米空母アイゼンハワーが無傷であることを艦の全容を見せて証明
6月25日に地中海のギリシャのクレタ島にあるスーダ湾に到着したアメリカ海軍の空母「ドワイト・D・アイゼンハワー」ですが、6月27日に新たな写真が追加発表されました。以下アメリカ軍広報サイトDVIDSより。
Ike arrives in Souda Bay
Team Souda welcomes the Mighty Ike!
AFN Souda Bay News In Focus - USS Dwight D. Eisenhower
Ike(アイク)はアイゼンハワーの愛称です。空母は艦の全容を見せて無傷であることを証明しました。フーシ派が主張していた紅海での空母アイゼンハワー撃破という「大本営発表」は何もかも虚偽だったと確定しています。
イエメンのフーシ派は最近1カ月間に紅海に居た米空母アイゼンハワー撃破を何回も主張していました。そしてこれを盲目的に信じる陰謀論も世界中で拡散し、空母を撃破した証拠は何も提示されていないにも拘らず、空母は撃破されている、アメリカは隠蔽しているのだ・・・などと信じている人たちが一部に根強く残っています。
- 衛星画像で紅海の米空母アイゼンハワーの健在を確認(2024年6月3日)
- 紅海で米空母アイゼンハワーと伊空母カヴールが合同演習を実施。フーシ派が撃破を主張していた米空母は無傷(2024年6月10日)
- 再びフーシ派が米空母アイゼンハワーを撃破したと発表、おそらくまた虚偽か(2024年6月23日)
- 米空母アイゼンハワーがギリシャのスーダ湾に到着、健在ぶりを証明(2024年6月26日)
かつて太平洋戦争で日本軍の最高統帥機関である大本営は、幾度となく虚偽の敵艦隊撃破の大戦果を発表しました。この結果、敗戦後に「大本営発表」という言葉は虚偽発表の比喩表現として使われるようになっています。今回のフーシ派の発表はそれを思い起こすものでしたが、誰でも情報をチェックできるインターネット時代の現代でさえ、一部の人は大本営発表を頑なに強く信じてしまうことが浮き彫りになっています。
約1カ月間の間、空母アイゼンハワー撃破陰謀論は「空母撃沈」→「空母撃破」→「空母はサウジアラビアのジッダ港に退避」→「空母は飛行甲板に大穴が開き修理中」→「空母は紅海北部に退避」→「フーシ派に恐れをなして逃げた」→「空母は紅海を去った、フーシ派の勝利だ」と変遷していきました。この間に空母撃破の証拠と称する捏造映像がインターネットのSNS上などで大量に流布されましたが、全てが嘘でした。陰謀論にはフーシ派が主張してない内容までデマが追加されていったのです。
現実には空母アイゼンハワーは紅海に居る間に何処にも寄港せず、紅海北部に移動したのは洋上補給を受け取ったりイタリア海軍の空母カヴールと一緒に記念撮影していたのが理由で、そして紅海から去ったのは2度の任務延長で残業続きだったものがようやく帰還できることになっただけで、本来ならもっと早く帰っていなければなりませんでした。なお中東展開任務の交代役は太平洋から空母セオドア・ルーズベルトを呼び寄せることが発表されています。
空母アイゼンハワーは無傷、本国への帰還は度重なる残業の末の決定、中東展開用の交代の空母は既に手配済み。これで「米空母は逃げ帰った」と言い張ることはあまりにも無理のあり過ぎる主張ですが、フーシ派やイランがそのような「大本営発表」を繰り返しているため、これに同調したロシアや中国のプロパガンダも加わって、フェイクニュースを信じる人が世界中で少数ですが発生しています。戦時下の宣伝戦というものは荒唐無稽な話であっても一定の効果を生んでしまうことは、日本の将来の安全保障を考える上でも対抗措置を考慮しなければならない要素になってしまうのでしょう。