今だけ!肉眼で見えるほど明るい「新星爆発」が出現中
どうも!宇宙ヤバイch中の人のキャベチです。
今回は「天の川銀河内で肉眼で見える新星が新たに発生中」というテーマで記事をお送りしていきます。
新星(新星爆発)とは?
まずは今回の本題である「新星」という現象について簡単におさらいしていきます。
新星は太陽程度の質量を持った恒星が一生を終えた後に進化する姿である白色矮星という天体と、白色矮星になっていない恒星との連星系で観測される爆発現象です。
白色矮星はとても高密度な天体です。
有名な白色矮星であるシリウスBなんかは、地球より少し小さい程度の大きさで実に地球の30万倍、太陽と同じ程度の質量を持っています!
そのため白色矮星はとても重力が強く、周囲のガスなどの物質を引き寄せます。
こんな白色矮星と連星を組む恒星は、自身のガスを白色矮星に奪い取られてしまうんですね。
その結果、白色矮星の表面には恒星からやってきた水素ガスが大量に降り積もっていき、どんどん温度と圧力が高まって行きます。
一定以上の温度と圧力になると恒星の中心部のように核融合反応が起きます!
恒星の中心核では核融合によって外側に膨張する力と内側に落ちて行く重力が釣り合っているため、核融合のエネルギーは強くなりすぎることも弱くなりすぎることもなく調節されています。
ですが白色矮星の表面で水素ガスが積もって核融合が起きると歯止めをかけるメカニズムがないため、一気に反応が進み爆発的にエネルギーを放ちます。
これが「新星」です。
新星が起こるとその天体は最大で通常時の数百万倍もの明るさに輝くこともあるそうです!
とてつもない高エネルギーな爆発現象なんですね。
まとめると、新星は「白色矮星と恒星の連星にて、恒星から奪ったガスが白色矮星の表面にたまりすぎると起こる、大爆発現象」という事になります。
新星という名前は新たに星が誕生したかのように明るく輝く現象という事から付けられただけなので、星の誕生とは一切関係ないややこしい名前という事になります。
また、新星が起こると白色矮星に積もったガスを一気に吹き飛ばすため、新星が起きては再びガスが積もり、再び新星が起き…という流れで、何度も繰り返し起こります。
一般的には、新星が一度起きた後に次起こるまでの期間は数千年~10万年程度と非常に長い周期になり、人間が一生の間に同じ星が新星爆発する姿を何度も見ることはできません。
ですが一部の新星は、1年から数十年という短い周期で爆発することが知られています。
そのような特に周期が短い新星は、「反復新星」などと呼ばれています。
現在進行形で新星が発生中
そして今この瞬間、新星が発生しているとして大きな話題を呼んでいます!
新星が発生しているのは地球からへびつかい座の方向に約7000光年離れた所にある、へびつかい座RS星です。
へびつかい座RS星は、白色矮星と赤色巨星の連星系です。
お互いを約454日周期で公転しています。
さらにこの連星系は、先述の反復新星としても知られています。
これまでに1898年、1907年、1933年、1945年、1958年、1967年、1985年、2006年と、観測された中だけで実に8回も急激で大幅な増光を示しています。
新星の周期は平均で約15年です。
そして最後に爆発した2006年から丁度15年経った2021年現在、へびつかい座RS星が再び新星爆発を起こしています!
今月9日に明るさのピークを迎え、現在でも6等星付近と肉眼で見える水準を保っています。
この連星系は普段は11等級と非常に暗いですが、新星時には4.5と、元の400倍程度にまで明るくなっています。
まさに普段見えない星が今だけ見える、という貴重な瞬間です!
へびつかい座は日本からでも十分に見える星座なので、都合がいい方は実際に見てみるのも面白いかもしれません。
白色矮星は表面にガスが溜まり新星爆発を繰り返し起こしているうちに、その表面に徐々に核融合を起こさないヘリウムが蓄積していき、白色矮星の質量が太陽の約1.4倍辺りを超えると、質量限界を超えてIa型超新星が起こります。
へびつかい座RS星の白色矮星は質量が太陽の1.35倍程度もあると考えられているため、その質量限界にかなり近いようです。
宇宙規模でいえばそう遠くない未来に、新星の比ではなく明るい超新星を起こすかもしれませんね。