povo2.0とYouTuberヒカルがコラボ。その狙いとは?
12月11日、KDDIのオンライン専用ブランド「povo2.0」が、YouTuberのヒカル氏とのコラボ企画を発表しました。
内容としては「50GB」のデータ容量とヒカル氏のファンに向けた特典を提供するというもので、携帯キャリアとインフルエンサーのコラボの最新事例として注目されそうです。
KDDIから提案、20〜30代のネットネイティブを狙う
今回のコラボの話は、「KDDIからヒカル氏に声をかけた」とのこと。ヒカル氏がKDDI本社に乗り込むという形の動画では、povoを運営するKDDI Digital Lifeの秋山敏郎社長が登場しています。
そもそもpovo2.0とは、KDDIのメインブランドであるauと同じ回線を使った、オンライン専用のブランドという位置付けです。基本料は0円となっており、そこに必要に応じてデータ容量やオプションを購入して使うことができます。
povoではこうしたオプションのことをトッピングと呼んでおり、今回のコラボではデータ容量が50GB(30日間)で税込4950円のトッピングが用意されています。
30日間で50GBというのは、povoのトッピングの中ではやや異例といえる「短期間で大容量」のトッピングです。
この設定についてKDDIは、「YouTube動画視聴等でデータを多く消費しても、1か月間で十分なデータ容量として50GBとしました」(広報部)と説明しています。
2023年2月28日までの期間中、このトッピングは複数回購入できるようになっており、購入時期によって異なる特典が用意されています。ファンなら2回、3回と購入したくなるような仕掛けといえます。
動画の中で秋山社長は数値目標を語っています。KDDIに詳細を確認したところ、povoの新規契約数として5万件、トッピングの購入数として2万件が今回のコラボの目標とのことです。
なお、povo2.0は年末年始に向けて1週間使い放題のトッピングも提供しており、期間は一部重なっています。
こちらはヒカル氏とのコラボとは関係ありませんが、KDDIによれば年末年始の帰省や旅行、自宅利用などでデータ容量を気にせず使えるよう、使い分けを想定しているとのことです。
SNS上での反応としては、過去にさまざまな炎上を起こしているヒカル氏の起用を心配する声もありますが、この点についてKDDIは「ヒカルさんの20〜30代のネットネイティブ層への発信力を期待して起用いたしました」(広報部)と説明しています。
一方、povo2.0に対して「難しい」との声もあるようです。携帯回線をアプリで契約し、自分でプランを組み立てられるのがpovo2.0の特徴ですが、こうした手続きをショップの店員さんに任せていた人にとって、ハードルが高いものになっている可能性があります。
今回のコラボにより、必ずしも携帯料金に詳しい人ばかりではないヒカル氏のファンが一斉に登録を試みることで、KDDIにとってもpovo2.0の使い勝手を改善するヒントを得ることになりそうです。
携帯キャリアとYouTuberのコラボは増える?
携帯キャリアとYouTuberのコラボとして、他社の事例ではソフトバンクが無制限プランやYouTube PremiumのバンドルなどのプロモーションにHIKAKIN氏を起用しており、基本的に相性は良さそうです。
ただ、各キャリアのメインブランドから無制限のプランは出ているとはいっても、家族割やセット割といった工夫をしなければ、毎月の負担額は大きくなるのが一般的です。
日本でも高速かつ大容量の通信が可能な「5G」のエリアは広がっているものの、まだまだ多くの人が格安のプランで料金を節約し、データ消費を抑えるために外での動画視聴を我慢していると考えられます。
この点についてヒカル氏は動画の中で、「(データ容量超過時の)速度制限がなければ、もっと動画の再生数は伸びていたのではないか」と、機会損失があった可能性に言及しています。
もっとデータを使ってほしい携帯キャリアと、もっと動画を見てほしいYouTuberの思惑は一致していることから、今後もこうしたコラボは増えていくのではないかと筆者は予想しています。