原付バイクも重大事故の加害者に 「自賠責保険」の期限確認を!
今年も自動車税の納付時期がやってきました。納付期限は5月31日。エコカーではないちょっと古めの愛車を所有している私は、その税額の高さに、悔しいやら悲しいやら……、なんとも複雑な思いで納付書を眺めています。
しかし、これを支払わなければ車検が受けられないので仕方ありません。そろそろ納付しなければと思っているところです。
●原付バイクで重傷事故のケースも
さて、古いクルマの自動車税の問題については、また今度改めて問題提起をさせていただくとして、今回は自賠責保険についてのお話です。
実はこの1カ月の間に、「自賠責に加入していない無保険の原付バイクに事故を起こされた」という被害者やそのご家族から、相次いで情報が寄せられました。
そのうち1件は、深刻な重傷事故でした。
原付バイクが歩行中の女性に衝突。その衝撃で女性は頭を強く打ち、脳を損傷。遷延性意識障害となって、意識のないまま寝たきりで入院中だというのです。このメールをくださったのは女性の息子さんでした。
加害者は20歳の男性で、自賠責保険は未加入でした。お母様はマイカーを所有しておらず、人身傷害保険を使うこともできません。息子さんは今後どうすればよいのかと途方に暮れておられましたが、加害者の親の車にファミリーバイク特約(任意保険)がついていたことだけが救いでした。
●車検のないバイクは自賠責切れに要注意!
公道を走る車は、原付バイクを含め、自賠責保険(共済)に入っていなければ運転することはできません。これは、自動車損害賠償保障法という法律で定められています。
国土交通省のウェブサイトには、これに違反した場合の罰則について、次のように記されています。
たとえ事故を起こさなくても、自賠責保険(共済)に未加入で運行した場合は1年以下の懲役または50万円以下の罰金、自賠責保険(共済)の証明書を所持していなかっただけでも30万円以下の罰金が科せられます。 また無保険での運転は交通違反となり違反点数6点が付され、即座に免許停止処分となります。
4輪車や大型バイクを所有している人の場合は、車検を受けるときに必ず自動車税の納付書とともに、自賠責保険の証明書も必要となりますので、無保険になる可能性はないでしょう。しかし、車検のない中型以下のバイクや原付の場合は、自分でしっかり管理しておかなければ、うっかり期限切れということになりかねません。
実際に、原付バイクの自賠責保険加入率は約7割とも言われていて、かなり深刻な状況なのです。
自賠責で支払われる保険金額については下記の表を見てください。
万一、自賠責保険(共済)未加入のまま人身事故を起こしてしまうと、自賠責保険(共済)から支払われる賠償金は、運転していた加害者本人の自己負担となります。
上記のケースのように、被害者が寝たきり状態になった場合、自賠責の限度額はすぐにオーバーしてしまいます。親の車にかけてあったファミリーバイク特約(任意保険)が使えたとしても、そこから支払われるのは自賠責保険(共済)の支払い限度額を超えた金額のみです。 つまり、重度後遺障害の上限4000万円は加害者本人が自分で賠償しなければならないのです。
20歳の加害者は、この先どのように支払っていくのでしょう。自賠責保険をかけ忘れていたばっかりに、多額の負債を抱えることになるのです。
一方、無保険の加害者に事故を起こされた被害者は、泣き寝入りを防ぐため、自賠責の代わりとなる政府保障事業に請求することができます。
この保障内容については、国土交通省の下記サイトをご覧ください。
http://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/04relief/accident/nopolicyholder.html#seifu
●もし無保険車を見つけたら、国交省の「通報窓口」へメールを
駅前や大学のキャンパスにずらりと並んでいる原付バイク。ときどきそれらのナンバープレートをじっくり見てみると、自賠責の期限切れステッカーが目に入ることがあります。
もし、自賠責未加入のバイクを見かけたら、ぜひ国交省の「無車検車・無保険等車通報窓口」(以下URL)へ連絡してください。
http://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk5_000012.html
「なんだか、密告しているみたいでいやだなあ……」なんて思う必要はありません。その所有者も「うっかり」で更新を忘れている可能性が大なので、国交省経由で教えてあげた方が身のためです。
新入学や就職で自宅から離れて暮らし始めることの多いこの季節。新しい場所で、便利な原付バイクを通学や通勤の足にしている人もきっと多いと思います。
「原動機付自転車」という名称ではありますが、原付バイクは決して自転車ではありません。また、重大事故の加害者になる可能性も十分にあるのです。
自賠責保険料は下記の表のとおり、長期契約の方が断然お得です。この機会にぜひ、ナンバープレートのステッカーと自賠責保険の証明書を確認してみてください。