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たくさん目薬を使えば、花粉症による目の症状は軽くなりますか?

堀向健太医学博士。大学講師。アレルギー学会・小児科学会指導医。
(写真:イメージマート)

花粉の飛散量が増えてきました。

そしてこの記事を書いている今日(2022年3月21日)の飛散量は『非常に多い』という予想になっています[1]。

私もスギ花粉症を持っているので、花粉症に苦しんでおられる方々のお気持ちはよくわかります。

たとえば、目のかゆみは辛いものです。なんとかそのかゆみを減らしたいと思って、たくさん目薬をして効果が上がらないかと思っておられるかたもいらっしゃるかもしれません。

では、目薬は1滴よりも2滴すると、効果が高くなるのでしょうか?

今回は、そのような目薬に関する解説を簡単にしてみたいと思います。

目薬は2滴しても目からあふれてしまう

目が痒くなってくると、たくさん点眼液を使って何とか良くしてしまいたいと思ってしまうのは人情というものだと思います。

しかし、目の中に溜めておける水の量には限界があり、30マイクロリットルになります。そして目薬1滴は30~50マイクロリットルです[2]。

つまり、1滴の目薬で、すでにあふれてしまうくらいの量があるのですね。

イラストACの素材を使用して筆者作成
イラストACの素材を使用して筆者作成

また、多くの目薬の中には防腐剤が含まれており、たとえばベンザルコニウムという防腐剤は、目の周りでかぶれを起こすことがあることが知られています[3]。つまり、目薬の2滴目は目からあふれてしまい、かぶれの原因になることになります。

ですので基本的に、目薬は1滴ずつ使えば良いということになります。

さらに付け加えるならば、ベンザルコニウムはコンタクトレンズを傷めるため、気をつけておく必要があります[4]。

では、1滴の目薬の効果を上げるにはどうすればよいでしょうか。

目薬は目頭の方から吸収されていきます。ですので、点眼した後に目を閉じ、目頭を軽く1~5分間抑えると効果が上がるとされています。

ベンザルコニウムを含まない目薬は高価です

さて、ベンザルコニウムを含まない製品ならば、心配も少なくていいのではと思いますよね。

しかし、保険適用のあるベンザルコニウムの含まれていない点眼液は薬価が高いのです。たとえば1滴あたりの薬価は、安価なものより5倍以上、1滴28円もするものもあります。

筆者作成
筆者作成

目薬を2滴するということは、倍の薬価がかかるということですよね。目薬1滴を丁寧につかって、効果をあげていくと良いでしょう。

なお、花粉症の鼻症状に対し『鼻を洗う』のは有効で、多数の製品が市販されています。

しかし、目を洗う方法として、『洗眼カップで目をパチパチとする』方法は眼科医の先生方は勧めていません(涙液に近い性質を持った点眼液=人工涙液で洗うのは有用です)[5]。

まだまだ花粉の飛散はつづきます。困ったときは、眼科医の先生方にご相談くださいね。

【参考文献】

[1]「花粉情報」あすは四国~関東で「非常に多い」予想 スギ花粉のピークいつまで続く?

[2]レシピプラス Vol.17 No.4 「1滴」のチカラを科学する!点眼剤 p37

[3]あたらしい眼科 34(10): 1423-1424, 2017.

[4]レシピプラス Vol.17 No.4 「1滴」のチカラを科学する!点眼剤p33

[5]治療 93(3): 439-439, 2011.

医学博士。大学講師。アレルギー学会・小児科学会指導医。

小児科学会専門医・指導医。大学講師。アレルギー学会専門医・指導医・代議員。1998年 鳥取大学医学部医学科卒業。鳥取大学医学部附属病院・関連病院での勤務を経て、2007年 国立成育医療研究センターアレルギー科、2012年から現職。2014年、米国アレルギー臨床免疫学会雑誌に、世界初のアトピー性皮膚炎発症予防研究を発表。医学専門雑誌に年間10~20本寄稿しつつTwitter(フォロワー12万人)、Instagram(2.4万人)、音声メディアVoicy(5600人)などで情報発信。2020年6月Yahoo!ニュース 個人MVA受賞。※アイコンは青鹿ユウさん(@buruban)。

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