水道メーターの盗難多発!なぜ盗まれる?ねらわれやすい場所は?
10月21日、愛知県一宮市で水道メーターが盗まれた。愛知県内では、7月にも豊田市で水道メーター78個が盗まれている。このほか、今年の主な水道メーターの盗難事件(自治体発表)は以下のとおり。
- 1月:埼玉県川越市/55個(後に66個と判明)
- 1月:大阪府堺市/4個(2023年度累計では74個)
- 3月:埼玉県さいたま市/48個(2月中に発生)
- 7月:神奈川県厚木市/13個
なぜ水道メーターが盗まれるのか?
その背景には、金属価格の高騰があると見られる。管内で盗難件数の多い埼玉県警は、2022年から金属類の窃盗について統計を取り始めたが、2022年には443件だった件数が、2023年には702件に増加している。被害の多いものとしては、銅線、電線ケーブル、グレーチング(側溝を覆う格子状の鉄製の蓋)、水道メーター、蛇口などが挙げられる。
水道メーターは青銅鋳物でできている(青銅ではなく、黄銅合金=真鍮のものもある)。青銅鋳物は腐食に強く、圧力に耐えられる性質を持ち、加工もしやすいため、幅広い分野で利用されている。かつては大砲が青銅で作られていたことから、「砲金」とも呼ばれる。青銅鋳物は銅の比率が8割以上と高いため、高値で取引されている。
スクラップ問屋は、水道工事業者や解体業者からの持ち込みや地方自治体の入札を通じて青銅鋳物を仕入れ、それを青銅合金メーカーに販売している。
高値で買い取ってもらうためには、砲金のみにする必要がある。砲金は水道メーターの容器やバルブの本体に使用されており、完全に解体して「砲金のみ」にすると、現在では1キロあたり1000円程度で買い取られる(砲金以外の素材が付いていると買取価格が下がり、水道メーターの未解体品は、解体の手間がかかるためさらに買取価格が下がる)。
ねらわれやすい場所は?
水道メーターボックスは検針しやすいように、一般道路の近くに設置されていることが多い。メーターボックスの青いフタには鍵がかかっておらず、誰でも開け閉めができる。
一般住宅や集合住宅からの盗難もあるが、とくに未入居の新築分譲住宅や、分譲住宅の建設予定地に設置されたメーターがねらわれやすい。犯罪者の目線になると、こうした場所は、人々の関心が薄いにもかかわらず、新品のターゲットがまとまって存在するからだろう。
自治体は、盗難防止のため市民に注意喚起を呼びかけるとともに、スクラップ業者との連携を強化している。また、長期間水道を使用しない場合や、空き家や取り壊しが決まった建物がある場合には、水道メーターを取り外すことも検討するよう呼びかけている。
これに加え、未入居の新築分譲住宅や分譲住宅の建設予定地に設置されたメーターをどう守るかも考える必要があるだろう。