外出禁止令下のフランス。給料は払われるのか? 家賃、税金、水道代、ガス代の支払いはどうなるのか?
日本でもコロナウィルスでバイト代が激減した大学生が学費を払えずに困っているということだが、外出禁止令が始まって2週間目になるフランスでは、今、月末を迎え、市民は積み重なる請求書を前に「これ払うの?」と頭を傾げている。
現在、店を開けているのは食料品店、ランドリー、薬屋など生活必需品を取り扱う商店のみ。その他の商店を含め、中小企業、個人事業者は、非正規雇用者はどうやってこの月末を乗り切るのだろうか?
・ 個人の家賃
フランスでは毎年、約1万6千家族、3万6000人近くが家賃滞納で路上に放り出される。もちろん、家主は自己判断でそのようなことをすることはできず、まず裁判所に不払いの旨を訴え、その判決の結果、借家人は退去が命じられる。しかし、たとえ「退去すべしという」判決があったとしても、借家人は毎年11月1日から3月31日までは追い出されないという法がある。冬の間、貸家を追い出されてホームレスになって路上で亡くなる人もいるからだ。
しかし、コロナウィルス感染拡大とそれに次ぐ外出禁止のため、退去が決まっている家賃滞納者も今年は例外的に5月31日まで現在の家に住み続けることができる。
・ 中小企業の家賃、ガス代、水道代の支払い延期
「フランスは外出禁止令下で家賃、ガス代、水道代を払わずに済むらしい」という投稿がTwitterにあったが、そんなことはあり得ない。確かに、3月16日の大統領演説で、マクロン大統領は家賃、ガス代、水道代の支払い延期を言及したが、あくまで今の恐慌のあおりを食らって、従業員の解雇をしなければ倒産する恐れのある中小企業対象である。また、3月分の企業税、社会保険料の支払いは延期となった。免除としてほしいところだが、あくまで猶予である。
また、企業倒産を避けるため、政府は、資金操りをする企業が銀行から融資を受けやすくなるように、法人対象の新規の銀行融資に総額3000億ユーロの公的保証をすると発表した。
・ 解雇を避けるために従業員を部分的失業に
それでも多くの中小企業が倒産して失業者が大量に出ることを恐れ、政府は、経営者に従業員を「部分的失業」として申告することを勧めている。現在、15万社が160万人の従業員を「部分的失業」としており、彼らは、外出禁止令の間、働くことができなかった日数分は失業保険から手当を受け、その後、また同じ職場に戻ることができるというシステムだ。
・ 家事代行、ベビーシッターの給料
たとえば、私は週に2回、家事代行サービスにAさんに来てもらっているが、この3月17日に外出禁止令が発布されて以来、もちろん、彼女は仕事をしに来ていない。つまり3月分は通常の約50%しか働いていないことになる。
私と彼女の契約は、時給制で、私が頼む時にだけ来てもらうというものである。3月分に関しては、彼女も「部分的失業者」とみなされる。今月分に関して、当然のことだが、私は彼女にまず実際の労働時間分を払う。その後、外出禁止令で彼女働くことができなかった分の80%だけを支払い、その金額は、政府が後に返してくれるということだ。しかし、今のところまだうやむやで、どのような形で返金してくれるのか、また、いったいいつ返してくれるのかもまだ発表されていない……
特別手当がでる職種は?
個人経営者(美容院、レストラン、ホテルなど)で営業できない人々、仕事が減少したフリーランスの人々、従業員が10人以下の中小企業は、政府から3月分として1500ユーロの手当を受け取る。現在、60万人が対象になっている。また、3月21日、経済相は大型スーパーの労働者にボーナスを支払うことを提案。Auchan をはじめとしてCarrefour、Intermarcheといった全国規模の大型スーパーは1000ユーロ(約11万8千円)の特別ボーナスをこの3月に支払い、その分は所得として税金に申告しなくても良いことになった。
また、昨日、26日、マクロン大統領は現在、コロナウィルス感染者の治療に当たっている医療従事者全体に国からボーナスを出すと発表した。
※3月28日、新しいニュースを参考に数カ所訂正しました。