「ジブリパーク」を楽しむコツは「ジブリパーク以外」も楽しむ!
既存の公園を活かしてつくられるジブリパーク
ジブリパークが2022年11月1日、いよいよオープンします。『風の谷のナウシカ』『となりのトトロ』『千と千尋の神隠し』など、数々の国民的ヒットアニメ映画を生み出しているスタジオジブリによる公園施設だけに、ファンの期待、そして地元・愛知県の期待はいやが上にも高まるばかりです。
ジブリパークは愛知県長久手市の愛・地球博記念公園(モリコロパーク)内。地元でもしばしば誤解されがちなのですが、“モリコロパークがジブリパークに生まれ変わる”わけではありません。既存の公園の豊かな自然を活かしつつ、敷地内に合わせて5エリアが新設されるのが「ジブリパーク」です。
名古屋駅からは地下鉄、リニモを乗り継ぎ、乗り継ぎを含めておよそ1時間弱で「愛・地球博記念公園」駅に到着します。
11月はその第1期として「ジブリの大倉庫」「青春の丘」「どんどこ森」の3エリアがオープン。2023年秋には「もののけの里」、2024年3月には「魔女の谷」が開園予定となっています。
圧倒的スケールの「ジブリの大倉庫」
去る10月12・13日には完成した施設がメディア向けに先行公開。まずはその展示内容を紹介します。
3エリア中、最も規模が大きいのが「ジブリの大倉庫」。ここはもともと温水プールだったところを丸ごと活かした空間で、ここだけで「三鷹の森ジブリ美術館」のおよそ3倍ものスケールを有します。
まずテンションが上がるのが企画展示の「ジブリのなりきり名場面展」。『千と千尋の神隠し』『天空の城ラピュタ』などの登場人物になりきって名場面の中に入って写真を撮れるのです。
カラフルでかわいいネコバスに乗れる(小学生以下限定)「ネコバスルーム」、『千と千尋の神隠し』の湯婆婆の「にせの館長室」、これまでの展示制作物などを保管する「公開倉庫」、10数分程度の短編アニメーション10作品を順次上映する「映像展示室オリヲン座」など、ここだけで大博覧会と呼ぶにふさわしい圧倒的なスケール。ジブリの作品世界がギュギュッと詰め込まれていて、いくら時間があっても足りないくらい倉庫内すべてが見どころとなっています。
細部のつくり込みに引き込まれる「青春の丘」
「青春の丘」は、ジブリ作品の中でもまぶしく甘酸っぱい青春ストーリーのファンにはたまらないエリア。『耳をすませば』の重要な舞台である骨董品店兼バイオリン工房「地球屋」が公園を見下ろす丘の上に建てられ、それと並んで『猫の恩返し』に登場する「猫の事務所」が、“猫サイズ”で再現されています。どちらもディテールのつくり込みにこだわりまくっていて、作品をもう一度観てみたくなること必至。作品に対する思い入れや理解度がぐっと深まるに違いありません。
昭和の風景に心なごむ「どんどこ森」
「どんどこ森」は『となりのトトロ』で描かれたノスタルジックな昭和の世界へ迷い込めるエリア。2005年に愛・地球博のパビリオンとして建てられた「サツキとメイの家」に加えて、裏山の山頂にトトロをモチーフとした高さ約5mの「どんどこ堂」を新設。どんどこ堂は小学生以下の子どもが中に入って遊べる木製遊具になっています。
遊園地のような派手なアトラクションはなく、周りの公園の環境も含めてジブリの世界観にどっぷり浸れるのが大きな特徴。ジブリの熱心なファンにとっては心惹かれる場面ばかりですが、作品を観たことがなくてもジブリパークを体験することで個々の作品に興味が膨らむ、そんな効果も期待できそうです。
ジブリパーク以外も楽しみ方いっぱいの愛・地球博記念公園
チケットはエリアごとに日時指定の予約制。11月分までのチケットは既に完売し、10月12日現在で購入できるのは1月分以降になります(※チケット販売の詳細はこちら)。
【ジブリパーク 各エリアの料金】
ジブリの大倉庫 平日/大人2000円、4歳~小学生1000円
土日祝/大人2500円、4歳~小学生1250円
青春の丘 大人1000円、4歳~小学生500円
どんどこ森 大人1000円、4歳~小学生500円
特にオープン当初は購入希望が多く、3エリアのチケットを同日に取れないことも考えられます。そんな時もジブリパークの満足度を十分に高める方法が、“ジブリパーク以外”の公園施設を楽しむこと。冒頭にも述べた通り、ジブリパークは愛・地球博記念公園内のいわば“パークinパーク”。愛・地球博記念公園を楽しむことで、より充実した時間を過ごすことができるのです。
子ども連れなら「愛知県児童総合センター」や、自然体感遊具のある「こどものひろば」で思い切り体を動かして遊ぶことができ、大観覧車では自然豊かな公園と周辺の眺望を楽しめます。「愛・地球博記念館」は2005年の愛知万博で訪れた人なら懐かしさを感じられること間違いなし。世界各国の文化を展示する民俗資料館的な面白さもあります。アクティブ派ならアイススケート場やサイクリングコースも。広大で自然豊かな園内では、グルメなどのイベントが開かれることもあり、ジブリパーク以外のお楽しみも豊富なのです。
ジブリパークは確かに魅力いっぱい。しかし、せっかく広大で内容充実の公園内にあるのですから、周辺も合わせて一日たっぷり楽しむことをお勧めします。「ジブリパークを楽しむ」ためには「ジブリパーク以外も楽しむ」。そうすることで「また来たい!」という次回への期待もいっそう膨らむはずです。
(写真撮影/すべて筆者)