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「ラ・ラ・ランド」コンサート、ハリウッドでワールドプレミア

猿渡由紀L.A.在住映画ジャーナリスト
指揮は今作でふたつのオスカーを受賞したジャスティン・ハーウィッツ

プラネタリウムの星空の下で恋に堕ちていったミアとセバスチャン。その感動を、本物の星空の下で、再び味わえる。ファンにとってはたまらない、そんな特別イベントが、現地時間26日(金)、ハリウッドボウルで行われた。

その名も、「LA LA LAND in Concert」。映画が最初から最後まで上映される中、そのサウンドトラック部分をL.A.フィルハーモニックがライブで演奏するというものだ。指揮を務めるのは、ジャスティン・ハーウィッツ。デイミアン・チャゼル監督の大学時代からの親友で、この映画に最初から深く関わり、 歌曲部門と作曲部門、ふたつのオスカーを受賞した彼が自ら指揮をする姿を生で見られるのは、このイベントの最大の魅力と言っていいだろう。

舞台に登場したハーウィッツは、「6年前に、デイミアンと僕が『ラ・ラ・ランド』について話し合いを始めた時、序曲で映画をスタートしようと決めました。でも、進めていくうちに、序曲の後、すぐ『Another Day of the Sun』が続くというのはどうかと思うようになり、最終的に、序曲はカットしてしまいました。今晩は、初めてその序曲をみなさんに披露します」と語り、会場を沸かせた。

序曲の間、スクリーンは「OVERTURE(序曲)」という文字が出ていたが、終わると映画本編が始まる。

フリーウェイのシーンに出演したダンサーやミュージシャンが舞台に登場
フリーウェイのシーンに出演したダンサーやミュージシャンが舞台に登場

もはやおなじみの、渋滞したフリーウェイでの「Another Day of the Sun」のシーンだ。ここでは、映画に実際に出演したダンサーやドラマーたちが登壇し、 シーンに合わせてパフォーマンスをしてみせた。ジャズクラブを出た後にセバスチャン(ライアン・ゴズリング)がひとり桟橋を散策する「City of Stars」のシーンでも、そこで彼が出会う年配のカップルを演じた俳優が登場し、スクリーンの前で、同じダンスを踊っている。

ゴズリングとエマ・ストーンの歌声は映画のものをそのまま使うが、ゴズリングのピアノは、ピアニストによるライブ演奏。トランペットは、アルトゥーロ・サンドヴァルが演奏した。締めくくりは、最高に華やか。エンドクレジットが流れる中、次々に花火が打ち上げられ、最後は「LA LA LAND」のタイトルが浮かび上がって、熱気にあふれたまま、コンサートは終了した。

イベント主催者は、出席者にヴィンテージを着てくることを奨励しており、実際、映画の中でミアが着たのとそっくりなイエローやブルーのワンピース姿も、ちらほらと見かけられた。

映画で使われたコスチュームの展示も
映画で使われたコスチュームの展示も

会場には、映画で使われた衣装の展示も。記念写真を撮影できるレッドカーペットも大人気で、 長い列ができている。

L.A.公演は、本日(西海岸時間27日)までの2回のみ。来月からは、ナッシュビル、デンバー、アトランタなど全米各地や、 イギリス、ドイツ、スペイン、スウェーデンなど世界各地で公演が行われる。 日本公演も、先月、日程と会場まで発表になったが、延期になってしまったようだ。しかし、きっと近々実現するはずなので、今のうちに、イエローのヴィンテージワンピースを物色しておいてはいかがだろうか。

L.A.公演はワールドプレミア。この後、全米や世界で開催される
L.A.公演はワールドプレミア。この後、全米や世界で開催される
L.A.在住映画ジャーナリスト

神戸市出身。上智大学文学部新聞学科卒。女性誌編集者(映画担当)を経て渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスター、映画監督のインタビュー記事や、撮影現場レポート記事、ハリウッド事情のコラムを、「ハーパース・バザー日本版」「週刊文春」「シュプール」「キネマ旬報」他の雑誌や新聞、Yahoo、東洋経済オンライン、文春オンライン、ぴあ、シネマトゥデイなどのウェブサイトに寄稿。米放送映画批評家協会(CCA)、米女性映画批評家サークル(WFCC)会員。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。著書に「ウディ・アレン 追放」(文藝春秋社)。

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