6月末以来の記録的な猛暑到来 県庁所在地で、最高気温が一番高いのは山形で、一番低いのは那覇
台風6号の発生
令和4年(2022年)7月31日12時に、那覇市の北約40キロで台風6号が発生しました。
黄海にある台風5号と31日午後3時に那覇市の北で発生した台風6号は、ともに北上を続け、8月1日にはともに熱帯低気圧に変わる見込みです。
朝鮮半島から九州西海上を通って南西諸島には、2つの台風の東側に広がる雲の帯がありますが、近畿地方から東北地方は太平洋高気圧におおわれ、晴れて気温が高くなっています(図1)。
1か月ぶりの暑さ
令和4年(2022年)は、西日本から東北南部まで梅雨明けした6月末から7月の初めは、強まった太平洋高気圧の縁辺をまわるように暖かくて湿った空気が流入し、晴れて強い日射によって記録的な暑さが続きました。
夏日(最高気温が25度以上の日)、真夏日(最高気温が30度以上の日)、猛暑日(最高気温が35度以上の日)を観測した地点数が今年最多となっています(当時)。
群馬県の伊勢崎では、6月29日に最高気温が40.0度となり、今年6月25日に観測した40.2度に次ぐ、2回目の40.0度超えとなりました。
6月に40.0度を超したのは初めてのことです。
しかし、7月に入ると下層に暖湿気が流入し、大気が非常に不安定な状態が続いています。
ときおり、上空に強い寒気が南下し、局地的に猛烈な雨が降り、「記録的短時間大雨情報」が頻繁に発表となっています(表1)。
記録的短時間大雨情報は、例年、7月は全国で20回程度の発表ですので、令和4年(2022年)は、例年の約3倍の発表でした。
そして、九州から東北南部は梅雨のような天気(戻り梅雨)となりましたので、夏日と真夏日、猛暑日の観測地点数は減っています。
というより、令和4年(2022年)の6月末から7月の初めの暑さが異常で、この記録的な暑さを除けば、平年並みの暑さで推移していました。
東北北部が「梅雨明け」をし、九州から東北南部が「戻り梅雨明け」をした、7月29日以降、夏日と真夏日、猛暑日の観測が増えています(図2)。
アメダスで気温を観測している地点数は914地点ありますが、7月31日には夏日が907地点(約99パーセント)、真夏日が727地点(約79パーセント)と今年最多でした。
しかし、猛暑日は168地点(約18パーセント)と、7月1日の235地点(約26パーセント)には及びませんでした。
というより、令和4年(2022年)の6月末から7月の初めの暑さが異常で、この記録的な暑さを除けば、平年並みの暑さで推移しています。
そして、一年で最も暑くなる8月に入りました。
8月1日の日最高気温の予想を見ると、東京、大阪など各地で猛暑日の予想となっています(図3)。
熱中症になりやすい湿度の高い高温と、局地的に激しく降る雨に警戒する状態は、しばらく続きます。
日最高気温の記録
日本での日最高気温の記録は、令和2年(2020年)8月17日に静岡県浜松と、令和元年(2018年)7月23日に埼玉県熊谷で観測した41.1度です。
上記2箇所を合わせて、40度以上を観測した地点が32あります(表2)。
県別では、群馬県と新潟県が5地点、山形・埼玉・静岡・岐阜の各県が3地点と、内陸部の県や日本海側の県で多くなっています。
令和4年(2022年)で40度を超したのは、6月25日の40.2度と、6月30日の40.0度の2回ですが、ともに、群馬県の伊勢崎でした。
県庁所在地別の日最高気温
県庁所在地別の日最高気温の平年値を見ると、一番高いのは京都の34.3度で、大阪の34.1度が続きます。
反対に一番低いのが、札幌の27.2度、次いで青森の28.3度です(図4)。
近畿地方や内陸の県で日最高気温の平年値が高く、北日本や北陸、関東沿岸部で低いという特徴があります。
ただ、これまでに観測した最高気温の極値となると、少し分布は違います。
これまで40度以上を観測している、山形(40.8度)、甲府(40.7度)、名古屋(40.3度)、前橋(40.0度)が上位にきますが、東京も39.5度と9位に入ってきます(図5)。
東北日本海側と北陸では、平年の最高気温は低いのですが、最高気温の極値となると上位に入っています。
逆に、最高気温の極値が一番低いのは那覇(35.6度)で、札幌(36.2度)、青森(36.7度)よりも低く
なっています。
北日本では、ときおり、沖縄の最高気温より高い気温が観測されているのです。
沖縄の猛暑日
沖縄県の那覇は、明治23年(1890年)に観測を開始していますが、大正12年(1923年)と、昭和19年(1944年)~昭和25年(1950年)の8年間が欠測ですので、令和3年(2021年)までに124年分の観測データがあります。
この長年の観測期間で、日最高気温は平成13年(2001年)8月9日に観測した35.6度で、最高気温が35度以上となったのは17日(約7年に1日)しかありません(表3)。
しかも、このうち8回は、大正5年(1916年)7月の観測ですので、那覇での猛暑日はほとんどの年では観測していません。
最高気温が最も高かった平成13年(2001年)8月9日は、太平洋高気圧と南シナ海にある熱帯低気圧(TD)の間の気圧傾度がゆるやか(等圧線の間隔が広い状態)でした(図6)。
那覇は南からの暑い空気におおわれ、晴れて強い日射があり、加えて風が弱い状態での記録だったのです。
なお、令和4年(2022年)は、これまでの最高気温は7月10日と12日の32.8度で、猛暑日は観測していません。
沖縄は、海風の影響で気温が上がりにくいうえに、陸地が狭いために熱がたまらないからと言われています。
しかし、日差しは強く、紫外線も強いために屋外での体感温度は高くなります。
真夏の那覇の街を日中歩くのは観光客かよほどの用がある人といわれています。
また、沖縄では海水浴はひどい日焼けを防ぐためにTシャツを着て泳いだり、会社帰りに一杯という習慣はないと聞いたことがあります。
家で夕食をし、ひと風呂浴びてから夜の街に繰り出すということですが、暑い日が続く昨今では、沖縄の習慣というか、沖縄の先人たちの知恵を活かす工夫が必要になってきたと思います。
図1、図3の出典:ウェザーマップ提供。
図2、図4、図5の出典:気象庁ホームページとウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。
図6の出典:原典:気象庁「天気図」、加工:デジタル台風(国立情報学研究所)。
表1、表2、表3の出典:気象庁ホームページをもとに筆者作成。