川﨑颯太、川村拓夢、森下龍矢。”森保ジャパン”初招集3人の起用法を探る。
森保一監督は6月に行われるエルサルバドル戦、ペルー戦に向けた日本代表メンバー26人を発表しました。
海外組が22人、Jリーグでプレーする国内組は4人というメンバー構成でしたが、大迫敬介(サンフレッチェ広島)をのぞく3人は初招集の選手。川﨑颯太、川村拓夢、森下龍矢。日頃からJリーグを観ているファンじゃないと、なかなかピンと来ないかもしれれません。
そんな3人について、森保監督はどのような起用法を考えているのでしょうか。
川﨑颯太(京都サンガ)
パリ五輪世代から、常連の久保建英(レアル・ソシエダ)をのぞけば唯一の選出となった。京都のアカデミーから昇格し、曺貴裁監督が”ホールディングセブン”と呼ぶ4ー3ー3のアンカーで攻守に渡り、チームを支えている。
ボールを奪う能力が高く、セカンドボールから素早くフィニッシュに関わることができる。”01ジャパン”として目指した2年前のUー20W杯はコロナ禍で無くなってしまったが、京都がJ1昇格を決めた2021年のジェフ千葉で、ホテルからフクアリに向かう道中からJFA夢フィールドが見えたと言う。
「懐かしさを感じたし、その時の気落ちであったりとか。当時はプロ入りたて、出始めの時だった」
またあの場所に戻り、日の丸を付ける。その願いはパリ五輪を目指すU−22日本代表で叶ったが「J1で力を発揮して、示すことが、代表とか海外、W杯への近道だと思っている」と誓った川﨑にとって、A代表は単なる憧れではなく、勝負するべき場所である。
京都やU−22日本代表と同じ4ー3ー3であれば今回のメンバーでも最も適任かもしれない。4ー2ー3ー1であれば、遠藤航(シュトゥットガルト)、守田英正(スポルティング)、鎌田大地(フランクフルト)、そして久々の招集となった川辺駿(グラスホッパー)、同じ初招集組の川村が強力なライバルになってくる。
今回の構成を考えると、インサイドハーフが得意な旗手怜央(セルティック)もおり、4ー3ー3をテストする可能性は十分にありそうだ。ただ、2ボランチもこなせないと代表に定着していくことは難しい。”01ジャパン”では4ー4ー2の中盤に慣れ親しんでいたこともあり、京都でも見せている運動量や高速のトランジションは2ボランチでも発揮できるだろう。
川村拓夢(サンフレッチェ広島)
ハイスケールな左利きのMFであり、183cmのサイズを攻守両面で生かして、ディフェンス、ゲームメイク、チャンスメイク、フィニッシュと幅広くボールに絡むことができる。今シーズン、広島では3ー4ー2ー1のシャドーとボランチの両ポジションで起用されており、特に攻撃のスイッチとして効果的な役割を果たしているのが印象的だ。
トップ昇格2年目から愛媛に期限付き移籍、3年間の”武者修行”で大きく成長して広島に戻ってきた。その愛媛では現在サガン鳥栖を率いる川井健太監督のもとで、4ー4ー2のボランチをやっていたこともある。森保監督が4ー3ー3を採用すれば左利きを生かしたチャンスメイクがより発揮されるかもしれないが、多様性の高い選手であるだけに、良い意味で読めない部分はある。
ちなみに広島ユースの先輩である川辺駿(グラスホッパー)とは2018年に一緒だった。リーグ戦での共演は無かったが、ルヴァン杯で同じピッチに立ち、川村は左センターバックでプレーしていた。今回、広島の”新旧8番”が日の丸で同じ中盤に並び初ことがあれば、サポーターにとっては胸熱だろう。
森下龍矢(名古屋グランパス)
ジュビロ磐田のアカデミー育ちであり、伊藤洋輝(シュトゥットガルト)の2年先輩にあたる。長友佑都や室屋成を輩出した明治大学で、厳しい競争を勝ち抜きながら主力を掴むと、大学4年次にはユニバーシアードで金メダルに輝いた。サガン鳥栖では大卒ルーキーとして開幕戦からスタメン出場を果たし、2020年12月には東京五輪に向けたUー23日本代表に追加招集で選ばれると、猛アピールで、本大会の滑り込みが期待された。
しかし、移籍先の名古屋では当初ポジションを掴むのに苦しみ、東京五輪のメンバーに入ることはできなかった。それでも守備に磨きをかけて、フィカデンティ前監督の信頼を掴むと、昨年から名古屋を率いる長谷川健太監督のもとで、推進力のある攻撃を発揮している。
現在のベースは3バックのアウトサイドだが、左右サイドをこなせることも抜擢の理由の1つだろう。名古屋の両翼を担った相馬勇紀(カーザピア)も一緒に選ばれており、同時にピッチに立つ期待も高まる。
名古屋では精力的なアップダウンが目を引くが、鳥栖時代には金明輝監督(現・町田コーチ)の戦術的な要求に応えて、立ち位置で相手から優位を取りながらのパスワークに参加していた。日本代表が新たに取り組むビルドアップのところでも、目を見張る存在になると期待している。