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各球団最後の「二冠王」。岡本和真は球団8年ぶり。横浜DeNAはここ5年に2人。最も遠ざかる球団は…

宇根夏樹ベースボール・ライター
中村剛也(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

 今シーズン、読売ジャイアンツの岡本和真は、セ・リーグ最多の31本塁打と97打点を記録した。読売の選手が、打率を含む3部門中2部門でトップの「二冠王」となるのは、8年ぶり。2012年に首位打者(打率.340)と打点王(104打点)の阿部慎之助以来だ。

 21世紀の「二冠王」は、2004年に福岡ダイエーホークスで「三冠王」の松中信彦(打率.358/44本/120打点)を含め、延べ19人を数える。セ・リーグが11人、パ・リーグは8人だ。球団別では、読売の4人が最も多い。2002年の松井秀喜(50本/107打点)と2010年のアレックス・ラミレス(49本/129打点)に、2012年の阿部と今シーズンの岡本だ。松井は20世紀にも2度。ラミレスはヤクルトスワローズ時代の2003年も、40本塁打と124打点で「二冠王」となっている。

 岡本が「二冠王」となるまでは、3球団が読売と並んでいた。埼玉西武ライオンズは、中村剛也が3度。2009年(48本/122打点)、2011年(48本/116打点)、2015年(37本/124打点)だ。福岡ソフトバンクは、2004年と2005年(46本/121打点)に2年連続の松中と、2017年のアルフレド・デスパイネ(35本/103打点)。横浜DeNAベイスターズの3人は、2013年のトニ・ブランコ(打率.333/136打点)、2016年の筒香嘉智(44本/110打点)、昨シーズンのネフタリ・ソト(43本/108打点)だ。2016~20年のここ5シーズンに限ると、4人中2人が横浜DeNAの選手となる。ブランコは中日ドラゴンズでも「二冠王」。2009年に39本塁打と110打点を記録した。

 一方、21世紀に入ってから「二冠王」が出ていない球団もある。セ・リーグもパ・リーグも2球団ずつだ。

筆者作成
筆者作成

 なかでも、阪神タイガースと千葉ロッテマリーンズは、どちらも1986年に「三冠王」のランディ・バース(打率.389/47本/109打点)と落合博満(打率.360/50本/116打点)が最後だ。当時の千葉ロッテは、ロッテ・オリオンズだった。ちなみに、この2人は、1985年に続く2年連続「三冠王」。落合は1982年もそうだ。落合の3度は誰よりも多く、落合とバースの他に「三冠王」が2度以上は、こちらも1973~74年に2年連続の王貞治しかいない。

 1987年以降、ロッテ/千葉ロッテからは、首位打者が延べ7人出ていて、打点王も1人いる――1995年に初芝清が80打点を挙げ、イチロー田中幸雄とタイトルを分け合った――が、本塁打王は皆無だ。阪神からは、首位打者が3人、打点王は4人。こちらも、本塁打王はいない。

 なお、千葉ロッテと阪神は「30本塁打デュオ」も途絶えて久しい。それについては、こちらに書いた。

各球団最後の「30本塁打デュオ」は…。6球団は昨年だが、千葉ロッテは15年以上前、阪神は30年以上前

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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