和洋の涼が絶妙に融合「茶の庭」で味わう静岡県が誇る抹茶の旨味と美味しい粒あんの掛け合い
静岡県に本店を構える和菓子屋「巌邑堂」さん。県内外からファンが訪れ、各地方の催事でも大変人気のお店です。
また、5代目ご当主・内田弘守さんは国内のみならず、海外支店のシンガポールなどでも実演を行う程の実力と人気を博す職人さん。内田さんが生み出す和菓子は洗練されておりながら、意外性や驚きをも美味しく頂けるエンターテイメント性と美味しさ双方を兼ね備えた、和菓子の可能性を存分に表現された作品も多数。
今回は、玉川高島屋さんで開催された催事の際に限定販売されたカップ入りの和菓子「茶の庭」をご紹介。
全国有数のお茶の名産地でもある静岡県。特産品でもある抹茶を使用した今回のカップ入りの作品は、和と洋それぞれの魅力を絶妙にかけあわせた逸品。
と申しますのも、一見ババロアやムースのような見た目のこちら。凝固する材料として、ゼラチンだけではなく蕨粉も合わせて配合されているんです。
蕨粉とゼラチンを、生クリームや抹茶などと一緒に合わせる。あるようでなかった組み合わせに興味を惹かれました。
しゅわしゅわとスプーンを受け入れるババロア(蕨餅?)部分は、確かにゼラチンのみのものよりもややぽってりとした質感。ゼラチンや生クリームが含む空気の保形性が有利ではありますが、蕨餅の粘り気やもちもちとした質感が溶け込んでいるのが伝わります。
大人も子供も大好きな見た目ではありますが、抹茶のクリームは旨味とほろ苦さが乳脂肪分のまろやかさを縁取るような大人味。
そこに加わるのが、皮の口当たりを残したやや野趣をも感じられる素朴な粒餡。さらに滑らかな白玉と、純粋な和の要素と生クリームなどの洋の要素が互いを引き立てるような構造。
桜の花の塩漬けも、彩りだけではなくちょっとした口直しに最適な豊かな芳香を塩気を含み、言葉通り全体に花を添えているよう。
カップ入りのデザートではありますが、手のひらの中で繰り広げられる味わいの変化は一つの完成されたデセールをいただているよう。シックなお皿に盛りつけていただきたくなるような高級感と、ほっと心和むテイストのコンビネーションはまさに日本という枠を飛び越えた和菓子。
海外に拠点を構える巌邑堂さんがもつスキルが発揮されたお菓子ともいえるような気がします。
こちらは期間限定の商品でしたが、催事だけのお楽しみというような和菓子も販売なさるお店ですので、お近くで開催された際はぜひ足を運んでみてくださいね。