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マリナーズは監督を解任し、エンジェルスはGMの契約を延長する。ア・リーグ西地区の2位と最下位

宇根夏樹ベースボール・ライター
スコット・サービス Jun 22, 2024(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 8月22日、ロサンゼルス・エンジェルスは、ペリー・ミナシアンGMの契約を2026年まで延長したことを発表した。一方、シアトル・マリナーズは、監督を務めていたスコット・サービスを解任した。

 エンジェルスとマリナーズは、どちらも、ア・リーグ西地区のチームだ。前日を終え、エンジェルスは、オークランド・アスレティックスと並び、ア・リーグ西地区の最下位に位置していた。8月22日にアスレティックスが勝ち、エンジェルスは敗れ、それぞれ、地区4位と5位になった。マリナーズは、地区2位にいる。

 マリナーズは、開幕から6月18日までに44勝31敗を記録し、地区2位のヒューストン・アストロズとテキサス・レンジャーズに10.0ゲーム差をつけていた。それが、8月21日の時点では64勝64敗。アストロズに追い抜かれただけでなく、5.0ゲーム離された。マリナーズは22日の試合がなく、アストロズは勝利を収めたので、現時点の差は5.5ゲームだ。6月19日~8月22日にアストロズが記録した勝率.667はア・リーグで最も高く、マリナーズの勝率.377はシカゴ・ホワイトソックスの勝率.204に次いで低い。

 サービスは、2016年からマリナーズで采配を振ってきた。2022年には、マリナーズを21年ぶりのポストシーズンへ導いたものの、それを継続することはできなかった。昨シーズンは、9月3日の時点で地区首位に立ち――1.0ゲーム差ながら単独の首位――ア・リーグで3番目に高い勝率.566を記録していたが、地区3位に終わり、ワイルドカードも逃した。

 マリナーズは、サービスとともに、打撃コーチのジャレット・デハートも解任した。ここから、サービスに代わって指揮を執るのは、ダン・ウィルソンだ。後任の打撃コーチは発表されていないが、シアトル・タイムズのアダム・デュードによると、エドガー・マルティネスになりそうだという。ウィルソンとマルティネスは、マリナーズが進出した5度のポストシーズンのうち、最初の4度、1995年と1997年、2000~01年のいずれにも出場している。彼らは、捕手とDHだった。

 さらに、シーズンが終わるまで、あるいはオフに入ってから、編成責任者のジェリー・ディポートの解任があっても、おかしくない気がする。

 一方、エンジェルスは、2014年の地区優勝を最後に、ポストシーズンから遠ざかっている。この「ブランク」は、デトロイト・タイガースと並び、継続中では両リーグで最も長い。2016年以降は、勝ち越すことすらできていない。ミナシアンGMは、2020年11月に就任した。

 昨オフ、エンジェルスからFAとなった大谷翔平は、ロサンゼルス・ドジャースへ去った。マイク・トラウトは、5月を迎える前に離脱し、復帰できずにシーズンを終えた。アンソニー・レンドーンも、出場は50試合に達していない。3年3300万ドルの契約で迎え入れたロバート・スティーブンソンは、エンジェルスの投手として登板することなく、トラウトとほぼ同時的にトミー・ジョン手術を受けた。

 それでも、将来に向け、明るい話題もある。例えば、若手の3人、ローガン・オホッピーザック・ネットジョー・アデルは、いずれも、シーズン20本塁打に近づいている。昨シーズンのホームランは、出場試合の少なさも理由だが、3人合わせて26本に過ぎなかった。ベン・ジョイスは、8月からクローザーとして投げている(「エンジェルスの新クローザーが自己最速を更新。チャップマンの105.1マイルには届かなかったが…」)。

 ただ、エンジェルスが来秋のポストシーズン進出をめざすのか、数年後をゴールとするのかは、はっきりしない。ミナシアンGMは、オーナーのアルトゥーロ・モレノの「イエス・マン」に過ぎない可能性もある。

 モレノについては、3年前にこちらで書いた。

「エンジェルスが強くなれない理由は、オーナーの「偏愛」にあり!?」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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