本塁打量産!ドラフトで吉報届くか、火の国サラマンダーズ・水本大志「やれることはやってきた」
プロ野球独立リーグ「ヤマエ久野 九州アジアリーグ」の公式戦が16日に福岡県飯塚市の筑豊緑地球場で行われ、福岡北九州フェニックスと火の国サラマンダーズが対戦した。第36回戦で、今季の顔合わせはこれが最後。試合終了後は両チームの選手がシーズンの健闘をたたえ合い、記念撮影をする姿なども見られた。
ドラフト注目・芦谷が13勝目
【9月16日 ヤマエ久野 九州アジアリーグ 筑豊緑地球場 193人】
火の国 `001001120 5
北九州 `020000100 3
<バッテリー>
【火】◯芦谷、石本、S西島――深草
【北】福永、小川、大江、金本、●本野、力丸――武蔵、秋庭
<本塁打>
【火】水本15号 【北】野元1号
<スタメン>
【火】7松本 6中村 9水本 5高橋 8小林 3佐藤 D植草 4橋中 2深草
【北】4中村 6神谷 3妹尾 2武蔵 8鈴木 5宮本 9古賀 7野元 D吉岡
<戦評>
前日にリーグ連覇を決めた火の国がこの日も底力を見せた。2-2で迎えた七回表、先頭の橋中が四球で出塁。続く深草の送りバントで、橋中は相手守備の隙を突いて一気に三塁まで進んだ。1死三塁として1番・松本の二塁内野安打で勝ち越した。
すぐに3-3と追いつかれるも、八回表は途中出場の中野、代打・中島の連打でチャンスを作り、深草の放った打球が相手失策を呼んで再び4-3と勝ち越し。さらにもう1点を追加して5-3として、終盤の守りは石本と西島の救援リレーで逃げ切った。
先発したドラフト注目左腕の芦谷は7回114球で11奪三振、2失点の力投。今季13勝目(1敗)を挙げた。勝ち星に加えて防御率1.95、奪三振125もリーグ断トツの成績を残している。
北九州は、その芦谷から二回裏に野元が左越え1号2ランを放ち、一時リードを奪った。前日まで2戦連続2桁失点だった投手陣もこの日は踏ん張り、七回裏にも神谷の犠飛で追いつくなど食らいついたが、最後は一歩及ばなかった。(了)
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水本大志、打撃二冠の昨季から桁違いの成長
火の国サラマンダーズの和製大砲・水本大志外野手が悲願のドラフト指名へ猛アピールしている。
9月に入って量産モードだ。ここまで月間11試合で45打数18安打の打率4割ジャスト、5本塁打、18打点をマークしている。
この日は三回の第2打席で右翼へ確信歩きの一発だ。2戦連続の15号でリーグ1位のモタ(火の国)に3本差に迫った。リーグ日本人選手では、2番目に多い山下(大分)の7本を大きく引き離して断トツの数字を残している。
打点は先日、モタを抜いてトップに躍り出た。現時点での打撃成績は72試合出場で打率.312、15本塁打、64打点。堂々たる成績を残している。
月間11戦5発、打率4割
水本は福岡県出身の25歳。筑紫台高校から進んだ西南学院大学時代も九州六大学野球リーグで強打者として活躍し、社会人・熊本ゴールデンラークスに進んだ。このチームを母体とした独立リーグ化に伴い火の国サラマンダーズでプレー。
独立リーガー1年目の昨季は本塁打王と打点王の二冠に輝き、リーグ初代タイトルホルダーとなった。
もちろん、昨季もドラフト指名を待ったが、NPB球団からは調査書すら届かなかった。二冠王といっても6本塁打と42打点の成績。突出した感はなかった。
年齢も考え、野球から身を引くことも考えた。だけど「ずっと野球で生きてきた。やりきったと言えるのか、もっとやれることもあるのでは」と自問自答して、独立リーガーとして続行することを決意。夢のNPB入りへ思いを懸けて取り組んだ結果、今季は成績を大きく伸ばしている。打球の飛距離も力強さも桁違いに伸びた。
オリ山岡も取り組む練習法で改善
9月の好調については「終盤で体もきつくなってバランスが崩れていると思ったので、そこを見直しました。パルクール・トレーニングなどで」と話した。パルクールは障害物を跳び越えていく体操の新種目でフランスの軍隊訓練から発展。オリックス・バファローズの山岡泰輔投手やソフトバンクの松本裕樹投手らも導入している練習法だ。
10月20日のドラフト会議への思いを「難しいのは分かっています。でも、やれることはやってきました。あとは時の運です」と口にした。水本に吉報は届くのか。
水本大志(みずもと・たいし)
1997年7月24日生まれ、福岡県出身。身長183cm、体重94kg。左投左打。足のサイズも29cmといかにも大型スラッガーだが、今季13盗塁と積極的な走塁も持ち味。今季は単独ホームスチールの離れ業を成功させた試合もあった