ウクライナ軍の新型ドローンミサイル「ペクロ」公開、ジェットエンジンの小型巡航ミサイルで射程700km
12月6日、ウクライナは射程700kmの新型巡航ミサイル「ペクロ」を公開しました。8月25日に公開された「パリャヌィツィア」と同じジェットエンジン搭載巡航ミサイルで、本格的な巡航ミサイルよりは小振りで簡易な構造のため「ドローンミサイル」と呼称されています。
- Drone-missile "Peklo"
- Дрон-ракета «Пекло»
- ドローンミサイル「ペクロ」
ペクロとは東スラブの神話に出て来る地獄の意味で、特に火が燃えているイメージとなっています。英語にすると”Hell”よりは”Inferno”が近いかもしれません。
なおややこしいのですが「パリャヌィツィア」の時は「ミサイルドローン(Ракета-дрон)」と呼称されていましたが、今回の「ペクロ」では「ドローンミサイル(Дрон-ракета)」と呼称されています。おそらく用語として呼び分けしている意識はなく、どちらも同じ意味だと思われます。
- 射程:700km(公表)
- 速度:600~700km/h(推定)
- 弾頭:50~100kg(推定)
ペクロの性能は本格的な亜音速巡航ミサイルと比べると速度は若干遅い程度で弾頭重量は数分の1程度です。一方でプロペラ式の長距離自爆無人機と比べると速度は3倍で弾頭重量は2倍はあります。ドローンミサイルという呼称は両者の中間ということになりますが、実質的には小型巡航ミサイルです。
ペクロには脚が付いておらず、翼やエンジンの収納機構が見当たらないので、キャニスター(発射筒)から発射する方式ではなく、発進は剥き出しの状態でRATO(離陸補助ロケット)ないしカタパルトを用いる筈です。
直線翼の主翼と後部にV字尾翼を持ち、ジェットエンジンは外装式で上面に装着されています。特にジェットエンジンの配置はイランのパーヴェ巡航ミサイルやイランがフーシ派に供与したクッズ巡航ミサイルと同じです。ただしこれは真似したというよりは、おそらくジェットエンジン搭載で最も簡単な方法が選ばれています。胴体内にジェットエンジンを埋め込むと空気吸入孔の設計と製造が複雑になるので、そのままジェットエンジンを外部に装着した形です。
関連まとめ:イランの新型巡航ミサイル「パーヴェ(Paveh)」
ただしパーヴェやクッズは本格的な巡航ミサイルに近い大きさで胴体も長いのですが、ペクロは胴体が短くジェットエンジンも小振りで(おそらく大型模型飛行機用)、ミサイルとしての大きさはペクロの方がかなり小さくなります。