イスラエル軍のガザ空爆は開始5日で4000トンの爆弾を投下、ドレスデン爆撃に匹敵
2023年10月7日からガザの武装組織ハマスの先制奇襲攻撃で始まった戦争は、イスラエル側へのハマス戦闘兵の越境地上侵入を許し民間人1400人以上が殺害され、イスラエル軍は報復反撃作戦「鉄の剣(英語名ソーズ・オブ・アイアン、ヘブライ語名ハラヴォート・バルゼル)」を発動、過去のガザ紛争では前例の無い猛烈な空爆を開始しました。
反撃作戦開始から5日後の10月12日にイスラエル軍はその爆撃の投弾量を発表しています。空軍の爆撃だけで6000発の爆弾を投下し、その合計重量はなんと4000トンにも達しています。1発あたり平均666kgというこの数字から大型の航空爆弾の比率が高く、一般的な500ポンド爆弾(227kg)はむしろ少なく、1000ポンド爆弾(454kg)以上が主体で、大重量の2000ポンド爆弾(907kg)が大量に投下されていることが分かります。
イスラエル軍は作戦開始5日で爆弾6000発投下、重量4000トン
空爆はこの発表から10日経った10月22日現在も続いており、爆撃量は更に数倍に積み上がった可能性もありますが、イスラエル軍は10月12日以降にガザへの爆撃量の報告を更新していません。
なおこれはイスラエル空軍の爆撃量だけです。イスラエル陸軍の地上からの砲撃は含まれていない数量です。またイスラエル海軍も艦艇が海上から艦砲射撃を加えていますがこれも含まれていません。
参考までに東京大空襲(1945年3月10日)でのB-29爆撃機約300機の投弾量は約1700トンです。ドレスデン爆撃(1945年2月13日~15日、4度の空襲)では米英爆撃機約1300機の投弾量は約3900トンです。今回のガザ空爆でイスラエル空軍はドレスデン爆撃に匹敵する猛爆撃を既に実施しました。そしてまだ止まっていません。
無誘導爆弾を搭載したイスラエル空軍のF-16戦闘機
イスラエル空軍のF-16戦闘機に搭載されているのは旧式の無誘導爆弾であるM117(750ポンド、340kg)です。これはJDAMやSDBなどの誘導爆弾が尽きたから引っ張り出してきたわけではなく、作戦開始の当初から誘導爆弾と無誘導爆弾を同時併用し続けていると見るべきでしょう。もちろん無誘導爆弾では精密爆撃はできません。しかしこれで都市爆撃を行っています。
イスラエル軍は今回のガザ空爆でこれを隠そうともせず、M117無誘導爆弾を搭載したF-16戦闘機の出撃の動画や写真を何度も投稿しています。無誘導爆弾の使用がイコール無差別爆撃とまでは言えませんが、付随被害の発生を抑制する気があまりないのは間違いないでしょう。
今回のイスラエル軍のガザ空爆は、ビルごと崩すどころか都市の一区画ごと爆撃で粉砕するやり方まで確認されており、爆撃前に事前の警告があることでかろうじて無差別爆撃ではないと言い張っていますが(この予告も常にあるわけではない)、既に今回のガザ空爆でのガザ側の死者数は数千人に達しており、イスラエル側の死者数の数倍に達しています。
僅か2週間のガザ空爆で3000~4000人を超える民間人が死亡したと推定されています。しかも空爆が止まる様子はなく、そしておそらく止められないであろうガザ市街での地上戦は、まだ始まってもいません。