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ソン・フンミンがカタールW杯出場を表明!! 関係者たちが語る「現実味」と期待と不安

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
(写真:ロイター/アフロ)

イングランド・プレミアリーグのトッテナムに所属するサッカー韓国代表のソン・フンミンが、カタール・ワールドカップ出場への強い意志を明らかにした。

ソン・フンミンは11月2日に行われたUEFAチャンピオンズリーグ(CL)グループステージ最終節のマルセイユ戦で、相手DFと競り合う過程で顔面を負傷。左目周辺の骨折(眼窩骨折)で手術を受けて、リハビリ中にある。

(参考記事:「サッカーは格闘技か!」顔面骨折でW杯ピンチの韓国ソン・フンミン…接触DFに“書き込みテロ”殺到)

そんな中、昨日11月9日に自身のインスタグラム(@hm_son7)を通じてW杯出場の意志を明らかにした。

カタールW杯開幕まで2週間を切った中での意志表明。韓国語と英語で綴られたその文を日本語に翻訳するとこうなる。

「この一週間でいただいた応援と激励のメッセージに、本当に感謝したいという言葉をお伝えしたいです。僕は多くの方々から応援と激励のメッセージをいただき、それを読んで本当にたくさんの力を得ました。W杯で自分の国のためにプレーすることは、多くの子どもたちがサッカー選手として成長しながら夢見ることです。僕自身、その夢は今も変わらず持っています。

この2年間で皆さんが我慢して着用してきたマスクを考えると、W杯の試合で被ることになる僕のマスクは何てことありません。たった1%の可能性でもあるのであれば、その可能性を信じて、残り少ない時間を前だけ見て走っていきます。美しい我が国のW杯代表選手になるために」

ケガが発覚して以降、ソン・フンミンがカタールW杯に出場できるかどうかということが韓国サッカー界の関心事のひとつであっただけに、ファンたちは一安心といったところだが、これから注目されるのはソン・フンミンがカタールW杯のピッチに立つ日はいつになるか、ということだろう。

専門医は4~6週間は必要との声も

というのも、ソン・フンミンがイギリスで手術を受けたのは11月4日。無事に終了したが、韓国では「骨折」は術後の回復時期を見極めるのが難しいとも言われている。

『スポーツソウル』サッカー班が韓国の眼科専門医に取材した際にも、「最低でも4週間以上の回復期間を設けた方が良い。(プロテクターなどで)保護をするとしても、格別の注意が必要だ」という意見も出た。

ソウルのJW眼科で院長を務める眼科専門医のチェ・ジョンウォン氏も、「眼科骨折手術は通常、腫れが引いた1週間後に眼球陥没、複視、眼球運動の制限の程度によって決定する。また、手術時には骨折部位に挿入物を入れ、眼底組織が抜けないようにするために少なくとも4週間以上は必要だ」と伝えた。

11月2日を起点に4週間となると11月30日。カタールW杯はグル―プリーグ真っ最中だ。

カタールW杯でグループHに入った韓国代表の初戦ウルグアイ戦は11月24日(以降、現地時間)。その後、28日にガーナ代表との第2戦、12月3日にポルトガル代表とのグループ最終戦を戦う。

つまり、術後4週間を復帰の目安にするなら、間に合うのはグループリーグの最終戦と。間に合ったとしても100%のコンディションでW杯に出場することは事実上不可能というわけだ。

ベントは期待。出場はポルトガル戦か

ただ、それでもカタールW杯の最終メンバーには選ばれるだろう。韓国代表は現在、国内組中心のチーム編成で最終合宿を行っており、11月11日に国内でアイスランド代表とW杯前の最後の強化試合を行った後、翌12日にメンバー26人を発表する予定だが、2018年ロシアW杯以降、韓国代表のキャプテンを務めてきたソン・フンミンだ。

KFA(韓国サツカー協会)の韓国代表関係者によると、チームを率いるパウロ・ベント監督も「例えソン・フンミンが試合に出場できない状況でも(カタールに)連れて行く」という強い意志を抱いているという。ベント監督としてはキャプテンかつ絶対的エースでチームの“精神的支柱”であるソン・フンミンをひとまず帯同させ、負傷部位の状態を見ながら出場のタイミングを計るのではないかというのが大方の見方だ。

韓国サッカー協会(KFA)の幹部も、『スポーツソウル』の取材に対し「ソン・フンミンも(W杯に)出場することを望んでいる。ベンチにいるだけでもチームメイトにとっては大きな力になる。手術を無事に終えたので、(ポルトガル代表との)第3戦にはプレーしてほしいという希望もある」とコメントした。

「最悪のシーズンになる可能性も」危惧する声も

ただ、ソン・フンミンのカタールW杯強行出場を危惧する意見もある。シーズン真っ只中の欧州リーグを一時中断して開催されるカタールW杯。無事に戦い終えても、大会終了直後には直ちに所属チームに復帰し、休む暇なくふたたび厳しいシーズンを戦わなければならない。

無理をして新たな負傷をしてしまえば、2022-2023シーズンを悪夢のように過ごすこともあり得る。それはトッテナムはもちろん、韓国サッカー界にとっても大きな損失になるという意見だ。

昨季はアジア人選手として初めてプレミアリーグ得点王に輝き、名実ともにアジア最強最高のプレーヤーとして全盛期を謳歌するソン・フンミンが3度目のW杯で活躍することは誰もが期待している。パク・チソンに並ぶ3大会連続ゴールを期待する声もあるし、韓国代表を2010年南アフリカ大会以来の決勝トーナメント進出に導く姿を思い描いているファンも多い。

はたしてソン・フンミンはいつどんな姿でカタールW杯のピッチに立つだろうか。W杯開幕まであと10日。引き続きソン・フンミンの状態はチェックしていきたい。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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