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自治体が販売するペットボトル水から細菌。製造プロセスはどうなっていたか?

橋本淳司水ジャーナリスト。アクアスフィア・水教育研究所代表
(写真:イメージマート)

「愛知県一宮市が発売する予定だった災害備蓄用の飲料水から、法令の水質基準を超す細菌が検出され販売できなくなっていた」と朝日新聞などが報じている。

「災害備蓄用の水から細菌 販売前に製造会社と契約解除も公表せず」(朝日新聞/2024年11月1日)

この水は「おりひめ 木曽川が織りなす水」といい、一宮市浅井町の極楽寺水源所からくみ上げた水だ。「塩素などの薬品を加えず作られた、水本来のおいしさが味わえるナチュラルウォーター」「製造から5年間の長期保存ができ、災害備蓄用飲料水に最適」などと宣伝され、1本150円、1箱(24本)2460円で販売されていた。

11月1日現在、一宮市のHPには以下のような表示がなされている。

一宮市HP https://www.city.ichinomiya.aichi.jp/jougesuidou/eigyou/1044047/1044048/1063598.html
一宮市HP https://www.city.ichinomiya.aichi.jp/jougesuidou/eigyou/1044047/1044048/1063598.html

自治体がペットボトル水を配布したり販売したりするケースは少なくない。自治体の原水を業者に委託し、除菌、殺菌などの処理、ボトリングを行っている。

水道水は「水道法」で管理されているが、ペットボトル水は「食品衛生法」で示す「ミネラルウォーター類(水のみを原料とする容器に詰めた清涼飲料水)」となる。

ミネラルウォーター類は、原水や処理方法から以下の4つに分かれている。

農水省資料より筆者作成
農水省資料より筆者作成

今回、法令の水質基準を超す細菌が検出されたということだが、製造プロセスに何らかの問題があったのではないか。

ミネラルウォーター類の製造プロセスは、原水を簡単にろ過した後、殺菌・除菌するのが一般的。そして、殺菌・除菌する方法は大きく分けて、加熱殺菌と非加熱殺菌(ろ過除菌、紫外線殺菌、オゾン殺菌など)の2種類があり、それぞれの殺菌方法についても以下のように具体的に定められている。

加熱殺菌:85度で30分以上加熱もしくはそれと同等の熱量を加える
フィルター除菌:フィルターの孔径は0.45マイクロメートル以下

オゾン殺菌:CT値1.6 以上(CT値とはオゾンなどの物質が菌やウイルスを不活化する力を示す評価指標で、オゾン濃度と曝露時間の積から算出)
紫外線殺菌:90%以上の透過率、254ナノメートルの波長で 26000マイクロワット・パー・平方センチメートル以上

「おりひめ 木曽川が織りなす水」はナチュラルウォーターだから「特定の水源(一宮市浅井町の極楽寺水源所)から採水された地下水」であり、その後、フィルター除菌し、非加熱でペットボトルに詰めていた。

水ジャーナリスト。アクアスフィア・水教育研究所代表

水問題やその解決方法を調査し、情報発信を行う。また、学校、自治体、企業などと連携し、水をテーマにした探究的な学びを行う。社会課題の解決に貢献した書き手として「Yahoo!ニュース個人オーサーアワード2019」受賞。現在、武蔵野大学客員教授、東京財団政策研究所「未来の水ビジョン」プログラム研究主幹、NPO法人地域水道支援センター理事。著書に『水辺のワンダー〜世界を歩いて未来を考えた』(文研出版)、『水道民営化で水はどうなる』(岩波書店)、『67億人の水』(日本経済新聞出版社)、『日本の地下水が危ない』(幻冬舎新書)、『100年後の水を守る〜水ジャーナリストの20年』(文研出版)などがある。

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