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梅雨が無いとされる北海道を除いて全国で梅雨入り 沖縄地方は梅雨末期の豪雨で来週は梅雨明け?

饒村曜気象予報士
東北・北陸でも梅雨入り時の気象衛星画像(令和5年(2023年)6月11日9時)

東北と北陸で梅雨入り

 令和5年(2023年)6月11日昼前に、気象庁は北陸地方と東北北部、東北南部で梅雨入りしたと思われると発表しました。

 梅雨前線によって東北・北陸を含むほぼ全国で雨となったからです(図1)。

図1 地上天気図(6月11日9時)
図1 地上天気図(6月11日9時)

 これで、梅雨が無いとされる北海道を除いて全国で梅雨入りとなりました。

 沖縄と奄美地方で6~8日遅く、九州南部と北陸で平年なみ、関東甲信で平年より1日遅い他は、平年より早い梅雨入りでした(表)。

表 令和5年(2023年)の梅雨入り
表 令和5年(2023年)の梅雨入り

 週明けの6月12日は、梅雨前線に向かって台風周辺の湿った空気が流れ込むため、西日本や東日本の太平洋側には活発な雨雲のかかる所がありますが、梅雨入りしたばかりの北陸や東北地方では黒雲(雨の可能性がある曇り)予想です。

 台風3号は、沖縄県大東島地方の東海上を北東進し、伊豆諸島南部と小笠原諸島の間を通過して日本の東海上に進む見込みです(図2)。

図2 台風3号の進路予報と海面水温(6月11日15時)
図2 台風3号の進路予報と海面水温(6月11日15時)

 予報円が非常に小さく、東日本への直接の影響はなさそうです。

 そして、6月13日になると梅雨前線は沖縄本島付近まで南下します。

 上空に強い寒気が流れ込むため、全国的に大気の状態が不安定となりますが、14日以降は高気圧に覆われ、梅雨に入っている西日本から東北は梅雨の中休みになりそうです(図3)。

図3 各地の10日先までの天気予報(ウェザーマップによる)
図3 各地の10日先までの天気予報(ウェザーマップによる)

 北陸・東北は、梅雨入りしてすぐに梅雨の中休みの見込みです。

 梅雨の中休みでは、日差しが出ると気温が30度くらいまで上がりますので、熱中症に注意が必要となります。

 また、夏至にむかって太陽高度が高くなり、紫外線の強度が強くなっている時期ですので、日焼け対策も必要になります。

 一方、梅雨前線が南下してきた沖縄地方では一週間くらいは梅雨末期の大雨に警戒が必要で、この大雨がすぎると梅雨明けになりそうです。

沖縄と奄美の梅雨明け

 沖縄の16日先までの天気予報を見ると、週末の6月17日まで、連続して傘マーク(雨)と、黒雲マーク(雨の可能性がある曇り)です(図4)。

 降水の有無の信頼度が5段階で一番高いAの予報ですので、沖縄は梅雨末期の豪雨に警戒が必要です。

図4 那覇の16日先までの天気予報
図4 那覇の16日先までの天気予報

 しかし、来週は一転してお日様マーク(晴れ)の日や、白雲マーク(雨の可能性がほとんどない曇り)の日が続きます。

 降水の有無の信頼度が5段階で一番低いEや二番目に低いDが混じっている予報ですが、6月18日か19日に梅雨明けしそうです。

 沖縄の梅雨明けの平年は、6月21日ですので、平年より早い梅雨明けということになります。

 また、鹿児島県奄美地方も、6月19日まで傘マークと黒雲マークが続き、その後はお日様マークや白雲マークの日が多くなる予報です(図5)。

図5 鹿児島県奄美大島・名瀬の16日先までの天気予報
図5 鹿児島県奄美大島・名瀬の16日先までの天気予報

 沖縄地方より1~2日遅れて奄美地方も梅雨明けするかもしれません。

 奄美地方の梅雨明けの平年は6月29日ですので、こちらも平年より早い梅雨明けになりそうです。

東京の本格的な梅雨

 沖縄地方・奄美地方で梅雨明けとなると、梅雨前線が西日本から東日本に停滞することになります。

 東京の16日先までの天気予報を見ると、今週は傘マークや黒雲マークが多い予報ですが、お日様マークもあり、週末以降は、お日様マークや白雲マークの日が続く予報です(図6)。

図6 東京の16日先までの天気予報
図6 東京の16日先までの天気予報

 そして、沖縄や奄美で晴れが多い来週の半ば以降には傘マークと黒雲マークの日が続く予報となっています。

 東京の6月12日以降は、極端に暑くなる日はありませんが、平年より気温が高い日が続くみこみです(図7)。

図7 東京の最高気温と最低気温の推移(6月12日以降はウェザーマップの予報)
図7 東京の最高気温と最低気温の推移(6月12日以降はウェザーマップの予報)

 東京では、気温が高めの本格的な梅雨が始まりそうです。

タイトル画像、図2、図3、図4、図5、図6の出典:ウェザーマップ提供。

図1、表の出典:気象庁ホームページ。

図7の出典:気象庁ホームページとウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2024年9月新刊『防災気象情報等で使われる100の用語』(近代消防社)という本を出版しました。

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