Yahoo!ニュース

初心者にも推せる! ジャッキー・チェンの楽しいアクション映画3選【ライド・オンの余韻を味わおう!】

渡辺晴陽作家・脚本家/エンタメアドバイザー
イメージ

5月31日から劇場公開されているジャッキー・チェンの映画『ライド・オン』ですが、ほとんどの劇場で昨日または本日をもって公開が終了となってしまうようです(※なお、一部、これから公開の劇場もあります)。

そこで、今回は『ライド・オン』の余韻に浸るべく、これから改めて見直してみたくなったジャッキー・チェン主演の映画を3作紹介します。

「ライド・オン」では馬とのアクションが魅力的だったが、ジャッキーが最初に本格的な馬術アクションに挑んだのは「シャンハイ・ヌーン」でのことだそうです
「ライド・オン」では馬とのアクションが魅力的だったが、ジャッキーが最初に本格的な馬術アクションに挑んだのは「シャンハイ・ヌーン」でのことだそうです

ドランクモンキー 酔拳

お酒に酔うほどに強くなる拳法として知られている「酔拳」。そのイメージを形作ったのが本作でしょう。
本作でジャッキー・チェンの代名詞的な拳法となった「酔拳」は、その後、様々な作品や媒体でオマージュやパロディにされています。

本作は1978年に公開された香港の映画です。『スネーキーモンキー 蛇拳』や、『少林寺木人拳』などの映画と並んで、ジャッキーの初期の代表作と言えると思います。
主人公・黄飛鴻(演:ジャッキー・チェン)が、酒に酔って千鳥足になり、転んだり、ニヤニヤ笑ったり、相手にしだれかかったりしながら闘う戦闘シーンは、コミカルながらもとてもカッコ良くて、血がたぎります。

ブルース・リーたちが築き上げてきたカンフー・アクション映画では、ジークンドーとして体系化されているような、流麗で本格的な格闘アクションが繰り広げられていました。
一方、本作のようなジャッキー・チェンの映画では、派手さや面白さを重視したアクションが取り入れられています。

ジャッキーのアクションはつい真似してみたくなりますよね。恥ずかしながら私も、ジャッキーの身振りや足取りを真似て酔拳を練習したことがあります。

古い映画ではありますが、後のジャッキー・チェン映画の基礎となった作品の一つでもあるので、ときどき見たくなる作品です。

実在する「酔拳」は、お酒を飲んで闘うわけではないそう
実在する「酔拳」は、お酒を飲んで闘うわけではないそう

ラッシュアワー

米国進出をしたジャッキー・チェンの映画で、世界的に大ヒットした作品です。アメリカ映画的な要素がとても強くてジョークやギャグも多い作品で、ジャッキー自身には不満もあったようです。しかし、ジャッキー・チェンの人気が絶対的なものになった作品でもあり、その後の作風にもかなり影響を与えているように感じます。

本作は1998年公開の映画で、アメリカで作られています。

香港警察のリー警部(演:ジャッキー・チェン)は、マフィアに誘拐された少女・スー・ヤンを取り戻すためにロサンゼルスに呼ばれます。
リーの介入を快く思わないFBIとロサンゼルス市警は刑事のカーター(演:クリス・タッカー)にリーを監視させます。しかし、リーとカーターはスー・ヤンを取り戻そうとFBIやロス市警の命令に背き、独断で捜査を進めます。

アメリカ進出後のジャッキー・チェンの映画は、とにかく楽しくて、アクションも面白く、派手さもあり、熱くなれる作品が多いです。本作を見るのと合わせて、映画『レッド・ブロンクス』など、アメリカ進出のきっかけとなった映画も是非チェックしておきたいですね。

映画『ミッドナイト・イン・パリ』や、『ワンダー 君は太陽』などでも知られるオーウェン・ウィルソンとの共演作『シャンハイ・ヌーン』シリーズも見ておきたくなります。

「ラッシュアワー」は続編も作られ、ジャッキー映画を代表するシリーズの一つになりました
「ラッシュアワー」は続編も作られ、ジャッキー映画を代表するシリーズの一つになりました

80デイズ

ジュール・ヴェルヌの小説『八十日間世界一周』を原作とした同名映画を、ジャッキー・チェン主演でリメイクした作品です。世界各国でロケ撮影をし、巨額の製作費をかけて作られたにもかかわらず、興行的には失敗に終わり、最低映画賞にもノミネートされるなど散々な結果となりました。

本作は2004年のアメリカ映画で、飛行機という移動手段がない19世紀に「80日間で世界一周できる」と賭けをし、実際に世界一周の旅をするフィリアス・フォッグと、ある目的から彼を支えて旅をするようになるパスパルトゥー(演:ジャッキー・チェン)の物語です。

前述の通り評価は散々だった本作。ですが、個人的にはとても好きな作品です。

本作を楽しむために一つだけ意識しておきたいのは、80日間で世界一周するという大枠は原作に沿っていますが、他はジャッキー・チェンのために作り直された映画であるということ。
コメディ要素やファンタジー的な要素が強いため、『八十日間世界一周』のリメイク作品として真面目な顔をして観ると、本作の評価は辛くなってしまうかもしれません。ですが、「ジャッキーの楽しいアクションを見たい!」という気持ちで観たなら、かなり満足感の高い作品になるでしょう。

ジャッキー・チェンと言えば、コミカルな戦闘アクションが人気ですが、本作はそれをとことん突き詰めています。アクションシーンの一つ一つがダンスショーのように計算して作りこまれていて、動きを見ているだけで楽しくなります。

また、過激なシーンや深刻な場面などもなく、最初から最後までただただ楽しい作品なので、子どもから大人まで安心して見られます。

逆に、もっとハードな作品を見たいという人には、同年公開の映画『香港国際警察/NEW POLICE STORY』もオススメです。
ジャッキー・チェン作品にしては少しバイオレンスな雰囲気の映画ですが、ジャッキーの目指すヒーロー像のようなものが垣間見られる名作です。映画終盤のチャン警部(演:ジャッキー・チェン)の優しさと強さには、みんな痺れるはずです。

「80デイズ」は世界中で撮影されているので、異国情緒も楽しめる作品でした
「80デイズ」は世界中で撮影されているので、異国情緒も楽しめる作品でした

3作のつもりが、かなり多くの作品を紹介してしまったような気もしますが・・・。数えきれないほどの名作があるジャッキー・チェンですから、仕方のないことでしょう。

もちろん、このほかにもまだまだ、ジャッキー作品はあります。

『ライド・オン』を観た方も、観なかった方も、この機会にどっぷりとジャッキー・チェン沼にハマってみてはいかがでしょうか?

映画『ライド・オン』や、ジャッキー・チェンらの香港アクションについて、Xや他記事にも書いています。ご興味のある方は、下記リンクや、記事下部のプロフィールページから覧ください。

作家・脚本家/エンタメアドバイザー

国立理系大学院卒、元塾経営者、作家・脚本家・ライターとして活動中。エンタメ系ライターとしては、気に入ったエンタメ作品について気ままに発信している。理系の知識を生かしたストーリー分析や、考察コラムなども書いている。映画・アニメは新旧を問わず年間100本以上視聴し、漫画・小説も数多く読んでいる。好みはややニッチなものが多い。作家・脚本家としては、雑誌や書籍のミニストーリー、テレビのショートアニメや舞台脚本などを担当。2021年耳で読む本をつくろう「第1回 児童文学アワード」にて、審査員長特別賞受賞。

渡辺晴陽の最近の記事