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対人恐怖症とは(人から嫌われたくない病)

竹内成彦心理カウンセラー(公認心理師)

こんにちは。
精神医学と性格心理学に詳しい
心理カウンセラー(公認心理師)の竹内成彦です。


今も昔も、私のカウンセリングルームに訪れるクライアントは、対人恐怖症の人が多いです。対人恐怖症は、社交不安障害とも呼ばれます。

対人恐怖症(社交不安障害)になると、人と接するのを必要以上に避けようとします。そのため、社会生活がままならなくなってしまいます。引きこもりになってしまう方も少なくありません。

実は、対人恐怖症とは、人が怖いという心の病ではありません。
人に対するのが怖いという心の病です。

そう、対人恐怖症とは、人に嫌われるのが怖いという心の病なのです。
言うなれば、人から好かれたい病なのです。

そういう意味から言えば、ゴキブリ恐怖症とは全然違います。

対人恐怖症の方には、2つの不適切な思い込みがあります。
ひとつめは、「自分は人から嫌われる存在だ」というもの。
もうひとつは、「自分は人から嫌われたら生きていけない」というもの。

よって、対人恐怖症を治す鍵は、
「私は、『人から嫌われるような存在ではない』と思えること」
「『たとえ、一部の人から嫌われたとしても、十分に生きていける』と思えること」です。

対人恐怖症の人は、「全ての人から好かれたい」「好かれることは無理かもしれないが、全ての人から嫌われたくはない」という、おおよそ実現不可能な願望を抱いていることが多いです。

だから、必要以上に思い悩むのです。

「私は、人から嫌われるような存在ではない」「私は、たとえ一部の人から嫌われたとしても生きていける」と思えるようなれば、対人恐怖症の症状は緩和します。

カギは、自己肯定感 自己有用感 です。
自分は、ありのままの自分であっていいという感覚。
自分は、やれば出来るんだという感覚。
上記の2つが大切です。

こうして口で言うのは簡単ですが、対人恐怖症を治すのは、容易ではありません。
適切な援助者が、かたわらにいるといいでしょう。

あと、対人恐怖症の人は、心の奥底で、怒りを抱えていることが多いです。
それは、深層心理で言えば、親に向けたものなのですが、表面意識には浮かんで来ません。
親に怒りを向けるなんて、自分でも怖くて仕方がないからです。

「乳幼児期に、親から十分な愛情を受けることが出来なかった。だから、この世の中は安心安全なところだとは思えない。人は自分に危害を加えるかもしれない」そんな不信感を持っているから、対人恐怖症になってしまったのだと考えられます。

親から十分に愛され、「この世の中は安心安全だ」「自分は愛されるに値する人間なんだ」「自分はやればできる」と思えていれば、対人恐怖症にはなりません。

ここで親を援護します。
親は親なりに、子どもを愛したことと思います。
でも、子どもは、その愛を受け取れなかったのです。
だから子どもは、世界に対して不信感を持ち、対人恐怖症になったのだと思います。

さらに言いますと、
子どもは、生まれつき、ひとりひとり違います。
親の愛情を非常にたくさん欲する子どもと、そうでもない子です。
対人恐怖症になってしまう人は、親の愛情をたくさん欲する子どもだったんだと思われます。そして、対人恐怖症になってしまった子を持つ親は、その子の期待に応えることが出来なかったんだと思います。

怒りを手放すこと。
自己肯定感を持つこと。
自己有用感を持つこと。
上記の3つが、対人恐怖症を治す方法です。

私は、あなたが対人恐怖症を克服して、
豊かで楽しい人間関係を構築されることを、心から祈っています。


今日も最後までお読みくださって、どうもありがとうございます。
心から感謝申し上げます。

      この記事を書いた人は、心理カウンセラー(公認心理師)の竹内成彦です。

心理カウンセラー(公認心理師)

1960年、愛知県名古屋市で生まれ育つ。1997年06月、地元愛知でプロのカウンセラーとして独立開業を果たす。カウンセリングルーム「心の相談室with」名古屋 の室長。臨床歴25年、臨床数15,000件を超える。講演・研修回数は800回、聴講者は10万人を超える。【上手に「自分の気持ち」を出す方法】など、電子書籍を含め、20数冊の本を出版している。カウンセリング講座などを開催し、カウンセラーを育てることにも精力を尽くしている。

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