美味しさの秘訣は二重に包む?計算された「あんず大福」の爽やかな酸味と素朴な甘味にほっこりと
住所的には広尾ですが、恵比寿駅と広尾駅のちょうど真ん中あたりに立地する「菓匠 正庵」さん。
瀟洒なエリアですが、マンションや小学校、図書館に囲まれた意外とアットホームな場所に位置しています。その立地ゆえに、ご進物やお手土産だけではなく、毎日のおやつとして地域の方々からも愛されていらっしゃる和菓子屋さんです。
都内百貨店での催事出店等、お店意外でも商品が購入可能な菓匠正庵さん。今回はその名物のひとつ、テレビでも取り上げられた経験もある「あんず大福」をご紹介。
大福というくくりの中では比較的小ぶりな大福なのですが、やや重厚感と不思議な弾力のある噛み心地にわずかに驚き。
ほんのり塩気がきいたお餅に包まれているのは、淡い色合いの粒あんとセミドライの杏子。このふたつの素材の包み方が正庵さん特有なのです。
粒あんの上に直接杏子をのせるのではなく、一度お餅で杏子を包んでから重ねあわせるというひと手間。そうすることで、杏子の酸味があんこに移らないのだとか。
確かに、素朴でやや甘さを控えた粒あんなので、口の中でまずあんこを味わい、一呼吸おいて杏子とのコンビネーションを楽しむことにより、味わいのコントラストがついてより楽しく美味しく感じられますね。あんこと杏子の間のお餅の塩気が「酸・塩・甘」という橋渡し役になっており、私は好きです。
ありそうでなかったこの大福。お店の方にお伺いしたところ、お店を訪れるお客さんに浸透するまで、ちょっと時間を要したのだとか。
それでも、ほんのひと手間がそのお店の特徴になっていくというのも、長く続いていく秘訣のひとつなのかもしれませんね。
いちごの旬が終わりを告げる今日この頃、杏子の爽やかな酸味も恋しくなってくる頃です。
<菓匠 正庵>
東京都渋谷区広尾1-9-20
03-3441-1822
10時~17時30分
JR「恵比寿」駅東口方面より徒歩10分弱