店舗の外観から長浜ラーメンを想起〈早朝6時からの朝ラーメンも始動した個性豊かな博多の醤油ラーメン店〉
福岡県福岡市博多区住吉。今年の4月、『筑前國一之宮 住吉神社』からも近い場所に新規オープンしたばかりの〈ラーメン一二三(ひふみ)〉。店舗の頭上には、福岡の方なら馴染みのある、白地に赤と緑と黒のカラーリングのどことなく懐かしさも感じられる大きな看板が掲げられていて、一見すると長浜系の豚骨ラーメンのお店を想起する外観。しかし、こちらのお店は、豚骨ベースのスープではあるものの、醤油系の特製だれ(カエシ)を使った「醤油ラーメン専門店」。
さらに「醤油ラーメン」ではあるものの、福岡・博多らしい「カタ・ふつう・やわ」などの「麺の硬さ」を好みに応じて選ぶことができるという特徴も。その麺は、ストレートの中麺で、福岡県内では(おそらく)一番人気のある博多ラーメンの名店が卸している製麺工場の麺を使用していて、それだけでも必食の価値のある逸品(麺自体がスープに合っていてすごく美味しかった)。
8月1日から新たに朝ラーメンをスタート
全国的にも食文化としての「朝ラーメン」が根づいている多くの地域が存在するように、ここ福岡でも同様。終戦後間もない昭和の時代から、魚市場や青果市場などの早朝から働く人々向けの豚骨系のラーメン店が発展。朝早くからいただくというラーメン文化が長い歴史とともに一部地域に根ざしてきた。
今回、ここ〈ラーメン一二三〉が、8月1日から「朝ラーメン」をスタートさせた。早朝の6時スタートで14時半までの通し営業。休日ながら早起きができたこの日。ふと思い立って訪れてみることに。さほど遠くはない距離であるものの早朝から猛暑が続く日々なので車で移動。
細い路地裏ながら、近くには有料の駐車場も多数あり安心。開店直後の6時過ぎに到着すると、すでに先客もあり、L字型のカウンター席の空席に腰を下ろす。注文はメニュー表の先頭にある「醤油ラーメン」を選択。そこにトッピングの中から「生たまご」を追加。麺の硬さは「ふつう」にした。
待つこと少々、まずは「生たまご」が先着し、殻を割って「黄身乗せ」の準備。それから間もなく配膳された一杯は、福岡では本当にめずらしい真っ黒な醤油のスープ。パッと見としては黄身を乗せたことも相まって、京都の老舗有名店のような雰囲気をまとっている。そんな印象もあるためだろうか、味わいも福岡の中華そば系とは一線を画すキレと塩味がしっかりある濃厚なタイプ。だけど後味のスッキリとした風味の豊かさも楽しめる個性的な醤油ラーメン。
そのスープをしっかりまとった歯応えのある中麺とモヤシのシャキシャキ感が相まって、その食感を楽しむことができる。薄く細切れされた肉も、このスープにとても馴染んで相性抜群。途中、卵黄をスープとともにレンゲにすくい、麺を絡めながらいただくと、それもまた至福のひと時。
豚骨がベースということもあり、鶏系、煮干系の味わいとは明らかに違った個性を感じながら、醤油だれの際立つ存在感が光る逸品。豚系のベーススープは、どこか懐かしい感じを醸成させて、これからさらに流行ってきそうな予感。
そしてこの日は、ストレートな中麺の美味しさを、再度実感しながら、朝から福岡・博多らしい「替玉」も、豚骨ベースの醤油系スープとともに楽しませてもらった。
帰り際に、ご主人に麺の美味しさをお伝えすると福岡市内で最も有名なラーメン店と同じ製麺所の麺を使用されているそうで、なるほどと自身も合点がいくお話だった。
最後に。豚骨のラーメンが苦手な方や初めて訪れる方には特に、ひと味違った「福岡の醤油ラーメン」とともに、福岡・博多らしい「替玉」も同時に、楽しんでいただけるのではないだろうか。
ラーメン一二三(ひふみ)
住所 :福岡県福岡市博多区住吉4-12-1[地図]
営業時間:06時00分~14時30分
定休日 :不定休
駐車場 :専用駐車場なし、近隣有料駐車場あり
要確認 :ラーメン一二三(※インスタグラム)