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話題の川口春奈×目黒蓮『silent』の第4話。犬を「わしゃわしゃ」したいときのマナーは?

石井万寿美まねき猫ホスピタル院長 獣医師
イメージ写真(写真:アフロ)

『silent』は、川口春奈さんと目黒蓮(Snow Man)さんなどの俳優陣の演技の素晴らしさ、繊細な会話で登場人物の気持ちがよくわかるドラマです。切ない思いにさせてくれるラブストーリー。

第4話に大きなモフモフとした犬が登場しましたが、今回は獣医師から見た散歩中の犬の接し方を考えていきましょう。

犬をわしゃわしゃしていいですか?

写真:アフロ

川口さん演じる紬が遠目に毛の長い大きな犬(オールドイングリッシュシープドッグ)を見て「ヤバい」と言います。そして触りたいようで、飼い主に近寄って「わしゃわしゃしていいですか」と尋ねます。飼い主は「いいですよ」と答えます。

それから、紬は屈みこんで毛の長い犬に触れるのです。

紬のこの犬を触る行為は、散歩中のマナーをきちんと心得ています。「わしゃわしゃしていいですか?」は、少し伝わりにくいかもしれませんが、紬のかわいさが出ていました。散歩中に触りたい犬がいたときのマナーについて見ていきましょう。

散歩中の犬に触れたいと思ったら

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イメージ写真写真:アフロ

筆者も散歩中の犬を見たら、どんな子でも声をかけたくなりますが、それを抑えて、遠目に見ていることが多いです。それでもわしゃわしゃさせてもらうこともあります。

触りたい犬を見かけたとき

走ったり、大きな声を出したりしないで、まずは飼い主に近づきます。飼い主が立ち止まってくれたら、まずは第一関門突破です。犬が近づいてくれるのがベストですが、そう上手くいかないことも多くあります。筆者は、犬が寄ってきたときだけ犬を触らせてもらっています。

触れてほしくない、コミュニケーションしたくない飼い主さんは、さっと逃げますので、その辺りも理解しましょう。そのときは、追いかけたりしないようにしましょう。

犬のリードに黄色いリボンがついていないか確認する

2012年にスウェーデンで始まったThe Yellow Dog Project(イエロードッグプロジェクト)をご存じでしょうか。

犬のリードに黄色いリボンなどをつけることで「そっとしておいてほしい」「触らないで」ということを伝えるものです。日本でもまれに黄色いリボンをつけている犬がいますが、そういう意味なので理解してください。

リードなどに黄色いリボンがないことを確認しましょう。

飼い主にどこを触っていいか尋ねる

飼い主に許可を得てから、犬を触らせてもらいましょう。

いつでもどこを触られてもOKという子ばかりではないので、どこを触っていいのか尋ねて、軽く撫でさせてもらいましょう。

犬に近寄るときにNGの行動

大きな声を出す

散歩中の犬の近くで「かわいい」「やばい」といって、大きな声を出すと、びっくりする犬もいるので、控えた方がいいです。

走って急に犬に近づく

知らない人が、走って近寄ってくると嫌がる犬もいるので、ゆっくりした行動にしましょう。走らないと距離を縮められない場合は見送りましょう。

飼い主の許可なしにオヤツをあげる

犬のなかには、食事制限やアレルギー疾患や胃腸疾患などを持っている子もいます。喜ぶからと言ってオヤツをあげていいというものでないのです。飼い主に、犬にこれをあげてもいいか尋ねましょう。

触っては、いけない犬の行動とは

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イメージ写真写真:イメージマート

手を伸ばすとビクッとする

触ろうとして手を伸ばしたときに、おびえるようにビクッと震えるのは「触らないで」のサインです。

体を小さくしてオッポを丸め込む

近寄っていって、オッポを振っている子はいいですが、オッポを股に丸め込む子は「触らないで」「近寄ってこないで」と体で表しています。その子は、そっとしておいてあげましょう。

低いうなり声を上げる

手を近づけたときに「ウーッ」と低いうなり声を上げるのも「触らないで」のサインです。もはや「触らないで」というよりももっと強い「来るな」と言っています。

口角をあげる・歯をむき出して威嚇する

口角をあげたり、うなり声を上げると同時に歯をむき出したりしている犬は、これ以上近寄っていくとかまれる可能性があります。

鼻に皺をよせる

顔を見ると、鼻に皺を寄せている犬も怒っていますので、近寄っていかないようにしましょう。

触ってほしくない犬もいる

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全ての犬が、人間にフレンドリーというわけではないのです。ひとりで放っておいてほしい子や飼い主以外が苦手な子がいることも理解してあげましょう。

SNSを見ていると、わしゃわしゃしたくなる犬の投稿がたくさんあります。それは、飼い主に見せる一瞬の動作なのです。無理に触れなくても遠目で散歩している犬を見るだけでも和むと思います。

犬を触るときは、飼い主に許可を得てからにしましょう。

まねき猫ホスピタル院長 獣医師

大阪市生まれ。まねき猫ホスピタル院長、獣医師・作家。酪農学園大学大学院獣医研究科修了。大阪府守口市で開業。専門は食事療法をしながらがんの治療。その一方、新聞、雑誌で作家として活動。「動物のお医者さんになりたい(コスモヒルズ)」シリーズ「ますみ先生のにゃるほどジャーナル 動物のお医者さんの365日(青土社)」など著書多数。シニア犬と暮らしていた。

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