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強い南風と暖かさに注意 あと1日遅ければ春一番

饒村曜気象予報士
移動性高気圧西側の朝鮮半島から東シナ海で増えてきた雲域(1月31日16時)

移動性高気圧の通過

 令和3年(2021年)1月31日の日曜日は、西日本を中心に移動性高気圧におおわれ、おおむね晴れて気温が平年を上回りました。

 雪が降っていた北日本の日本海側と北陸でも、高気圧の東進とともに次第に天気が回復してきました。

 しかし、移動性高気圧の西側にあたる朝鮮半島から東シナ海では雲が増えてきました(タイトル画像参照)。

 週明けの2月1日(月)は、低気圧や前線の接近で西日本から雨域が広がり、雨脚の強まる所もある見込みです(図1)。

図1 予想天気図(2月1日9時の予想)
図1 予想天気図(2月1日9時の予想)

 図1 予想天気図(2月1日9時の予想)

 東~北日本の日本海側はお昼頃から雨や雪が降り、夕方以降は太平洋側でも雨の降る所がありそうです。

 そして、2日(火)にかけて強い南寄りの風が吹いて気温が高くなる見込みです。

 多雪地帯では、気温上昇と降雨によって雪崩や融雪洪水がおきますので注意が必要です(図2)。

図2 雨と風の分布(2月2日3時の予想)
図2 雨と風の分布(2月2日3時の予想)

 冬から春にかけ、強い寒気の南下が止むと、低気圧が日本海で発達するようになり、強い南寄りの風が吹きます。

 この強い南よりの風のうち、春になって最初に吹く強い南風が「春一番」です。

 「春一番」の基準は地方により異なりますが、立春(今年は2月3日)から春分(今年は3月20日)までの間に日本海で低気圧が発達し、南寄りの風が強く吹いて気温が上昇することが目安です(表)。

表 各地方の「春一番」の基準
表 各地方の「春一番」の基準

 つまり、2月2日に日本海の低気圧によって強い南寄りの風が吹いても、立春の前であり、「春一番」にはなりません。

 あと1日遅く、2月3日の現象であれば、「春一番」ですので、週明けに警戒すべきことは「春一番」の時と同じです。

今冬の寒さ

 令和2年から3年(2020年から2021年)の冬は、昨年度の暖冬から一変し、寒冬となっています。

 日本付近のジェット気流が大きく蛇行し、この蛇行にのって北極付近の強い寒気が、周期的に日本付近へ南下しているからで、これまで5回強い寒気が南下しています。

1回目は12月14日頃から、2回目は年末年始頃、3回目は1月7日頃から、4回目は1月16日頃からで、5回目1月29日頃からのものです。

 そして、強い寒気が南下するたびに、各地の冬日(最低気温が0度未満)と真冬日(最高気温が0度未満)の観測地点数が増加しています(図3)。

図3 各地の冬日と真冬日の観測地点数の推移
図3 各地の冬日と真冬日の観測地点数の推移

 冬日と真冬日の観測地点数からみると、3回目の強い寒気南下が今冬最強の寒気南下になるかもしれません。

2月の気温

 東京の2月前半の最高気温と最低気温の予報をみると、ともに平年値より高い日が続く予報です(図4)。

図4 東京の最高気温と最低気温(2月1日から7日は気象庁、2月8日から16日はウェザーマップの予報)
図4 東京の最高気温と最低気温(2月1日から7日は気象庁、2月8日から16日はウェザーマップの予報)

 北日本や東日本の日本海側ではもう少し先になりそうですが、東日本の太平洋側から西日本では、着実に春の訪れが近づいています。

 そして、2月2日は節分、2月3日は立春です。

タイトル画像、図2の出典:ウェザーマップ提供。

図1の出典:気象庁ホームページ。

図3の出典:ウェザーマップ資料をもとに著者作成。

図4の出典:気象庁ホームページとウェザーマップ資料をもとに著者作成。

表の出典:気象庁資料をもとに著者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2024年9月新刊『防災気象情報等で使われる100の用語』(近代消防社)という本を出版しました。

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