ドバイで開催される国連気候サミットCOP28を控え、環境保護団体や労働組合などがノルウェー全土で大規模な抗議行動「気候大行進」を行った。
20日は各都市で気候デモが一斉に始まり、自然保護団体、労働組合、オスロ司教区、政党、動物愛護団体など、政治や価値観の異なる50以上の団体が連名で参加した。
ノルウェー政府は石油とガスを段階的に廃止するという提案には消極的だ。その姿勢に対して「ノルウェーは責任を取らなければいけない」と市民が政府に圧力を与えている。
タリエ・オースラン石油・エネルギー大臣(労働党)は、国会前のデモに顔を出して、「政府として野望的な気候政策を実行し、社会転換にはみんなが参加しなければいけない」と語っていた。だが市民のブーイングや嘲笑も多く、全ての言葉は筆者も聞き取ることができなかった。
市民から石油大臣にスーツケースをプレゼント
現場は石油大臣に対してずっと「冷たかった」わけではない。それはノルウェーらしい民主的な社会の変え方ではなく、政治家の背中を後押しする重要性も団体や市民は理解している。
そこで用意されたのが「スーツケース」。国連気候サミットCOP28に参加する大臣への応援として、次々と団体が「提案書」をプレゼントし、「スーツケースに入れて、飛行機で読んでね」と手渡した。
それでもノルウェー政府は石油に頼り続けながら、国際社会では「気候フレンドリーな国だ」とアピールする姿勢を変えないだろう。その矛盾を国民は知っているからこそ、このような抗議活動は頻繁に起きる。
国連気候サミットでノルウェー政府は大したことはしないだろうが、もし市民がこれで諦めて沈黙したら、さらに石油依存は止まらない。だから市民はこうして今日も抗議活動を続けるのである。