意外に“金ピカ”ばかりではなかった――中国が誇示する日本、北朝鮮、米国首脳級からの贈り物
中国政府は4年前、自国の国家指導者が外国要人から受け取った贈り物の展示会を開いたことがある。建国以来、外交活動で受け取った贈り物のうち代表的な611点が展示され、中には日中国交正常化(1972年)の際に田中角栄首相が周恩来首相に贈った水彩画なども含まれていた。(写真は筆者撮影、肩書はいずれも当時)
◇各国独自の文化と芸術
中国政府が2016年に北京の国家博物館で開いたのは「友好往来 歴史の証――党と国家指導者 外交活動受贈の贈り物展」。1949年10月の中国建国以来、首脳らが受け取った代表的な贈り物が展示されていた。「過去には展示されたことがないもの」という説明だった。
主催者は展示会を「これらの贈り物は……中国人と他国の人々との間にある友好的な感情の表現、そして各国独自の文化と芸術の反映のあかし」と位置づけていた。
展示会の解説では「平和五原則(領土保全・主権の相互不干渉、相互不侵略、内政不干渉、平等互恵、平和的共存)に基づいて、世界のあらゆる国との友好関係・協力を積極的に発展させた」と自国外交を讃えている。
◇オバマ大統領にはリンカーン像
中国共産党機関紙の人民日報(13年12月24日)は、外交における贈り物の交換を「親善の意を伝える方法の一つ」と表現している。贈り物は「小さな事に見えるが、大きな知恵が必要」(魯培新・元中国外務省儀典長代理)であり、「国家間で好感を伝える一般的な方法であり、自国・民族の特色ある品を贈る」(于君・国家行政学院教授)という考えに基づいている。中国の国家指導者からの贈り物は、陶磁器や刺繍、お茶などが比較的多いとされる。
2011年に胡錦濤国家主席が訪米した際、中国の芸術家が制作した高さ12.2cmのリンカーン像をオバマ大統領に贈り、オバマ氏からは大型油彩画「8人の米大統領と長城」が胡主席に贈られた。
これに先立つ09年にオバマ氏が訪中した時には胡主席に囲碁を贈呈している。
また、13年12月に英国のキャメロン首相が訪中した際、習近平国家主席にイングランドサッカーチームのユニフォームを、妻・彭麗媛氏には英ブランド「マルベリー」の手袋、李克強首相にはテニスラケットと英国の書籍をプレゼントしている。