日パキスタン国交70周年「関係は青天井」 日本在住者10年で2倍 震災支援や中古車、ハラールで貢献
日本とパキスタンの国交樹立70年を祝う式典が28日、都内のホテルで開かれた。両国首脳によるメッセージのほか、日本に移り住んできたパキスタン人の歴史や実情が紹介された。会場にはパキスタンと取引のある企業関係者や在日パキスタン人らが集まり、70年の節目に親交を深め、さらなる友好関係の発展を誓い合った。
礼拝でスタート
夕刻、式典の開始に際し、パキスタンの国教・イスラム教で義務付けられている礼拝が呼びかけられた。聖地メッカの方向へと祈りを捧げるとともに、間もなくのラマダン月終了を踏まえ、互いの健康をたたえ合った。新型コロナウイルスへの感染対策が求められる中、みなマスクを着用していた。
その後、同国のシャバズ・シャリフ首相がビデオメッセージで両国関係の歴史に触れつつ、日本企業への投資を呼びかけた。英語でのメッセージだったが、最後は「ゼンダバード」(万歳)とウルドゥー語で締め括った(以下、概要)。
続いて岸田文雄首相のメッセージが、本田太郎外務政務官によって代読された(以下、概要)。
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コロナ禍でも伸長
駐日パキスタン大使館も祝意を表し、「2022年以降も友愛関係は青天井だと楽観視している。この素晴らしい関係をさらに発展させ、様々な分野で新たなパートナシップを築いていきたい」と期待を表明。「日本はパキスタンにとって重要な開発パートナー、主要投資国、重要な輸出先。パキスタンの対日輸出は過去3年間増加傾向にあり、2021-22会計年度にはCovid-19にもかかわらず、指数関数的な伸びを示した」と説明した。
一方、日本国内に1万9000人ほどのパキスタン人とそのコミュニティが存在するとし、「彼らは中古車輸出、カーペット取引、ハラール食品の輸出のパイオニア的存在であり、今も日本経済への重要な貢献者だ」と強調した。
政府の在留外国人統計(旧登録外国人統計)によると、外交関係樹立後まもなくは日本に数十人しかいなかったパキスタン人は2009年に1万人を超え、今や2万人に迫る勢いだ。
富山県射水市など各地にコミュニティができ、埼玉県八潮市の一部地域はパキスタンの料理店などが並び、パキスタン人の多さから「八潮(ヤシオ)スタン」と呼ばれるほどだ。
全国から参集、特産品も展示
会場には、パキスタンと取引のある商社などの企業関係者や政府関係者、日本でレストランや中古車輸出などを手掛ける在日パキスタン人など数百人が集まり、70周年を祝った。パキスタン人の社長が経営する大阪の貿易会社の社員など、関係者が各地から駆けつけ、パキスタン人ネットワークが全国に広がっていることをうかがわせた。
パキスタンなどの民族楽器ラバーブ(Rubab)の演奏家ウエダタカユキさんが音楽を披露したり、パキスタン特産の絨毯やピンク色の岩塩などが展示されたりした。
そのほか、ナンやロティ、デザートのジャレビなどパキスタン料理が振る舞われ、参加者は舌鼓を打ちつつ、両国のビジネスや文化の発展を確かめ合った。
(写真はいずれも筆者撮影)