なぜバルサはV・ロッキを獲得したのか?ヤング・タレントに賭ける補強の方向性とブラジルの系譜。
将来を嘱望されているストライカーが、スペインに到着する。
バルセロナが、ビトール・ロッキの獲得を決めた。移籍金3000万ユーロ(約45億円)+ボーナス3100万ユーロ(約46億円)でアトレティコ・パラナエンセと合意。ただ、正式加入は2024年夏になる見込みだ。
「これまでバルサでプレーしてきたブラジルの選手とは異なる。ロナウジーニョとはプレースタイルが違う。ロマーリオは、漫画のようなプレーを見せていた。強いて言えば、ロナウドに近いかもしれない。素晴らしいフィジカル能力をナチュラルに備えていた。まだ若いけれど、ロッキには非常にポテンシャルがある」とはジョアン・ラポルタ会長の弁だ。
「ロッキに期待するものはゴールだ。彼は特有のプレースタイルを持っている。左右両足でシュートを打てて、ボックス内で強さを発揮する」
■獲得レースと屈指のタレント
ロッキはクルゼイロのカンテラ出身選手だ。2021年10月にトップデビューを飾っている。2022年には、パラナエンセが契約解除金470万ユーロ(約7億円)を支払い、彼を手中に収めた。
10代にして、ブラジルの2つの名門クラブを渡り歩いている。それだけで、ロッキの才能を窺い知ることができるだろう。この夏のマーケットにおいても、チェルシー、マンチェスター・ユナイテッド、パリ・サンジェルマンと複数クラブがロッキに関心を寄せていた。
だがロッキはバルセロナ移籍を選んだ。本人のたっての希望があり、またこの夏に入閣したデコ氏の迅速な動きがあった。ロッキの代理人を務めるアンドレ・クリー氏(バルセロナでジョゼップ・マリア・バルトメウ政権において相談顧問役を務めていた人物)とコンタクトを取り、素早くオペレーションをまとめた。
ロマーリオ、ロナウド、リバウド、ロナウジーニョ、ダニ・アウベス、ネイマール…。多くのブラジル人選手がバルセロナでプレーしてきた。
1899年のクラブ創設以降、これまでバルセロナでプレーしてきたブラジル人選手は実に41名に上る。ロッキが、その系譜を継ぐことになる。
■ヤングタレントに賭ける
バルセロナが、ロッキ獲得で得るものが、もう一つある。それは「若さ」だ。
ガビ(18歳)、アレッハンドロ・バルデ(19歳)、アンス・ファティ(20歳)、ペドリ・ゴンサレス(20歳)、エズ・アブデ(21歳)と近年のバルセロナにおいては若き才能とカンテラーノが台頭してきている。その“系譜”にも、ロッキが加わることになる。
「ビトール・ロッキはブラジル代表の9番になるだろう。それは確かだ」
「ロッキはブラジル代表のレギュラーになる。そこに疑いの余地はない。彼はピッチに入れば、すでに試合を決定付ける選手になっている」
これはブラジル代表のレジェンドであるジーコ氏の言葉だ。
ロッキは、バルセロナにとって、今夏補強第三号となった。イルカイ・ギュンドアン、イニゴ・マルティネスに次いで、加入が決定した。
ロッキの正式加入は来夏の予定だ。だが選手登録の問題を解決できれば、2023−24シーズンの冬の移籍市場で加入する可能性もある。いずれにせよ、将来のブラジル代表の“9番”を確保できたのは、バルセロナの大きな収穫だ。