阪神の未来を担う若き右腕 望月投手と才木投手が掲げる目標
まずはこのニュースから。20日夜に球団広報から「FA選手獲得に対する人的補償選手について」というメールが届きました。内容は以下の通りです。
「阪神タイガースでは本日、オリックス・バファローズよりフリーエージェントで獲得いたしました西勇輝選手(28)に対する人的補償選手として、同球団から竹安大知選手(24)の獲得について申し出がありました。本人に対し、移籍の通告をいたしましたのでお知らせいたします」
これを受けて、竹安投手は「突然のことで驚いています。ケガをしている時にドラフトで指名していただいたタイガースには、本当に恩があるので離れるのは正直寂しいですが、しっかり気持ちを整理し、切り替えて、来季からオリックスの一員としてオリックスファンを喜ばせられるようなピッチャーになりたいと思います」とコメントしました。
誰かが移籍することはわかっていたつもりですが、やはり寂しさは拭えないですね。竹安投手も、来年は1軍で先発して勝ち星を重ねたいと取り組んでいたところでしょうし、すぐには気持ちを切り替えられないかもしれません。我々もそうです。でもオリックス側から将来を期待して望まれたわけで、それもまた大きなチャンスです。春になったら、鳴尾浜ではなく甲子園で会いましょう!これからも応援しています。
恒例のイベントに初参加した2人
19日の午後、伊丹市社会福祉協議会の『手をつなぐ市民のつどい・阪神タイガース選手とともに』という催しが行われ、望月惇志投手と才木浩人投手が参加しました。毎年タイガースの選手がお邪魔していて、司会の方によれば矢野燿大監督も参加したことがあるそうです。
開会の挨拶のあと、望月投手と才木投手が大きな拍手で迎えられて入場。司会者からそれぞれのプロフィールが紹介され、早速じゃんけんゲームや抽選会に突入しました。タイガースグッズやお菓子、甲子園カレーなど様々な賞品を望月投手と才木投手が交互に抽選のうえ、手渡していきます。番号を呼ばれて歓声を挙げる方もあり、開始早々から大いに盛り上がりました。
続いて選手と参加された皆さんが一緒に記念撮影、それから質疑応答へと移ります。最初に「矢野さんとは仲よしですか?」という質問が。2人とも“仲よし”というフレーズに戸惑っていましたね。仲よしって言うのは失礼だけど、でも…という感じでしょうか。ものすごく言葉を選びながら、こんなふうに答えています。
Q、矢野さんと仲よしですか?
望月「えー、まあ選手と監督の関係ですし、仲がいいと言うのはどうかと思いますが、気軽に話しかけていただたり、アドバイスをしていただいたり、すごく距離は近いかなと思います」
才木「まあ、この、仲よしってのはあれですけど、アドバイスをしていただいたり、ほんと気軽に話しかけてくださるので、コミュニケーションは取りやすいです。仲よしってのはあれですけど、気さくに話せるかなという感じです」
「あれですけど」を繰り返したあたりに戸惑いが表れていますね。次の質問はズバッと直球で来ました。
Q、来年は優勝できますか?
望月「…(間を取り、少し笑顔を見せて)…します!」
才木「もちろん優勝します!」
直球あり変化球ありの質問に
若い2人の優勝宣言で場内が大いに沸いたのは言うまでもありません。ついで「北條選手のことを聞いてもいいですか?」「仲はいいですか?」と聞かれた2人。今度はのびのびと回答しています。
Q、北條選手のことを聞いてもいいですか?仲はいいですか?
望月「はい。ありがたいことに仲よくしていただいています」
才木「もう、仲よしこよしです!」
才木投手の“仲よしこよし”には場内爆笑でした。最後はこんな質問です。
Q、来年は何勝を目標にしていますか?
望月「えー、そうですね。僕はことし中継ぎでまだ1勝もできていないので、まずは1勝を目指してやりたいです」
才木(司会の方から、ことし6勝しましたが来年は?と聞かれ)「自分の中では13勝を目標にしています!」
質疑応答はここまでで、締めくくりに改めて来年の抱負を述べました。
望月「先ほども言いましたが、来年は1試合でも多くチームの勝利に貢献するピッチングができればいいなと思います。チームの優勝に貢献できるように頑張ります!」
才木「ことし、あまり自分の中で納得いく成績ではなかったので、来年は絶対に2ケタ勝ちたいと思いますし、そこから2つ3つ勝てるように。そしてチームが優勝できるように頑張っていきたいと思いますので、応援よろしくお願いします!」
そのあと参加した皆さんのサインや写真撮影に応じた2人。隣でサポートする緒方凌介広報の前にも列ができていました。背番号65のユニホーム着用の男性は、仕事中の緒方広報にサインを頼んでいいか躊躇されていたのですが、快く応じてもらって大喜び。よかったですね。
すべて終わってから控室に戻ったところで、取材に応じてもらいました。それぞれのコメントをご紹介します。
目標達成のメソッドを注入中
先に才木投手です。ことし1軍で6勝を挙げ、ファンの声援が変わったかと聞かれ「そんな変わりはないですけど、すごくいつも応援してくださるので、そういう応援にしっかり応えたいなと思います」と回答。
来年の目標は13勝と言ったことについては「ことし6勝して、来年は2ケタを狙っていますし、10勝をもちろん目指しているんですけど10勝で満足するんじゃなくて、そこから2つ3つしっかり投げて勝てるようにという意味を込めて、その数字を目標にしています」とのこと。
そのために、ことしからの上積みが必要なところは?「もっと根本的な真っすぐの強さとか質ってとこをレベルを上げたいと思っています。あと配球というか、そういうところをしっかりキャッチャーと息を合わせて、バッターに対してどういうボールを投げるのかという考え方を、もっと勉強していかないといけないなってのは、すごく感じました」
西投手、ガルシア投手が加入します。先発ローテの枠争いも激しくなると思われますが、挑んでいく気持ちは?「(枠が)全部埋まっているわけじゃないと思いますし、チャンスがあれば、そこにしっかり自分を出していけるように。アピールしていけるようにやっていきたい」
それに向けて、これから体重も増やしていくのかという問いには「そうですね、まあ自然と増えたら。体重メインじゃなくてトレーニングをしっかりして自然と体重も一緒に上がってくればいいかなという感じです」と才木投手。理想は?「88、89(キロ)当たりですね。自分の中では」。今どれくらい?「85になりました。なので、トレーニングもしっかりした中で、自然とそういう数値になっていけばいいと思います」
ところで、矢野監督から読書のススメがありました。今、何か読んでいますか?「『一流の達成力』っていう本を、最近たまたま本屋さんへ行った時に見つけたので、今それを読んでいます」。どんな内容?「具体的な目標と、その目標を達成するまでの過程というか、その目標に対する行動とか。そういうのがいろいろ書いてあったので参考にしてやっていきたい」
『一流の達成力』とは原田隆史さんと柴山健太郎さんの著書で、調べてみると大谷翔平選手も高校時代に実践していたという文字が出てきますね。目標を達成する術を、この本で得るということでしょう。遅ればせながら私も読ませていただきます。
より強くなった、勝利に貢献したい思い
ついで望月投手の話です。ファンの皆さんの前で誓った優勝と自身の初勝利、そんな来年に向けて「ケガを去年して、ことしのはじめもずっとリハビリでしたし。ケガをしないために、ケガをしない体を作るのがすごく大事なことだと思います。そういう意味で、この時期はシーズン中と違って自分のやりたいトレーニングをできる時期でもあるので。そういったトレーニングはしっかり継続してやっていきたいと思っています」と話しました。
やはり早い段階で1つ勝ちたい?「そうですね。やっぱり、ことしは全然勝利に貢献できなかったですし、チームの勝利に貢献したいという気持ちは、今シーズン終わってみてシーズンに入る前より強くなっているので、しっかり早い時期に勝てればと」
先発で勝ちたいかと聞かれ「先発としてやっていきたいという気持ちもありますし。そこはまあ僕が決めることじゃないですけど、やっぱり先発で勝てればいいなと思っています」と答えた望月投手。そういう練習は?「いえ、特には。普通にキャンプから継続してやっていることは変わりないです」
西投手に学びたいことはある?「あります」。たとえば?「結構マウンドで表情が柔らかい方じゃないですか。あんまりタイガースにいないタイプかなと。どういう意識で投げてるかなど、聞けるタイミングがあればいいと思いますね」
先発ローテの枠は競争も激しくなりますが、そこへ割って入る気持ちは?「どこで投げるかわからないですけど、先発も中継ぎもそうだと思います。本当に競争がすごいチーム状況だと思うので、しっかり自分もそこに入っていけるようアピールしていきたいと思っています」
帰り際に才木投手から「久しぶりですね」と言われました。確かに1軍へ行ってからは話を聞かせてもらう機会もなかったので、本当に会わなかった気がします。来年は2人ともキャンプから1軍でしょうし、もっと会わなくなりますね。それが一番いいことです。ことし1軍で積み重ねた経験は大きな自信を2人にもたらしてくれたはず。来年はぜひ1軍で、それぞれに掲げた目標を達成してきてください!
<掲載写真は筆者撮影>