美味しさと低価格で地元の人々を魅了する博多ラーメン《日常食としての想いが溢れる1杯320円の真骨頂》

ラーメンアンテナ｜福岡のラーメンを愛する地元民の一日一麺

11/21(木) 7:00

福岡県福岡市南区の大楠。〈博多ラーメン膳〉にはじめて訪れたのは、今から26年ほど前の1998年の開業まもない時期。日赤通り沿いにあったそのお店には、値段の安さもさることながらラーメンの美味しさにも驚かされたという記憶が残っている。その当時の通勤路だったこともあり仕事終わりによく立ち寄っていた。そのお店は2006年に道路拡張のため一旦閉店。翌年の2007年に福岡市中央区の「小笹」へ移転し〈博多ラーメン膳小笹店〉としてリニューアルオープンし現在に至る。一時期は福岡市の繁華街「天神」や「大名」にも店舗を構えていて、その安さと美味しさで若い人々を中心に人気を博していた。

現在は、福岡市内近郊を中心に6店舗体制で運営されている。福岡市中央区の「小笹店」をはじめ、同東区の「箱崎店」、同西区の「周船寺店」、福岡県筑紫野市の「筑紫野原田店」、佐賀県鳥栖市の「鳥栖店」、熊本県熊本市の「けやき通り店」を展開中。

福岡最安値の博多ラーメンはかたやと同系列

運営は「昭和食品工業株式会社」さん。福岡県内を中心に福岡最安値の博多ラーメン1杯を290円で提供する「博多ラーメンはかたや」のほか「釜揚げうどん小麦冶」や「うどん黒田藩」などのチェーン店を展開。いずれのお店も地元の人々に寄り添う「安くて美味しいお店」ばかり。すべてを自社で製造し効率よく運営。現在の価格を維持しながら地元に馴染んだ美味しい「ラーメン」や「うどん」などの麺類を提供。多くの支持を獲得し地元に愛され続けている。

ラーメンが千円を超える時代に別軸の展開

昨年、最もベーシックなラーメンの「おいしいラーメン」を320円の統一価格に変更するまでは「はかたや」と同額の290円で提供していた時期もあった。ただ、今の320円という価格も十分過ぎるほど格安であることは間違いない。現在、福岡市内近郊では、①博多ラーメンはかたやの「290円」、②18ラーメンの「310円」に続く、③博多ラーメン膳の「320円」と、安さだけでもトップ3に入っている。

物価が高止まりしない今の状況下。人件費や光熱費といったあらゆるものの価格が上がっていく中「ラーメン1杯が1,000円を超える」というお店も出てきて当然。もともと仕込みに多大な労力や時間も掛かるラーメン。2,000円台のパスタやピザもある中で、それらと比較しても、今までがあまりにも安すぎたと感じていた方も多いのではないだろうか。その一方、ラーメン1杯は500円以下という声が数年前までは根強く残っていたけれど、今はその声もほとんど聞かれなくなった時代に。

そんな中で現在もラーメン1杯320円という価格を維持しているのはチェーン展開という強みはありながらも（それがどんな時代であっても日常食として気軽に安心して食べられる一杯でありたいという〈博多ラーメン膳〉の想いから）それ以上の企業努力があってこそだろう。その領域は最早、個人店では対応が困難な領域で（競合でも共存でもない）「別軸でのラーメン展開」と捉えていいのではないだろうか。その変わらない庶民的な価格と味（あの頃の懐かしい日常をほっこりと思い起こさせてくれる安心の一杯）に感謝を忘れてはいけないと思う今日この頃。

気軽に食べられる日常食としてのラーメン

朝の10時。ほかのラーメン店よりも少し早めの開店なのが、とてもありがたい存在の〈博多ラーメン膳小笹店〉。開店直前に到着し6台分ある駐車場の一角に車を停め開店を待つ。暖簾が掛かると同時にご近所の方らしいおじいさんが歩いて来店。

2番手で暖簾をくぐり店内入口にある券売機で「旨辛ラーメン390円」を選択しトッピングの「煮たまご100円」と「きくらげ具50円」を発券（いつもお安く提供いただいているので感謝の気持ちを込めて必ず何かをトッピングするように心掛けています）。カウンターの最奥の席に腰を下ろし麺の硬さは「カタ」で注文した。