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フィリピンのプロリーグPBAが今季からFIBAルールにない4Pショットを正式に採用

青木崇Basketball Writer
昨年のPBAコミッショナーズ・カップより (C)Takashi Aoki

 パリ五輪を前に衝撃的なニュースが目に入った。フィリピン・バスケットボール・アソシエーション(PBA)は、シーズン49となる今季のガバナーズ・カップから4Pショットの導入を発表したのである。PBAはNBAとFIBAを組み合わせた独自のルールで試合を行っているが、4Pショットの採用がバスケットボールのゲームそのものに大きな変化をもたらすかもしれない。

 4Pのラインは、ゴールから27フィート(8.23m)の位置に描かれ、23フィート(7.01m)にある3Pラインはそのまま残るという。4Pショット導入のきっかけは2023年のオールスターゲーム。今年もそのまま採用されたが、試合終盤にファウルをされたながら4Pショットが決まり、フリースローも成功させて5Pプレーになったシーンもあった。PBAのウィリー・マーシャルコミッショナーは、7月22日の理事会後に地元メディアにこう語っている。

「オールスターでは成功しており、理事会はこれを新しいイノベーションにすることを決定した。どうなるか見てみよう」

 マーシャルはこの変更が選手のシューティングレンジを広げ、特に代表チームのシューティング能力向上に役立つという期待を持っている。しかし、革新的なルールということもあり、当然賛否が分かれているのも事実。テラフィルマのジョンデル・カーデルコーチは、「4Pショットは、我々コーチが重要な状況で使用できるオプションだ。我々がシュート力の向上させることと、ディフェンスを拡張して他のチームが4Pショットを打たないようにする必要がある」と、4Pラインの導入を歓迎。NLEXのジョン・ウイチココーチも、ファンに楽しみを与えるという理由で4Pショットの導入に賛同している。

 しかし、バランガイ・ジネブラとフィリピン代表でヘッドコーチを務めるティム・コーンは、PBAがFIBAの原則から逸脱するという考えから反対の立場をとっている。その理由はルールの違いがさらに大きくなり、代表チームがFIBAの試合で対応するのが難しくなるからだ。五輪最終予選でラトビアを破り、ジョージアやブラジルと激戦を繰り広げる経験をしたコーンからすれば、PBAがFIBAルールとあまりにもかけ離れてしまうことは、代表強化にマイナスという考えに至るのも自然なことだろう。

 4Pショットの導入によって、ゲームはどのように変化し、より多くのファンがワクワクするゲームになってアリーナに足を運ぶことになるのか? 革新的な4Pラインは、8月18日開幕のPBAガバナーズ・カップから採用される。ちなみに、日本はFIBAルールをしっかり遵守するだけに、Bリーグがこのようなローカル・ルールを採用する可能性は低いと見るのが妥当だ。

Basketball Writer

群馬県前橋市出身。月刊バスケットボール、HOOPの編集者を務めた後、98年10月からライターとしてアメリカ・ミシガン州を拠点に12年間、NBA、WNBA、NCAA、FIBAワールドカップといった国際大会など様々なバスケットボール・イベントを取材。2011年から地元に戻り、高校生やトップリーグといった国内、NIKE ALL ASIA CAMPといったアジアでの取材機会を増やすなど、幅広く活動している。

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