠かせない栗きんとん。栗きんとんは、丁寧に皮を剥いて加熱し力を込めて裏ごし、そこへお砂糖を加えて練り上げるというシンプル故にスピード感や各工程の見極め、更には素材そのもののポテンシャルも考慮しなくてはなりません。
花火大会でもお馴染み、新潟県長岡市に本店を構える「越乃雪大和屋」さんは、創業1778年の老舗和菓子屋さん。銘菓でもある越乃雪というお菓子は9代目長岡藩藩主をはじめ、歴代の重鎮や偉人、明治天皇も口にされたという程信頼と実績の厚いお店です。
その越乃雪大和屋さんには、秋になると栗を使用した和菓子が登場するのですが、その技法を用いたリッチな主菓子「三重奏」をご紹介。
上段から順に、栗餡・栗の浮島・栗羊羹にて構成されております。
空気を含んだ軽やかな「栗餡」は、口の中でほろほろとまるで雪のように解けていく不思議な食感。丹念に裏ごしされた栗の滑らかさ、そして繊細なのに香ばしさを纏うことでグンと高級感を醸し出す存在感。第一印象から見事に心を掴まれました。
しっとりとした慎ましやかな甘味の「浮島」。さほど主張が強いというわけではありませんが、上段の栗餡と下段の栗羊羹の間にすっと入り込むことで、ベクトルの異なる双方の濃厚な味わいを際立たせてくれているよう。
下段は「栗甘美」という越乃雪本舗 大和屋さんの10月から発売される名物を取り入れたもの。白餡をあわせず、裏ごしした栗にほんの僅かのお砂糖とつなぎを加えて練り上げているので、羊羹といえども一般的な羊羹にあらず。
和栗がぎゅっと圧縮されているようなほろほろとした重厚感はお見事!力強さと豊かな香りが立ち昇り、口いっぱいに秋が広がります。
それぞれのソロを耳で、ならぬ、舌で堪能した後は、贅沢なトリオのハーモニーに心行くまで陶酔。食欲の秋は、はじまったばかり。
※こちらの三重奏は、2023年10月17日まで全国の三越伊勢丹限定販売(店舗によって入荷数ならびに販売状況は異なります)となっておりますが、下段の「栗甘美」は越乃雪大和屋さんの公式サイトからも購入可能となっております。