ノート(141) 弁護人による被告人質問の内容とその狙い(下)
~裁判編(15)
勾留177日目(続)
注目される供述
傍聴席で被告人質問を聞いている記者にとって、関心事の一つは犯人隠避事件に関する供述内容だった。というのも、大坪さんや佐賀さんが容疑を全面的に否認しており、来たる彼らの裁判では、僕の証言次第で有罪・無罪が決せられるはずだったからだ。
先行する僕自身の裁判で僕がどのような話をするのかにより、その後の展開に関してある程度の見通しを立てることができる。しかも、僕の弁護団は、公判前整理手続の中で検察側が提示した証明予定事実のうち3分の1に異議を唱え、削除させていた。
まさしく、大坪さんらによる隠ぺい状況に関する部分であり、検察側は起訴事実を争わない僕の裁判を利用し、大坪さんらの有罪を社会に印象づけようとしていたわけだ。
そればかりか、僕の弁護団は、國井君や塚部さん、白井君、林谷君、玉井さん、小林さんら検察関係者の供述調書のうち、その点に関する部分をすべて「不同意」にしていた。
改ざんの隠ぺい
ただ、改ざんが内部的に発覚したあと、上司に伝えたものの、過誤だとすり替えて説明するようにと指示され、これに従うほかなかったという限度では、被告人質問の中でその状況を語る必要があった。
やり取りは一問一答の形式で行われたが、整理すると、おおむね次のような内容だった。
この記事は有料です。
元特捜部主任検事の被疑者ノートのバックナンバーをお申し込みください。
元特捜部主任検事の被疑者ノートのバックナンバー 2020年3月
税込1,100円(記事3本)
2020年3月号の有料記事一覧
※すでに購入済みの方はログインしてください。