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グラスナウの離脱は、ドジャースの夏のトレード補強に影響を及ぼすのか

宇根夏樹ベースボール・ライター
タイラー・グラスナウ(ロサンゼルス・ドジャース)Jun 29, 2024(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 7月9日、ロサンゼルス・ドジャースは、タイラー・グラスナウを6日まで遡って故障者リストに入れた。腰の張りによるものだ。

 ドジャースのローテーションからは、山本由伸ウォーカー・ビューラーも離脱している。クレイトン・カーショウダスティン・メイは、今シーズンの開幕を迎えていない。

 ただ、ドジャースは、ナ・リーグ西地区の首位に立っている。シーズン55勝は、フィラデルフィア・フィリーズの59勝に次ぎ、ナ・リーグで2番目に多い。夏の補強がなくても、ポストシーズンに進むことはできそうだ。

 現時点のローテーションには、ギャビン・ストーンジェームズ・パクストンボビー・ミラーランドン・ナックの4人に、今月7日にメジャーデビューしたジャスティン・ウロブレスキーが並んでいる。こちらもルーキーのストーンとナック――ストーンはメジャーリーグ2年目――は、それぞれ、先発16登板で防御率3.03と先発7登板で防御率2.86を記録している。

 グラスナウの離脱が長引かず、少し長めのオールスター・ブレイクといった程度で済めば、ドジャースの夏の補強計画に変更はないような気がする。

 ドジャースがローテーションに誰かを加えるとすれば、ポストシーズンで勝ち上がり、ワールドシリーズで優勝するためだろう。

 先月末、USAトゥディのボブ・ナイテンゲールが報じたところによると。ドジャースは、シカゴ・ホワイトソックスにギャレット・クローシェイの獲得を申し出て、断られたという。

 今シーズン、クローシェイは、先発19登板で105.1イニングを投げ、奪三振率12.47と与四球率1.97、防御率3.08とFIP2.43を記録している。FIPは、フィールディング・インディペンデント・ピッチングの略。ざっくり説明すると、守備の要素をできる限り排除した防御率だ。

 7月8日の時点で、クローシェイの奪三振率は、チームの試合数×1.0イニング以上の投手のなかで最も高い。2位は、11.81のグラスナウだ。FIPは、2.25のクリス・セール(アトランタ・ブレーブス)に次いで低い。

 また、クローシェイは、25歳と若い。FAになるのは2026年のオフだ。この点も、来シーズン以降も勝ち続けようとしているドジャースにフィットする。

 もっとも、ドジャースが見返りを上積みしても、クローシェイを手に入れることができるかどうかは、わからない。当然ながら、クローシェイを欲しがる球団は多い。しかも、ホワイトソックスは、この夏の放出を見送ったとしても、まだトレードの機会はある。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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