ジャンボフェリー新造船「あおい」プレミア席が快適すぎる!”客席は禁麺“でも「うまげや」うどん充実!
2022年10月22日、「ジャンボフェリー」に、待望の新造船「あおい」が就航します。
1998年の明石海峡大橋開通前に15航路もあった関西と四国を結ぶ海上のルートは、現在は4航路のみ。その中でもジャンボフェリーがいまも賑わいを保ち続けているのは、やはり「使い勝手が良い」「コスパ良し」という面に尽きます。
このフェリーは、神戸三宮港〜高松東港間の旅客の基本料金が同区間の高速バスの約半分。自家用車でも4990円と、同区間の高速道路の料金・ガソリン代よりもかなり安くつきます。
海上をゆっくり航行するので時間はかかりますが、陸路との所要時間との違いは1−2時間程度。それならフェリーでゆったり熟睡して、三宮港を出てすぐの阪神高速神戸線・京橋出入口などから高速道路に入った方が、身体の負担も少なく長時間ハンドルを握れるというもの。
そういえば、これまでのジャンボフェリーのCMも「海の新幹線」(明石大橋架橋前)「安!ラク!トク!」など、メリットを直接訴えるものが他社より多かったような…それほど「コスパ良し」だったわけです。
そしていよいよ、ジャンボフェリーに新造船「あおい」が就航します。これまで建造から30年以上に渡って航路を支え続けてきた「りつりん2」「こんぴら2」と、どのような違いがあるのでしょうか。
就航に先立って高松東港・小豆島坂手港・神戸三宮港で行われた新造船「あおい」内覧会で、ジャンボフェリー株式会社・山神正義社長や「あおい」乗組員・クルーの皆様にお話を伺いつつ、「ここが変わる!」「これ使いやすくなる!」ポイントを検証してみました。
コスパの良さに加えて、快適性がグッと上がるジャンボフェリー「あおい」に、いざ乗船!
☆目次☆
①【快適シート&座席争奪戦にサヨナラ】
あの高級寝具と同じ材質のプレミアシート&予約制・QRコード入場
②【うどん・売店充実!】
売店「うまげや」リニューアル!「禁麺=うどん禁止、じゃないよ!」
③【細かい対応、ぐんと広がる!】
ペット&ロードバイク、しっかり対応!それ以外にも・・・
④ジャンボフェリーらしい気配りが詰まった新造船「あおい」
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☆もう“席取りダッシュ“の必要なし?”快適な座席にゆっくり座りまい!
#ガラッと変わったのは「座席の快適さ」!#
これまではカーペット・畳敷きのフロアがメインになっていましたが、新造船ではゴロ寝ができる「のびのび席(一人用)」「のびのびファミリー個室」、椅子席でも「コンフォートリクライニング(一人用)」「ボックス席(4人用・6人用)」など全13種類の」指定席エリア、そして自由席エリアから選び放題。
プレミア席のシート座面には、高級寝具や新幹線の座席などの「ブレスエアー」が、フェリーとして初めて採用されています。加えて、国内の中・長距離航路の中でもジャンボフェリーは、全体的に波が穏やか。(一応全航路を乗り尽くした筆者の所感です)これ、何も考えずに休めます。
これまでとの違いは、グループ利用での選択肢の充実。ジャンボフェリーはそのお手頃な価格もあって、これまでも「ちょっと大阪の甥っ子の家に遊びに行こうか?」という親戚の一行や、「週末に大阪までブランド品をまとめ買いに行くんじゃー!」「香川にうどん店巡りツアー行くぞ!」というグループ利用が多く、週末の深夜便を中心になかなかの混雑ぶりを見せていました。
これまでのゴロ寝フロアだと、いろいろな方々と隣同士で、ちょっと気を使うことも。(まあ、それも楽しかったのですが)
新造船「あおい」ならゆったりとパーソナルスペースを確保でき、ボックス席なら数人で割り勘にすれば、一人当たり数百円で済みます。
#座っただけで船長気分!「キャプテンシート」#
そしてお子様連れの方は、コンフォートリクライニング席の先頭にある「キャプテンシート」に是非とも座ってほしいものです。
船の進行方向の景色がぐるっと見渡せる上に、電磁コンパスや機器類も装備。1つ上のフロアにある操舵室と同様の、まさに“キャプテン”(船長)気分が味わえます。
また屋外の展望スペース「光のテラス」なら、さらに高い場所から瀬戸内海をぐるっと一望。手すりに“ウィンドブレーカー”(正面からの風を軽減する構造。ちょっと反った感じになっている)を装備しているため、外でもちょっとだけ暖かく景色を堪能できます。
#座席争奪戦しなくても、急いで階段登らなくてもOK!全席予約制#
これまでのジャンボフェリー「こんぴら2」はエレベーターがありませんでした。(「りつりん2」は2014年に増設)、新造船「あおい」は、ストレッチャーが入れるほど広いエレベーターを装備しています。
そして「あおい」は、自由席も含めて全席が予約制。これまでは繁忙期になると、スペース確保のために三宮港・高松東港ともに早くから長い行列ができることもあり(丸椅子は出してくれる)、山神社長も「予約して、待たずにすぐ乗ってほしい!」と仰られていました。
なお実際の体験談ですが、お盆などはこの争奪戦をクリアしないと、繁忙期のみ貸出のゴザを敷いて床で寝ることに・・・ちゃんと予約して、ゆったりと座席でくつろげるのは有り難いですね。
☆うどん・売店が超充実!だけど「禁麺」ってどういうこと?
#売店「うまげや」も充実!うどんメニューはそのまま#
うどんコーナーを含む売店は「カフェショップ『うまげや』(「うまげ」は讃岐弁で「美味しそう」の意味)としてリニューアル。お土産品の品揃えも増えて、小豆島で人気のMINORI JERATO(ミノリ・ジェラート)もメニューに追加。
全体的に「すごげ(讃岐弁で「凄い」)になっとる〜!!
タッチパネル式の券売機に表示されるうどんメニューの豊富さは、「さすがはうどん県!」と言ったところ。ただラインナップは、直近とほぼ変わっていません。
お勧めは、小豆島・マルキン醤油を使った揚げせんべい入りの「島うどん」、同じく小豆島のごま油が入った「島うどん」。そして、佐賀県・鳥栖駅ホームで話題となっている「レモンうどん」も最近メニューに加わりました。
なお、山神社長はうどんコーナーを結構気にされている要素。それもそのはず、奥様の親戚筋が、“うどん巡礼”の皆様が結構寄られるようなうどん店を経営されているのだとか。
分かった方、是非とも行ってみましょう。(ヒント:西讃(香川県西部))美味しい名店ですよ。
#「うどん禁止」じゃなくて「うどん客席持ち込み禁止」です!#
そしてジャンボフェリー新造船では、山神社長も「まったく想定外だった!」と言うほど、「うどん持ち込み禁止」を訴えるピクトグラムが話題を呼びました。
「“うどん県に行くフェリーがうどん全面禁止か〜!」というネタにもなっていましたが、うどんを食べるためのイートインスペースはちゃんとあり、あくまでも「客席へのうどん持ち込み禁止」。このピクトグラムも客席側についています。
前述の通り今回の新造船では、高級寝具と同じ素材の座席もあるほど。確かにダシをこぼすの申し訳ない!ですよね。
なおジャンボフェリーの売店は、うどんの他にもホットドッグ・稲荷寿司などメニューも豊富。でも、いつもうどんの注文しか見かけないのは…気のせいでしょうか?
☆あれ?社内に“サイクリスト“がいる? 自転車持ち込み環境、一気に充実!
#自転車(ロードバイク・クロスバイクなども)持ち込み、ちゃんと考えてる!#
これまでジャンボフェリーでは、自転車・ロードバイクなどの船室持ち込みの場合は、輪行袋に入れる必要がありました。またペットの持ち込み設備が整っておらず、都度相談という形をとっていたそうです。
しかし今回の新造船では、自転車をそのまま持ち込めるサイクルピットを整備。一部の個室には機体をそのまま固定できる金具も装備されています。
なお今回の新造船「あおい」では、持ち込みの扱いもTwitterで丁寧に案内されています。サイクルピットをエレベーターの至近距離に持ってくるなど、社員の方の意見がきっちりと生かされているようです。
①輪行袋に入れて手荷物として客室に持ち込む
→ 無料
②車両として車両甲板へ積み込む
→ 自転車料金
③車両として車両甲板から乗り込んで客室に持込む
→ 自転車料金+ピットor個室料金
ジャンボフェリー公式Twitter(@jumbo_ferry)「あおい」以外は従来通り
また、ペットルームや専用スペース「もふもふラウンジ」も、大手の長距離フェリー並みに充実したものが新設されています。
#ジャンボフェリーの浴室、足湯付きでリニューアル!#
「あおい」では、浴室が「海のテラス」として新装。景色をゆったり眺めることができる足湯や、海面を見下ろせる展望スペースも設けられています。
他にも「女性専用スペースの充実ぶり」「授乳室・おむつの交換室新設」「トラックドライバーの方向けの部屋が劇的にグレードアップ」など、もう書ききれません。
☆これからも、”ふたりを結ぶジャンボフェリー”!
香川県に発着する航路は、近年でも「宇高国道フェリー」「四国フェリー(宇野〜高松航路)」などが姿を消してきました。その中でジャンボフェリーは「乗客の役に立つことはすぐにやる」のが伝統のような気がします。
例えば、スマートフォンが急速な普及を見せ始めた頃、ジャンボフェリーはカーペット敷のフロアを中心に、どう見てもホームセンターで買ってきたような部材を駆使して、あっという間にコンセントの増設に対応していました。
そのほか「うどんイートインの拡張」「フェリー連絡バスのチケットをカプセルガチャの機械で無人販売」「小豆島下船で寝過ごさないためのブザー配布」「セルフレジ導入」など、最低限の投資で行う新サービスの導入は、他のフェリーではなかなか見ないものです。
新造船「あおい」では、一人当たりのパーソナルスペースほぼ全てに「えっ、こんなに装備するん?」というほど電源完備。前述の輪行の移動を最小限に止める工夫など、ジャンボフェリーらしさがしっかりと活きているような印象でした。
#プレミア席、是非ともお試しを!#
そしてできれば、座席の快適さが段違いの「プレミア席」を利用していただきたいものです。これまでのジャンボフェリーの認識が一挙に変わること間違いなし!
このプレミア席は500円から設定されているので、ちょっと奮発しても、高速バスや高速代・ガソリン代よりは、間違いなく安く収まります。
〈了〉