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これからの大河ドラマは、戦から文化にシフト 「光る君へ」

木俣冬フリーライター/インタビュアー/ノベライズ職人
大河ドラマ「光る君へ」より 写真提供:NHK

古き良き日本の文化を見直そう

2024年放送予定の大河ドラマ「光る君へ」の撮影が順調のようだ。23年5月28日(日)に京都市内でクランクインした後、岩手県奥州市でロケを行った。

第4話(予定)、若き紫式部(まひろ 演:吉高由里子)が「五節の舞」に参加し、藤原道長(柄本佑)などが見る前で舞を披露する場面などが撮影された。

五節の舞は、紫式部(まひろ)が後に執筆する「源氏物語」にも登場する神事。毎年、11月の丑、寅、卯、辰の4日間にわたり行われる朝廷での新嘗会・大嘗会で、少女たちが舞う。舞姫は公卿と国司の家から選ばれることになっていた。

実際に舞ってみた吉高さんは、「とても優美な風景でまるで自分も平安時代にワープしたかのような引き込まれ方をしました」と語っている。

「いままで演じてきた時代設定とくらべ、平安時代は世界観がはるかに異なるので、新鮮な気持ちで撮影に臨んでいます」と言う吉高さん。大河ドラマでも、平安時代が舞台になった作品は、これまで「源義経」(66年)、「新・平家物語」(72年)、「風と雲と虹と」(76年)、「義経」(2005年)、「平清盛」(12年)と少ない(平安から鎌倉時代まで描かれた作品はいくつかある)。

主に戦国時代を舞台にした作品が多かった大河は、”◯◯の戦い”、”◯◯の変”など、戦が見せ場になってきた。が、「光る君へ」では作家を主人公にして、戦ではなく文化を見せ場にし、古き良き日本の文化を見直そうという狙いがあるそうだ。

文学や書道、季節ごとの着物の色合わせなど、平安時代に息づいた素敵な文化の数々が丁寧に描かれる予定。五節の舞も、貴重な文化のひとつ、中世に一度、廃絶したがのちに復活した。遺そうとする人の思いで復活したのだ。

「光る君へ」の次の作品「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」も、江戸の出版プロデューサー的存在・蔦屋重三郎(横浜流星)が主人公である。2作続けて作家、出版と文化系主人公となる。現在放送中の「どうする家康」は、戦国真っ只中で戦続きながら、家康(松本潤)の妻・瀬名(有村架純)が花を愛し、花に囲まれた庵で花を活けている画がよく出てくる。

岩手県奥州市に建つオープンセットを活用

「光る君へ」のロケが行われた岩手県奥州市には、平安から鎌倉時代を描いた「炎立つ」(93年)のときに平安鎌倉室町期の建物をオープンセットとして建て、それがテーマパークとして残っていて、「真田丸」や「おんな城主直虎」等、おりにつれ利用している。

「真田丸」のとき、NHKのプロデューサーに聞いた話 だと、セットは撮影が終わると壊してしまうが、平安鎌倉室町期のオープンセットは建築物として成立し得るように作られたため、いまなお残され、歳月が経つごとに味わいを増しているそうだ。「光る君へ」の五節の舞の場面もそこを活用している。これもまた文化の継承といえるだろう。

吉高さんコメント全文

「いままで演じてきた時代設定とくらべ、平安時代は世界観がはるかに異なるので、新鮮な気持ちで撮影に臨んでいます。今回のロケでは“五節の舞”という神事を舞う場面を演じたのですが、とても優美な風景でまるで自分も平安時代にワープしたかのような引き込まれ方をしました。これから1年以上の長い撮影期間が本格的に始まります。この時代を舞台に演じる機会は、一生に一度あるかないか。私も初めての経験なので未知の世界に踏み込むことになりますが、キャスト・スタッフ含め、1人1人の連帯感を大切にこの作品をますます輝かせていけたらいいなと思っています」

大河ドラマ「光る君へ」より 写真提供:NHK
大河ドラマ「光る君へ」より 写真提供:NHK

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2024年大河ドラマ「光る君へ」

【放送予定】2024年1月~12月

【作】大石静

【音楽】冬野ユミ

【語り】伊東敏恵アナウンサー

【スタッフ】

制作統括:内田ゆき、松園武大

プロデューサー:大越大士、高橋優香子

広報プロデューサー:川口俊介

演出:中島由貴、佐々木善春、中泉慧、黛りんたろうほか

フリーライター/インタビュアー/ノベライズ職人

角川書店(現KADOKAWA)で書籍編集、TBSドラマのウェブディレクター、映画や演劇のパンフレット編集などの経験を生かし、ドラマ、映画、演劇、アニメ、漫画など文化、芸術、娯楽に関する原稿、ノベライズなどを手がける。日本ペンクラブ会員。 著書『ネットと朝ドラ』『みんなの朝ドラ』『ケイゾク、SPEC、カイドク』『挑戦者たち トップアクターズ・ルポルタージュ』、ノベライズ『連続テレビ小説 なつぞら』『小説嵐電』『ちょっと思い出しただけ』『大河ドラマ どうする家康』ほか、『堤幸彦  堤っ』『庵野秀明のフタリシバイ』『蜷川幸雄 身体的物語論』の企画構成、『宮村優子 アスカライソジ」構成などがある

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