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特殊清掃からお坊さんまで。平均引退年齢が26歳と言われるJリーガーのセカンドキャリアの現実とは #専門家のまとめ

下薗昌記記者/通訳者/ブラジルサッカー専門家
2023年限りで引退した元日本代表の名手、遠藤保仁さんはガンバ大阪のコーチに就任(写真:ムツ・カワモリ/アフロ)

 2023年に創設30周年を迎えたJリーグ。「百年構想」のスローガンのもとで、今ではJ1からJ3までの各カテゴリーに20クラブが所属。1993年当時はJ1の10チームのみでスタートし、限られた存在だった「Jリーガー」はクラブ数の増加とともに2024年には1700人近くになりました。

 一方で引退後のセカンドキャリアには厳しい現実が待ちます。引退平均年齢は26歳ほどと言われますが、引き続きサッカー界で活躍できる存在はごくわずか。特殊清掃からお坊さんなど多彩にわたる元Jリーガーの新天地を紹介します。

ココがポイント

多くの選手が30歳手前で引退というか解雇になるんです。引退試合を開催できる選手なんてほんの一握り。
出典:@S[アットエス] 2024/12/30(月)

セカンドキャリアに、亡くなった人の自宅の清掃を行う「特殊清掃」の仕事を選んだ元Jリーガーがいる。
出典:読売新聞オンライン 2025/1/7(火)

第2の人生に僧侶の道を選んだ元Jリーガーの五藤(旧姓:梅村)晴貴さんは、わずか5年でプロサッカー生活に幕を下ろした。
出典:Number Web - ナンバー 2024/2/25(日)

J3で月給10万「Jリーガーと呼ぶのは反対」 元選手が苦しんだ現実とイメージのギャップ
出典:FOOTBALL ZONE 2024/12/22(日)

エキスパートの補足・見解

 昨年末には日本代表などでも活躍した中村憲剛さん、槙野智章さん、松井大輔さんが豪華な顔ぶれを集めた引退試合を開催。大きな話題を集めましたが、彼らのように長くサッカー界で活躍し、注目を集めながらスパイクを脱ぐ選手ばかりではありません。

 Jリーガーの数は増える一方で、引退後にはサッカー界から離れることを余儀なくされる人も数多いなか、その職種の多彩さにも注目が集まります。Jリーグ創設当初のヴェルディ川崎(現東京ヴェルディ)で活躍した石塚啓次さんはアパレルブランドを経営し、バルセロナでうどん店を経営。ガンバ大阪や日本代表でもプレーしたGKの都築龍太さんはさいたま市議会議員に。やはりガンバ大阪などでプレーした元U22日本代表の西野貴治さんも昨年4月に茨木市議会議員に当選しています。

 Jリーグでもキャリアサポートには取り組んでいますが、世代別代表を経験したエリートでさえ、簡単に活躍できなかったり、短いプロ生活で終わったりする厳しい現実が待っています。

記者/通訳者/ブラジルサッカー専門家

1971年、大阪市生まれ。大阪外国語大学(現大阪大学外国語学部)でポルトガル語を学ぶ。朝日新聞記者を経て、2002年にブラジルに移住し、永住権を取得。南米各国でワールドカップやコパ・リベルタドーレスなど700試合以上を取材。2005年からはガンバ大阪を追いつつ、ブラジルにも足を運ぶ。著書に「ジャポネス・ガランチードー日系ブラジル人、王国での闘い」(サッカー小僧新書)などがあり、「ラストピース』(KADAKAWA)は2015年のサッカー本大賞で大賞と読者賞。近著は「反骨心――ガンバ大阪の育成哲学――」(三栄書房)。過去、日本テレビでコパ・リベルタドーレスの解説やクラブW杯の取材コーディネートも。

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