Yahoo!ニュース

世界初!Google MAPで水門さがし!この活動が海洋ごみの削減につながるってどういうこと?

橋本淳司水ジャーナリスト。アクアスフィア・水教育研究所代表
Google MAPで水門をさがす参加者(写真提供:NPO法人グリーンズ)

不思議なことに夢中になって水門をさがしてしまう

Google MAPのストリートビューを使ってまちなかの水門をめぐる。気に入った水門を見つけたら写真を撮って、その位置を共用地図にアップする。

なんと世界初の試みだそうだ。

2月11日、「岡山水門デジタル地図作成チャレンジ」というイベントが開かれた。

(主催:NPO法人グリーンズ、共催:瀬戸内オーシャンズX推進協議会、後援:岡山市教育委員会、協力:内外地図株式会社)

オフライン参加者は岡山市内の杜の街グレースピクニックテラスに集合。

会場(杜の街グレースピクニックテラス)の様子(写真提供:NPO法人グリーンズ)
会場(杜の街グレースピクニックテラス)の様子(写真提供:NPO法人グリーンズ)

オンライン参加者はZoomを利用。筆者は自宅から岡山市内の水門探索に参加することになった。

2〜3人で1組のチームをつくり、Google MAPのストリートビューをつかって、あらかじめ指定された担当エリアを歩く。

筆者はGエリアを担当。夢中になって水門を探した。

水門を見つけると不思議とうれしくなる。その場で写真を撮る。

次に水門の場所の地図座標をコピーし、共用地図にプロットしていく。

参加者全員で222の水門をプロットすることができた。

Google Map上にプロットされた水門(筆者撮影)
Google Map上にプロットされた水門(筆者撮影)

その後、参加者は自分の気に入った水門の写真を見せ合いながら感想を共有した。

「デジタルの地図上なのにわくわくした」

「実際に自分の見つけた水門に行ってみたくなった」

「なぜここに水門があるのか、近くに複数の水門があるのはなぜなのか、水門のことをもっと知りたくなった」

などの声が。

なかには自分の撮影した水門に名前をつけ、短時間のうちに高まった「水門愛」を語る参加者もいた。

用水路と水門は海洋ごみ削減のカギを握っている

さて、今回のイベントでなぜ水門を探したのか。

それは水門が岡山の海洋ごみ問題を解決するカギとなるから。

事前の調査・研究から、岡山県における海洋ごみの約7割は陸から排出されていて、そのうちの多くは、用水路を経由して海へ出ていることがわかっている。

つまり、用水路をきちんと管理すれば、海洋ごみを減らせる可能性が高い。

ところが、計画立案のキーとなる用水路や水門の位置を記載した地図がない。

そこで今回、インターネットを活用し、水門の探索と登録が行われたというわけだ。

Google MAPに水門を登録する参加者(写真提供:NPO法人グリーンズ)
Google MAPに水門を登録する参加者(写真提供:NPO法人グリーンズ)

このプロジェクトは今後も続く。

2月25日には「『オカヤマどんぶらこリサーチ』キックオフシンポジウム」が開かれ、この問題を考えていく予定。

そして、地域の水インフラに興味をもつことができるこの手法。「いろいろなことに活用できそう」と思っているのは、筆者だけではないだろう。

水ジャーナリスト。アクアスフィア・水教育研究所代表

水問題やその解決方法を調査し、情報発信を行う。また、学校、自治体、企業などと連携し、水をテーマにした探究的な学びを行う。社会課題の解決に貢献した書き手として「Yahoo!ニュース個人オーサーアワード2019」受賞。現在、武蔵野大学客員教授、東京財団政策研究所「未来の水ビジョン」プログラム研究主幹、NPO法人地域水道支援センター理事。著書に『水辺のワンダー〜世界を歩いて未来を考えた』(文研出版)、『水道民営化で水はどうなる』(岩波書店)、『67億人の水』(日本経済新聞出版社)、『日本の地下水が危ない』(幻冬舎新書)、『100年後の水を守る〜水ジャーナリストの20年』(文研出版)などがある。

橋本淳司の最近の記事