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今オフ最高のFA左腕はスネルなのか。FA市場にはここ3年の防御率とFIPがスネルとほぼ同じ左投手も

宇根夏樹ベースボール・ライター
ブレイク・スネル Jul 14, 2024(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 昨オフに続き、ブレイク・スネルは、今オフもFA市場に出ている。年俸3000万ドルの選手オプションを破棄し、サンフランシスコ・ジャイアンツからFAになった。

 2022~24年に、スネルは、先発76登板で412.0イニングを投げ、奪三振率12.01と与四球率4.24、防御率2.82を記録した。

 ここ3シーズンに400イニング以上(平均133.1イニング以上)を投げた投手は、スネルを含め、55人を数える。彼らを防御率の低い順に並べると、トップ25は、以下の顔ぶれとなる。

筆者作成
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 マックス・フリードの防御率2.80は、わずかながら、スネルよりも低い。スネルと同じく、フリードも、今オフのFA市場に出ている。ともに左投手で、来シーズンの年齢(6月30日時点)は、スネルが32歳、フリードは31歳だ。これまで、スネルは3チーム、フリードはアトランタ・ブレーブスで投げてきた。

 スネルは、2018年と2023年にサイ・ヤング賞を受賞している。フリードの受賞は皆無だが、2020年は5位、2022年は2位にランクインした。スネルも、受賞した2シーズン以外は、票を得ていない。

 2人は、ここ3シーズンの防御率だけでなく、FIPもほとんど違わない。400イニング以上の55人中、2.98のスネルが1位、3.03のフリードは2位に位置する。FIPは、フィールディング・インディペンデント・ピッチングの略。ざっくり説明すると、守備の要素をできる限り排除した防御率だ。

マックス・フリード Sep 27, 2024
マックス・フリード Sep 27, 2024写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 ただ、タイプは異なる。スネルは、奪三振率12.01も与四球率4.24も、55人のなかで最も高い。奪三振率の2位は10.88のディラン・シース(現サンディエゴ・パドレス)、与四球率のワースト2位は3.79のチャーリー・モートン(現FA)なので、スネルの奪三振率と与四球率は、どちらも他の投手と大きな差がある。

 一方、フリードの奪三振率8.56は25位、与四球率2.20は13位だ。フリードは、ゴロ率が高く、スタットキャストのデータでもファングラフスのデータでも、50%を超えている。2017~24年の8シーズンとも、50%以上だ。

 スネルは、多くの三振を奪う。フリードは、多くのゴロを打たせる。三振のほとんどはアウトになるが、ゴロは必ずしもそうではない。サイ・ヤング賞の有無は別にしても、今オフのFA市場で最高の先発左腕はスネルと言っていい気がする。

 なお、FA市場に出ている最高の先発右腕は、コービン・バーンズだろう。ここ3シーズンの防御率とFIPは、こちらもFAの右投手、ジャスティン・バーランダーとほぼ同じだが、バーンズはバーランダーより162.1イニング多く投げていて、奪三振率も1.00以上高い。しかも、来シーズンの年齢は、バーンズが30歳、バーランダーは42歳だ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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