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普通のことになった高校・大学での生理用品無償配布 フランスの場合

プラド夏樹パリ在住ライター
(写真:maroke/イメージマート)

コロナ禍で学生の貧困が表面化するにつれ、地方自治体も僅かながら具体的な援助をするようになってきている。パリとその近郊を含むイル・ド・フランス県の地方議会では2月4日、各大学に生理用品無償配布機を設置することが可決された。

大学での生理用品無償配布機設置を伝える地方議会議長ヴァレリー・ペクレス氏のtwitter

・10人に1人は生理用品がないために授業欠席

その元となったのは、「170万人の女性が充分に生理用品を買うことができない貧困状態にある」と2019年に発表したIfop調査だ。生理用品購買に費やされる金額は平均して一人当たり8000ユーロから2万3千ユーロの額になるという。

そして、2020年10月、6518人の大学生を対象に総合学生アソシエーション連盟/ 全国助産師学生アソシエーションが統計を取ったところ、次のような結果が出た。

・13%が生理用品と他の生活必需品の間でどちらを買うか迷った経験ある

・7%が必要な時に生理用品を買えないことがあった

・「生理用品を買わないで済むならば、そのお金で何を買いますか?」という答えに対して一番多い回答は、「食べ物を買う」、「下着を買う」、「家賃を払う」。

・30%が生理用品を買うための国の援助を求めている。

・10人に1人は自分で生理用品を作る。

・20人に1人はトイレットペーパーで間に合わせている。

・生理用品購買のために月に5ユーロから10ユーロ出費しているという人は全体の46%。

・6/10人は生理が理由で学校を休んだことがあり、1/10人は生理用品がないために授業を休んだ経験がある。

・1/3の学生は再使用可能でエコロジックなカップや洗えるナプキンなどの生理用品を使用しているが、そのうち68%が値段が高いために不足気味(10から15ユーロ)と答えている。

堂々とみんなが通るところに置いて欲しい

パリ市とその近郊イル・ド・フランス県の30高校では、2020年初めからボチボチと

生理用品の無償配布機(bioナプキンとタンポン配布。Marguerite et Cie社の機械)が設置されたが、各校からの依頼が殺到し、今年春には同県の465公立高校に及ぶ予定だ。

今、どこに設置するかが議論されている。週に100個が配布されるモー市のシャルル・ボードレール高校では、校長が「人目につかないところに」と考え、保健室の目につかないところに設置された。しかし、生徒の中には、「堂々とみんなが通るところに置いてください。なぜ隠す必要があるの?」という声もあがっているという。「生理は恥ずかしいこと」と教えられた昭和生まれの私には、羨ましい限りだ。

パリ在住ライター

慶応大学文学部卒業後、渡仏。在仏30年。共同通信デジタルEYE、駐日欧州連合代表部公式マガジンEUMAGなどに寄稿。単著に「フランス人の性 なぜ#MeTooへの反対が起きたのか」(光文社新書)、共著に「コロナ対策 各国リーダーたちの通信簿」(光文社新書)、「夫婦別姓 家族と多様性の各国事情」(ちくま新書)など。仕事依頼はnatsuki.prado@gmail.comへお願いします。

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