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ノルウェーで6才から性別変更を手術なしで可能へ、応募者殺到。半年で490人が変更済み

鐙麻樹北欧・国際比較文化ジャーナリスト|ノルウェー国際報道協会理事
(写真:アフロ)

2016年3月、ノルウェーの保健・ケアサービス省は、法律上登録されている性に違和感を感じた場合、6才からの性別変更を手術なしで可能とする案を提出した。

16才以上は本人のみの意志で、6~16才未満は親との同意で、6才未満は先天的に身体的な性の分化が不明瞭な場合に限り、医療関係者の同意があれば性別変更が可能。性別と名前は深く関わっているため、名前の変更ができる年齢も引き下げられ、16才以上は本人の意思のみで、16才未満は親との同意が必要。

その後、法案は国会で可決され、性別変更手続きは7月1日より可能となった。秋学期が始まる前に手続きを開始することで、学校などが対応しやすいように考慮された。

2017年1月の現地報道VGによると、7月から12月31日までの6か月間で、490人が性別変更をして、新しい国民番号を取得(ノルウェー税務署発表)。7月だけで性別変更をした人数は、190人に及ぶ(ノルウェーの人口は520万人)。

「ここまで多くの人々がこの制度を利用したということは、もうそうするべきタイミングにきていたということです」と「セックスと性」団体のロイネベルグ看護師は同紙に語る。

「早い段階で、何かが違うという思いを抱いていました。けれど、情報は不足していて、十分なサポートもなく、自分の感情を言葉にできるようになるまでに、何年もかかりました。自分がそうであろうと感じる性別を、国家に認められたと認識できるこの制度には大きな意味があります」と、今回性別を変更したクリスティーネさんは同紙に語る。

同時に、性別変更の手続きではまだトラブルもあり、銀行や労働福祉局などで、個人情報の変更がスムーズに進んでいないという点も挙げられている。

今回の性別変更の要件においては、右翼・左翼政党問わず、反対の声はほとんど上がらなかった。法案実現を率先した保健・ケアサービス大臣のベント・ホイエ氏(保守党)は、同じ政党の男性政治家と同性婚をしており、LGBTIの権利を広げる活動に積極的だ。

ノルウェーの政治家は、性的少数者の人権を守ろうと、こんなにも必死だ。右翼・左翼は関係ない

Text: Asaki Abumi

北欧・国際比較文化ジャーナリスト|ノルウェー国際報道協会理事

あぶみあさき。オスロ在ノルウェー・フィンランド・デンマーク・スウェーデン・アイスランド情報発信16年目。写真家。上智大学フランス語学科卒、オスロ大学大学院メディア学修士課程修了(副専攻:ジェンダー平等学)。2022年 同大学院サマースクール「北欧のジェンダー平等」修了。多言語学習者/ポリグロット(8か国語)。ノルウェー政府の産業推進機関イノベーション・ノルウェーより活動実績表彰。北欧のAI倫理とガバナンス動向。著書『北欧の幸せな社会のつくり方: 10代からの政治と選挙』『ハイヒールを履かない女たち: 北欧・ジェンダー平等先進国の現場から』SNS、note @asakikiki

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