都心のマンション投資で、「坪単価」が目安になりづらくなっている最新事情
中野区で坪単価450万円は高いが、港区内ならば安い……新築分譲マンションの価格が高いか安いかを判定するとき、「坪単価(3.3平米あたりの売値)」で検討するテクニックは、不動産関係者だけでなく、投資目的でマンションを物色する人たちの間でも定着しつつある。
坪単価は、グロス価格(1戸あたりの販売価格)に対して、ネット価格とも呼ばれる。坪単価(ネット価格)は、マンションが安いかどうかの重要な目安となる。
だから、不動産のプロ、セミプロであれば、誰でも重視するのだが、間違って計算されることがあるので、やっかいだ。
不動産会社の場合、ネット価格は販売価格の総額から算出される「平均坪単価」のことを指し、1万円の単位まで出される。
これに対し、投資目的のマンション購入者は10万円単位の坪単価を用いる。目安として坪単価を利用するので、大まかな数字でよいと考えているのだろう。それはよいとしても、特定住戸のグロス価格から坪単価を算出する人がいて、その場合、正確なネット価格とはかけ離れた数値が出てしまうことがある。
たとえば、最上階で最も高額な住戸の価格から算出すると、坪単価2000万円という数値が出たりする。都心超高層マンションの場合、最上階住戸であれば、坪単価2000万円以上は珍しくない。
これに対し、販売される住戸全体から算出した正しい平均坪単価は513万円だったりする。平均坪単価が513万円で、最高額住戸の坪単価は2000万円以上……これは、下層階と上層階での価格差が大きい超高層マンションであり得る数字だ。
この場合、坪単価513万円で判定すればよいのだが、坪単価2000万円で判定したら、正しい評価はできない。
つまり、マンションの価格が高いか安いかを判定する重要な目安となるネット価格だが、それを役立てるには、正しい平均坪単価を手に入れる必要があるわけだ。
ところが、不動産会社が持っているネット価格は「社外秘」となるため、外部の人間が手に入れるのはまず不可能だ。
外部の人間でもマンション全体の価格表が手に入れば計算できるのだが、期分けして販売が行われる場合、マンション全体の価格表が手に入るのは、販売の最終段階。最後の最後に平均坪単価が分かっても、役立てようがない。
このように、坪単価は、非常に役立つ数字なのだが、現実に役立てにくい数字でもある。
さらに近年は、正確な平均坪単価が手に入っても、もう一つのデータがないと、高いか安いかの判定が付きにくい状況も生まれている。
平均坪単価に関する最新事情を報告したい。
重要なのは、平均坪単価を左右するもうひとつの要因
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