井上尚弥の前戦に注目 全勝全KOの武居由樹が実力者モロニーに挑む
5月6日東京ドームで、ボクシング4大世界戦が行われる。
メイン試合となるスーパーバンタム級4団体統一戦、井上尚弥(31=大橋)VSルイス・ネリ(29=メキシコ)が注目されているが、前座のカードも見どころ満載だ。
特にWBO世界バンタム級タイトルマッチ、元K-1王者で同級5位の挑戦者・武居由樹(27=大橋)と、同級王者のジェーソン・モロニー(33=オーストラリア)の対戦に注目したい。
武居について
武居は2021年、キックボクシングからボクシングに転向しプロデビュー。初戦から3戦連続1RKO勝利で、現在8戦全勝全KOのパーフェクトレコードを更新中だ。
サウスポースタイルでリーチが長く、変則的な角度でパンチを放ち、劇的なノックアウトを演出してきた。
武居を取材した際、間近でパンチを見たが、一撃でサンドバッグを浮かせるほど規格外のパワーを持っていた。
他の選手にない独特のタイミングも、相手を困惑させる武器になっている。
プロデビューからわずか3年、まさに破竹の勢いで世界王座に王手をかけた。
実力者モロニー
対戦する王者ジェーソン・モロニーは、ひと筋縄ではいかない相手だ。
戦績は29戦27勝(19KO)2敗。敗れた相手は、エマヌエル・ロドリゲスと井上尚弥だけだ。
井上との試合は、2020年10月WBA・IBF世界バンタム級タイトルマッチ、序盤善戦するも7回KO負けを喫している。敗戦したものの、井上はモロニーの実力を高く評価していた。
スタイルは正統派で、穴のない万能型ボクサーといったところだろう。
サウスポーとの対戦経験は少ないようで、2019年のクリス・ポリーノ(フィリピン)との対戦のみである。
そのため、元日本バンタム級王者の堤聖也(角海老宝石)などをオーストラリアに呼び、調整を重ねてきたようだ。
盛り上がるバンタム級
武居のパンチ力はこの階級では桁違いだろう。
ボクシング関係者からは「判定ならマロニー、KOなら武居」との声があがっている。
武居が戦うバンタム級は、国内でも選手層が厚く、世界で活躍するボクサーも多い。
井上尚弥もこの階級で4団体統一を果たしたが、階級を上げ王座を返上した。現在は、下記の王者達が君臨している。
WBA王者の井上拓真は、同日に石田匠(井岡)を迎えて防衛戦に臨む。
また、IBF王者のエマヌエル・ロドリゲスは、5月4日に西田凌佑(六島)と対戦する。
武居と西田が共に王者獲得に成功すれば、4団体王座すべてを日本ボクサーで独占できる。
加えて、那須川天心(25=帝拳)も世界ランクに名を連ねているため、今後日本ボクサー同士のタイトルマッチも増えてくるだろう。
激動のバンタム級で台風の目となれるか、武居のKO勝利に期待したい。