主な新興国経済ニュース(3月15日)
【チェコ‐3月15日】政府、国営チェコ航と大韓航空の資本提携を閣議決定
チェコのミロスラフ・カロウセク財務相は13日、経営難に陥っている国営チェコ航空(CSA)の株式44%を韓国国営航空最大手の大韓航空に6750万コルナ(約3億3000万円)で譲渡することを閣議決定したことを明らかにした。地元ラジオ局のラジオ・プラハ(電子版)が伝えた。
カロウセク財務相は、今後、大韓航空は首都プラハを同社の欧州でのハブ空港にする計画で、チェコ航空だけでなくプラハ空港にとっても事業を拡大することが可能になるとし、今回の両航空会社の資本提携について戦略的な重要性を持つと指摘している。大韓航空はすでにプラハ‐ソウル間で週3便の共同運航を行っている。
政府は来月9日に大韓航空とチェコ航空への出資について正式に調印する予定。
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【ロシア‐3月14日】ヤンデックス、株式売り出し価格を1株22.75ドルに設定
ロシアのインターネットサービス最大手ヤンデックスは13日、米ナスダック店頭市場での発行済み株式の7.4%に相当する2425万3987株(A株)の売り出し価格を1株当たり22.75ドル(約2180円)に設定したことを明らかにした。ロシアのプライム通信(電子版)などが伝えた。
この設定価格は12日の終値23.03ドルに対し1.2%のディスカウントとなっている。この結果、資金調達額は5億5400万ドル(約530億円)となる。同社が2011年5月に新規株式公開(IPO)を実施したときは、公開価格が1株当たり25ドル(約2400円)で13億ドル(約1250億円)の資金を調達している。
ロシア連邦貯蓄銀行(ズベルバンク)のアナリストは、同社が今回の売り出し後から11月14日まで計1200万株の自社株買いを実施することを発表していることを考慮すると、同社の株価が12日に前日比8%安となったものの、むしろ投資判断は「買い」だ」と指摘している。
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【インドネシア‐3月15日】セメント大手インドセメント、生産能力増強投資へ
インドネシア2位のセメント大手インドセメント・トゥンガル・プラカルサは、国内の旺盛な建築資材需要に対応するため、2億6000万‐3億2000万ドル(約250億‐310億円)の生産能力増強投資を行う計画だ。ジャカルタ・グローブ(電子版)が14日に伝えた。
設備投資では新たに3つのセメント工場を建設する。それによって、生産能力は現在の年間1860万トン体制から今後数年間で新たに900万‐1000万トンが追加され、2760万‐2860万トン体制となる。同社によると、現在、西ジャワ州に年間生産能力190万トンの新工場を建設中で、今年末までにはセメントの最大供給量は2050万トンになるとしている。
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【インドネシア‐3月15日】政府、日系12社出資のアサハン・アルミを完全買収へ
インドネシア政府はこのほど、日系企業12社とのアルミ精錬合弁大手アサハン・アルミニウム (INALUM)の全株式を取得して国営企業とする方針を決めた。ジャカルタ・グローブ(電子版)が伝えた。
アサハン・アルミニウムは1978年に政府と、住友化学<4005>や三井アルミニウム、三菱商事<8058>など日系企業12社で構成する日本アサハン・アルミニウムがそれぞれ41.12%と58.88%ずつ出資して設立された企業。
今回の政府によるアサハン・アルミニウムの完全買収は2013年11月までに完了する見込み。買収は当初、政府投資センター(PIP)を通じて行う計画だったが、政府は7兆ルピア(約690億円)の買収資金を今年度と来年の予算から支出する。
政府ではアサハン・アルミニウムの国営化にあたっては、既存の国営鉱山会社アネカ・タンバンの管理下に置く案も検討したが、結局、新たな国営企業とすることで意見が一致した。アサハン・アルミニウムは年間23万トンのアルミニウムを生産し、そのうち、40%は国内市場へ、残りの60%は日本向けに輸出されている。
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【ベトナム‐3月15日】ペトロベトナムファイナンスとウエスタン銀との合併、4‐6月期に完了か
商業銀行への転換を目指しているベトナム国営石油ガスグループ(ペトロベトナム)傘下のペトロベトナムファイナンス(PVFC)は今年4‐6月期に地場の小規模銀行ウエスタン・バンク(フオンタイ銀行)との合併を完了する見通しだ。ベトナム通信(電子版)が14日に関係筋の話として伝えた。
ウエスタン・バンクが16日に開催する株主総会に向けて策定した合併計画書によると、すでに両社は1年前に合併することで合意しており、PVFCとの合意に基づいてウエスタン・バンクは昨年5月から自己資本や資産、流動性資金の見直しを進め、収益体質の改善や合併に伴うリスクの低減などの対策に取りかかっている。
合併新銀行はPVFCのブランド力や石油・天然ガス業界との太いパイプを利用することが可能になると見られている。ペトロベトナムは現在、PVFCの株式の72%を保有しているが、合併後は48%に低下するほか、株主の米証券大手モルガンスタンレーも持ち株比率は10%から6.7%に低下する見込みだ。
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【ブラジル‐3月15日】中銀議事録、高インフレへの警戒感強める
ブラジル中央銀行(BCB)は14日、先月5-6日に開催した金融政策決定会合の議事録を公表し、その中で高インフレへの警戒感を強めていることを明らかにした。
それによると、中銀は政策金利(セリック)である翌日物金利誘導目標を7.25%に据え置くことを全員一致で決めるにあたって参考にしたブラジル経済の標準シナリオ(為替レートと政策金利が直近の数値で変わらず推移するケース)とマーケットシナリオ(為替レートと政策金利は中銀内部と外部のエコノミスト予想に沿って推移するケース)のいずれも、「今年のインフレ率の見通しは中銀の物価目標(2.5-6.5%)の中央値(4.5%上昇)を上回る」とし、前回1月会合時と同じ文言を使ったが、2014年のインフレ見通しについては、両シナリオとも「2014年のインフレ見通しは中央値を上回る」とし、前回1月会合時の「2014年のインフレ率は中銀の物価目標の中央値をやや上回る」という文言のうち、「やや(slightly)」が削除し、インフレ懸念を強めている。
議事録によると、マーケットシナリオについて、中銀内部のエコノミストが予想した今年のインフレ率見通しは前回1月会合時に予想した5.53%上昇から今回は5.70%上昇へ下方修正(悪化方向)された。また、2014年の見通しについては5.50%上昇に据え置かれている。他方、外部のエコノミスト予想は前回の5.52-5.56%上昇から今回は5.38-5.80%上昇へとこれもレンジの上限が下方修正されている。
標準シナリオの為替相場は前回会合時の1ドル=2.05レアルから今回は1ドル=2.00レアルに引き下げられている。
また、政策金利については、前回1月会合の議事録では、「インフレ率が物価目標と一致するようにするためには、金融状況がかなり長期にわたって安定することが最も適切な戦略である」とし、現行の7.25%の政策金利の水準が長期にわたって維持されることが望ましいとしていたが、今回の議事録ではこの文言がそっくり削除されている。
今回は「(マクロ経済の)将来のシナリオに影響を及ぼす国内外の要因は依然として先行きが不透明であることから、金融政策の検討は慎重に行われる必要がある」とし、「高インフレは賃金や失業給付など社会保障関連の手当を目減りさせ消費者の購買力を落として消費マインドや消費支出に悪影響を与える。従って、高インフレは経済や雇用、所得の潜在成長率を押し下げる。この観点から、中銀は次回会合時までマクロ経済のシナリオがどう推移するかを見てから、次の金融政策の戦略を定義する」と述べている。
この点について、アナリストは、中銀は前回1月の会合以降、インフレ見通しが悪化していることから、政策金利の長期据え置き戦略は取らないことを示唆しているとし、早い時期に利上げに転換する可能性が高まったと見ている。 (了)